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【抱かせてください!】
俺と霧島さんが付き合ってから半年が過ぎた。俺が告白して何回も口説いて口説いてようやくって感じでOKを貰えた。今まで恋人らしいことは…まぁ手繋いだり…キスしたり…はしてたんだけど…俺だって男だし、そういう欲が出てこないわけが無い。それ以上のことだってしたくなる。俺は霧島さんを…抱きたいと思ってるんだけど…霧島さんがそれを承諾してくれるかが問題だ。告白だって俺からだったし、キスだって俺からした。そういえば初めてキスした時の霧島さん、可愛かったなぁ…急にしちゃったから固まって顔真っ赤にして…まぁその後殴られたんだけど。それも照れ隠しだって思うと愛らしくて仕方ない。
霧島「何してんだ、お前」
杉原「うわッ!?!?」
霧島「うるせぇ…ちっとは黙れねぇのか。お前は」
杉原「あ…霧島さん…」
霧島「んだよ」
杉原「いえ…」
さっきまでやましいことを考えていた手前、何だか顔を合わせずらく感じた。あからさまに目をそらすと霧島さんのスイッチが付いたのかやたらと俺を問い詰めてきた。
霧島「その感じは何でもねぇって感じじゃあねぇな。何考えてた」
杉原「いいや…?特に、何もやましいことは…」
霧島「ほぉ…やましいこと考えてたのか」
杉原「あ…」
そして隠そうとして墓穴を掘るタイプな俺。
杉原「い、いえ…違うんですよ」
霧島「なぁにが違うってんだ。自分で言ったんだろうが。いい加減白状した方が身のためだぜ」
あー…言わないと霧島さんにめんどくせぇって言って殴られるやつだ…でも言っても殴られるだろうし…だったら言った方が…いやでも…これで引かれて避けられるとかなったら…
霧島「おい、聞いてんのか」
ええい!もう言ってしまえ!悩んでても何も解決しないんだ!
杉原「…じゃあ言いますけど、逃げないで下さいね」
霧島「あ?なんで俺がお前から逃げねぇといけねぇんだよ」
杉原「いーから!約束してください!」(圧
霧島「なんだよ…分かったよ」
このままじゃ埒が明かないと思ったのか渋々承諾した。
杉原「…俺たち、付き合って半年経ちましたよね」
霧島「………そうかもな」
杉原「そろそろ…先に進んでもいいんじゃないかなって思うんですけど…」(チラ…
霧島「……………」
霧島さんの返答を待っていると少しの沈黙から消え入りそうな声で口を開いた。
霧島「………先ってのは…」
杉原「その…セックス、とか…」
霧島「……………」
また再度沈黙が続いた。これは…迷っているのだろうか…それとも…断りたいけど断れないのか。霧島さんは言いたいことはなんでも言う人だが、人の気持ちを踏み躙る様な事はしないし言わない。俺が霧島さんを好きで、俺たちは恋人で…だからきっと断りにくいのかもしれない。まだ早かったかと反省しながら謝罪の言葉を告げる。
杉原「…なんて、すみません。性急過ぎましたね。忘れてください」(ニコ
霧島さんはこれでいて優しいから気負いするだろうと思い、重くならないようになるべく軽く言う。表情もニコニコして落ち込んでいるように見えないようにした。気まづさを紛らわすように明るく振る舞おうと口を開いた。
杉原「そういえば喉乾きませんか?お茶持ってきましょうか」
そう言ってお茶の準備をしようと台所に向かうため立ち上がると腕を引かれて体が傾いた。
杉原「うお!ちょ!危ないですよ!」
霧島「まだ…」
杉原「え…?」
霧島「まだ、なんも言ってねぇのに…勝手に話進めんな…」
霧島さんの俺の腕を掴む力が強くなる。下を向いていて表情は読めなく、どう反応しようか迷っていると霧島さんの耳が真っ赤になっているのに気づいた。多分…今相当可愛い顔してるんだと思う。それを考えると更に霧島さんへの想いが溢れて愛おしさが募ってくる。
杉原「かわいー…」(ボソッ
霧島「…なにが」
杉原「自覚ないんですか?耳、真っ赤ですけど」
霧島「……うるせぇ」
自分にとって都合の悪いことを言われたからなのか照れ隠しなのかいつもより勢いのない鉄拳が飛んでくる。勢いがないから痛くは無い。
さっきの霧島さんの言葉を聞くに、恐らく霧島さんは先のことをしっかり考えているような感じがした。その事に嬉しくなり、さっき俺が言った謝罪の理由を話しておきたくなった。まだ下を向いている霧島さんの手を握りその場に正座した。
杉原「…すみません。ずっと黙っていたから断りずらくなってるんじゃないかって思っちゃって」
霧島「…別に、嫌だとは…思ってない」
杉原「じゃあ…俺と出来ますか?」
霧島「…お前はどっちしたいんだ」
杉原「抱きたいです」(ズバッ
霧島「即答かよ…」
杉原「俺はずっと貴方が好きなんです。それこそ付き合う前から…そういう事は、考えてました。なんなら霧島さんでヌいた事だって何回もあります。」
霧島「は、はぁ!?///お前っ、俺で何考えてんだよ!///」
ようやく顔を上げたかと思えば今度は俺の胸ぐらを掴みながらかけきれてない圧をかけてきた。想像通り顔真っ赤にして…可愛い。
杉原「俺だって健全な男の子ですよ?エッチなことだって考えますって」
霧島「それは…一応聞くがどういうこと妄想してたんだ…」
杉原「え?そりゃあ…俺に攻められてあられもない姿を…」
霧島「やっぱりいい。聞かない。これ以上言ったら殺す」
杉原「さらっと殺害予告してくるの辞めましょうよ…」
霧島「…兎に角お前がそう思ってるのは分かった」
杉原「俺は抱きたいですけど霧島さんはどう思ってますか?」
霧島「俺…?」
杉原「霧島さんが納得出来る形で色々したいんです。無理させたくないんです。」
霧島「俺は…」
言葉に詰まった後ジッと見定めるように俺を見る。その目がなんだかくすぐったくて俺は霧島さんの目を見つめ返すことが出来ずに逸らした。俺が照れているのを見て満足したのか暫くしてから話し始めた。
霧島「まぁ…抱かれてやってもいい」
杉原「え…!?」
霧島さんからの予想外の返答に驚きすぎてバッと顔を上げる。少し照れくさそうに頬杖をつきながら俺を見ていた。その姿にすらときめいてしまうのは惚れたせいなのだろうか。少しの間見惚れていたがさっき言われた抱かれてやってもいい発言の真意を確かめるべく霧島さんの気が変わらないように慎重に言葉を選んだ。
杉原「その…だ、抱いて…いいんですか…?」
霧島「だからそう言ってんだろ…何度も言わすな」
杉原「ッ…」
嬉しすぎて全身が震えるようだった。この話をする前からどうしたら霧島さんが主導権を譲ってくれるだろうかと考えていた。それが叶って嬉しくてどうしようもなくて目の前にいる愛おしいその人をただ抱きしめた。
霧島「!?」
まさか急に抱きしめられるなんて思ってもみなかったのか体が強ばっている。霧島さんの緊張からが俺にも伝わってきた。
霧島「おい何やってんだ…!離せっ!」
俺から抜け出そうと必死にもがいている。俺は逃げられないようにそれ以上の力で抱きしめる。
杉原「………………」(ギュゥ…
霧島「っ…こんなとこ誰かに見られたら…」
杉原「いいじゃないですか…俺は嬉しいですよ。霧島さんは俺ももんだって皆に言えるから。」
霧島「…馬鹿かよ」
観念したように霧島さんの力が抜けて俺の肩に自分の頭を置いた。
杉原「確かに俺は馬鹿かもしれないです。それでも霧島さんを好きだって事は隠したくない。」
霧島「…そーかよ」
ギュッと力いっぱい抱きしめてから少しずつ体を離し、そっと霧島さんの手の甲にキスを落とす。
杉原「絶対大事にします。絶対に傷つけたりしない。だからどうか俺にハジメテをください。」
霧島「…ムカつく」
杉原「えぇ!?俺の渾身の告白を今ムカつくって言いました!?」
霧島「杉原のくせに生意気なんだよ…カッコつけやがって…」
杉原「恋人の前でくらいカッコつけたいでしょ」
霧島「いつも通りでいい…俺らにそういうのは似合わねぇだろ」
杉原「えー…」
霧島「他と比べんじゃねぇよ。こっちはこっちで好きにやりゃいいだろ」
ああ、この人はこんな事をサラッといってのけてしまうんだな。やっぱり俺が惚れた人はカッコイイなぁ… 敵わないや。
杉原「うん…そうですね」(ヘニャ
霧島「だらしねー顔だな」(フッ
杉原「ところで好きにしていいんですか?」
霧島「…は?」
杉原「俺たちは俺たちで好きにやっていいんですよね?好きにしていいんですか?」
霧島「……ちょっと待て、お前が言ってんのは『好きに手を出していいか』ってことか?」
杉原「はい」
霧島「そういう話してんじゃねぇだろ…」(呆れ
杉原「ダメ…?」
霧島「…………だめ」
杉原「えー…」
やっぱりダメなのかと落胆しているとポツリと言い始める。
霧島「今は、やめろ…」
杉原「え…?」
ポカンと口を開けていると霧島さんは立ち上がり、襖の前に立ち俺に背を向けたまま言う。
霧島「………お嬢が寝るまで我慢な」
そう告げたまま襖を開けて部屋を出て行ってしまった。暫く処理落ちしてたが、事の重大さに頭がパンクしそうになる。顔に熱が集中するのが分かる。
杉原「ッ…あーくそ…やられた…言い逃げされた」
熱く火照った頬を冷ますように手で扇ぐ。色々考えるが最終的に決意することは…