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再会した幼馴染は、恋を知らない
最終回直後 生配信アフタートーク
北斗side
控室。
マネージャー「そういえば、樹と風磨くん来るって」
北斗「……は?」
マネージャー「仕事終わりでちょうど近くなんだって。客席で見るらしいよ」
最悪だ。
北斗「なんで」
マネージャー「最終回だし?」
ドアがノックもなく開く。
〇〇「聞いた?」
北斗「……聞いた」
〇〇「地獄じゃん」
笑ってる。
〇〇「絶対いじられる」
北斗「お前がな」
〇〇「は?」
北斗「どうせ“仲間です!”とか言うだろ」
〇〇「言うけど?」
迷いゼロ。
北斗「だろうな」
〇〇「何その顔」
北斗「別に」
本当に不仲だ。
気遣いも、甘さもない。
でも。
あいつの前だと、妙に言葉が増える。
スタッフ「5分前です!」
〇〇「よし」
立ち上がる。
〇〇「北斗、固くなるなよ」
北斗「ならない」
〇〇「嘘」
小さく笑う。
その顔を見てしまうから、厄介なんだ。
――――――――――
本番。
司会「最終回直後!生配信です!」
歓声。
コメント欄が流れる。
客席の後ろ。
樹と風磨。
目が合う。
樹がニヤっとする。
風磨が親指立てる。
帰れ。
司会「まずは名シーン!壁ドン!」
モニターに映る。
距離ゼロ。
司会「どうでした?」
〇〇「普通に役としてです!」
即答。
会場笑い。
司会「キス寸前は?」
〇〇「緊張してないです」
北斗を見る。
〇〇「北斗ですし」
ざわっ。
司会「どういう意味ですか!」
〇〇「仲間なんで。安心感?」
客席。
風磨が顔を覆う。
樹は天井を見る。
北斗「……仕事です」
司会「松村さん、あの告白!」
例のシーン。
北斗(画面)「ずっと好きだった」
震える声。
司会「本当に震えてましたよね?」
〇〇「すごかったよね」
北斗を見る。
〇〇「本気っぽかった」
北斗「……役だから」
〇〇「そうそう」
全部、回収。
司会「ここで重大発表です!」
俺は知ってる。
打ち上げ終わりのタクシー。
深夜。
〇〇「映画決まった」
北斗「……おめでとう」
〇〇「永瀬廉くんとダブル主演」
少し間。
〇〇「キスあるよ」
北斗「仕事だろ」
〇〇「うん、仕事」
窓の外の街灯が流れていった。
あの時、ちゃんと笑えてなかった。
―――――
司会「姫野さん、新作映画決定!」
テロップ。
“永瀬廉とダブル主演 切なく儚いラブストーリー”
歓声。
〇〇「発表になりました!」
司会「恋愛映画!キスシーンも?」
〇〇「ありますね」
さらっと。
司会「松村さんどうですか?」
カメラが寄る。
客席。
樹が真顔。
風磨が腕組んで見てる。
北斗「すごいと思います」
司会「嫉妬とかない?」
〇〇「ないでしょ」
被せる。
〇〇「北斗は仲間なんで」
公開処刑。
北斗「……ないです」
司会「大人のシーンもあるとか?」
〇〇「挑戦ですね」
北斗、瞬きが増える。
司会「アドバイスしました?」
〇〇「したよね?」
北斗を見る。
北斗「……怪我すんなよ、って」
会場笑い。
〇〇「冷た」
北斗「物理的な話」
樹が小さく首を振る。
風磨がため息。
司会「今後の再共演は?」
〇〇「どうだろ?」
北斗を見る。
〇〇「不仲コンビ続ける?」
北斗「……需要あれば」
〇〇「あるでしょ」
笑う。
本当に気づかない。
生配信終了。
拍手。
カメラオフ。
〇〇「緊張したー!」
北斗「してないだろ」
〇〇「北斗の方が固かった」
北斗「普通」
樹と風磨が近づく。
風磨「地獄だったな」
樹「顔、死んでたぞ」
北斗「余裕」
〇〇「何の話?」
風磨「なんでもない」
〇〇「映画、頑張るね」
北斗「……ああ」
〇〇「観なくていいから」
北斗「行かない」
〇〇「即答?」
笑う。
本当に、何も知らない。
不仲は事実。
仲間も事実。
でも俺の気持ちだけは、
ずっと置き去りのまま。
樹が肩を軽く叩く。
風磨が小さく言う。
風磨「崩れるなよ」
北斗「崩れてない」
嘘。
〇〇はもう次の恋を演じる顔で、スタッフと話している。
俺は、
また何も言わないまま、
隣に立てない未来を受け入れるだけ。
ーーーーーーーー
〇〇side
控室。
マネージャー「樹くんと風磨、仕事終わりで客席来るって」
〇〇「え、最悪」
北斗を見る。
北斗「……聞いた」
〇〇「絶対いじられるじゃん」
北斗「お前がな」
〇〇「は?」
北斗「“仲間です”って言うんだろ」
〇〇「言うけど?」
当たり前。
だって仲間だし。
不仲なのは事実。
でも仕事はできる。
それだけ。
スタッフ「5分前です!」
〇〇「よし」
立ち上がる。
北斗、少し静か。
〇〇「固くなるなよ」
北斗「ならない」
〇〇「嘘」
顔に出るタイプ。
昔から。
―――――
本番。
司会「最終回直後生配信です!」
歓声。
コメント流れる。
客席後ろに樹と風磨。
手振ってる。
ほんとやめて。
司会「名シーン振り返りましょう!壁ドン!」
モニターに映る。
近い。
我ながら距離バグ。
司会「どうでした?」
〇〇「普通に役としてです!」
会場笑い。
だって本当にそうだし。
司会「キス寸前!」
〇〇「緊張はしてないです」
北斗を見る。
〇〇「北斗ですし」
司会「どういう意味!?」
〇〇「仲間なんで。安心感?」
本音。
北斗とだから、余計な緊張がない。
司会「松村さんは?」
北斗「……普通です」
あ、固い。
司会「告白シーン!震えてましたよ!」
モニターに例の場面。
北斗(画面)「ずっと好きだった」
あれは本当にすごかった。
〇〇「本気っぽかったよね」
北斗を見る。
北斗「……役だから」
〇〇「そうそう」
役者だなって思う。
あそこまで入り込めるのは尊敬。
司会「重大発表です!」
いよいよ。
数日前。
打ち上げ終わりのタクシー。
〇〇「映画決まった」
北斗「……おめでとう」
〇〇「永瀬廉くんとダブル主演」
少し静かだったけど、
〇〇「キスあるよ」
北斗「仕事だろ」
〇〇「うん、仕事」
それで終わり。
特に深い意味もない。
―――――
司会「姫野さん、新作映画決定!」
歓声。
〇〇「発表になりました!」
司会「恋愛映画!キスも?」
〇〇「ありますね」
挑戦。
司会「松村さんどうですか?」
北斗を見る。
北斗「すごいと思います」
ちょっと硬い?
司会「嫉妬とか?」
〇〇「ないでしょ」
被せる。
〇〇「北斗は仲間なんで」
本当にそう。
恋愛対象とかじゃない。
仕事仲間。
バディ。
司会「大人のシーンも?」
〇〇「挑戦ですね」
北斗、瞬き多いな。
司会「アドバイスは?」
〇〇「したよね?」
北斗「……怪我すんなよ」
〇〇「冷た」
会場笑い。
いつものテンポ。
不仲は事実。
でもこの距離が一番楽。
司会「再共演は?」
〇〇「どうだろ?」
北斗を見る。
〇〇「不仲コンビ続ける?」
北斗「……需要あれば」
〇〇「あるでしょ」
それは自信ある。
カメラオフ。
〇〇「終わったー!」
北斗「うるさ」
〇〇「固かったよ?」
北斗「普通」
樹と風磨が来る。
風磨「地獄回だったな」
〇〇「でしょ?」
樹は北斗をじっと見てる。
何あれ。
〇〇「映画も頑張るわ」
北斗「……ああ」
〇〇「観なくていいから」
北斗「行かない」
〇〇「即答?」
笑う。
昔からこう。
言い合いして、
噛み合わなくて、
でも並ぶと強い。
それが北斗。
好きとかじゃない。
尊敬はしてる。
信頼もしてる。
でも恋愛じゃない。
〇〇は知らない。
あの告白が、
本音混じりだったなんて。
ただ、
またどこかで共演できたらいいなとは思ってる。
不仲コンビ。
それは事実。
でもバディなのも、事実。
〇〇は何も疑わないまま、
次の現場へ向かう。
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