テラーノベル
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何故か一気に捲くし立てたラマスのキャンキャンとした声を聞きながら、レイブは『うるせえなぁ』、そう思いながら五人の生徒とキャス・パリーグに向けて言う。
「ああー、ジョディ、サンドラ、ランディ、ライア、シンディ、それにパリーグ姉さん、何かラマス曰く駄目らしいから兄ちゃんは取り消しで頼むね、えっとぉ、そうだレイブ師匠ちゃんでもレイブ師匠兄ちゃんでも良いんで気楽に過ごしてくれよ! でも、その分作業と稽古には手を抜かないからね! そのつもりでいてよぉ!」
「「「「「はいっ! 師匠っ!」」」」」
『頼むわね、レイブ』
「はいっ、頼まれました姉さん、んでも、少しだけ話をさせて貰っても良いですか? 二人だけで」
『! 勿論ですわ』
「んじゃあラマス、皆に手伝って貰って夕食の準備を頼めるかな? そうだっ! 歓迎会も兼ねて久しぶりにバーベキューでもしようか? 草原に準備をしてくれるかい? 頼むよ」
「りょっ! ほらほら皆! 急いで急いでぇ! 薪(たきぎ)と食材を運び出しましょ♪ こっちよこっちぃ!」
「「「「「は、はいぃっ!」」」」」
どのタイミングのどんな言葉でご機嫌が治ったのかは定かでは無いが、先程までとは一転嬉しそうに生徒達を率いて歩き出したラマスの背が遠のいていく姿を横目で見ながらレイブはキャス・パリーグを問い質す。
「どう言う事ですか、姉さん?」
『うん…… レイブ、お前はどう思っているんだい?』
質問に質問で返された、中々に失礼な事だとは思うがキャス・パリーグは立場上姉、師姉である、なので苛立つ事無くレイブは自分の思う所を告げたのである。
「ラマスが来るまで誰も俺の所には寄越さなかったですよね? まあそれは理解できます、何しろ俺は『役立たず』ですから…… 粉薬も強壮剤も作れやしない、魔術師とは言えない存在ですからね、この特異な体質と同じ症状を発症したラマスを鍛える、それは理解できますよ、俺の後の雑用係にしよう、そう思ってのことでしょう? それは判る、勿論、思う所が無い訳じゃないが、まあ判ります…… ですが、彼等を寄越したのは何故なんですか? 見ただけで判る位に彼等彼女等は揃って優秀な生徒では無いのですか? そんな子達を雑用係に、ですか? 賢明な姉さんやズィナミの判断とは思えないのですが?」
『………………お前の言う通りあの子達は各学年で一番優秀な生徒たちだわ、でもね、驚かないで聞いてねレイブ、彼等彼女等五名は、揃って…… 『役立たず』、なのよ……』
「え?」
『そうなのよ、いいえ正確には最近、『役立たず』になってしまったのよ』
「…………なった? 最近……?」
その後、キャス・パリーグがレイブに語って聞かせた話はこんな内容であった。
七日前『取り敢えず帰れ!』そう言われた十数人の学生たちは、レイブの言葉通りに副学院長のキャス・パリーグに許可を求めようとしたらしい。
相談を受けたキャス・パリーグは目の前で真摯そのものの表情を浮かべている生徒たちへの対応に窮してしまった、彼女はレイブに対してそう語った。
四学年それぞれの優等生だけが揃って願った弟子入り志願に、レイブ同様答えを出しあぐねた彼女は、学院長であるズィナミ・ヴァーズに判断を委ねる事としたと言った。
更に彼女が語った所によると、相談を受けたズィナミは即答をしたらしい。
学生たちに会う、そう即断したのだそうだ。
普段は必要な物資の補給や、周辺の里に対する教師や講師のスリーマンセルの派遣スケジュール、救護の必要可否、近隣の守護者である魔獣や野良の竜種との折衝(せっしょう)など、他人に任せる事が出来ない仕事にだけ集中して従事していた彼女にしては、甚(はなな)だ異例の決断だと言えるだろう。
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