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北斗side&main
楽屋。
樹のスマホが震える。
樹「……出た」
画面を全員に向ける。
《速報》
timelesz姫野〇〇 × King & Prince永瀬廉
ダブル主演映画製作決定
タイトル
「消えゆく君のために、僕は笑っていよう」
記事をスクロールする。
ジェシー「うわ、ガチのやつだ」
慎太郎「純度100%恋愛映画って書いてある」
きょも「“切なく儚いラブストーリー”」
高地「“キスシーン含む濃密な感情表現にも挑戦”……」
一瞬、空気が止まる。
北斗は黙っている。
樹が続きを読む。
樹「“二人は関西ジュニア時代からの旧知の仲。長年の絆がスクリーンで花開く”」
ジェシー「うわー」
慎太郎「ファン絶対沸くじゃん」
きょも「“待望の共演”って書いてある」
高地「“関ジュ時代から支え合ってきた二人の初ダブル主演”」
静かに、全員が北斗を見る。
北斗「……知ってる」
樹「いつ?」
北斗「打ち上げ終わりのタクシー」
ジェシー「直接かよ」
慎太郎「それはキツい」
きょも「どんな感じで言われた?」
北斗「普通に」
高地「普通って何」
北斗「“映画決まった”って」
樹「タイトルも?」
北斗「うん」
ジェシー「キスあるって?」
北斗「言われた」
慎太郎「うわ」
きょも「大人のシーンも?」
北斗「……それも」
空気が重くなる。
樹がもう一度記事を見る。
樹「“互いに特別な存在と語る二人”だって」
ジェシー「やめろやめろ」
慎太郎「ファン歓喜だろこれ」
きょも「X絶対トレンド」
高地「もう入ってる」
スマホを見せる。
【永瀬廉】
【姫野〇〇】
【消えゆく君のために僕は笑っていよう】
【関ジュの絆】
北斗は視線を逸らす。
樹「正直どうなんだよ」
北斗「何が」
ジェシー「平気?」
北斗「仕事だろ」
慎太郎「それはわかってる」
きょも「でも好きなんだろ」
沈黙。
高地「俺らは知ってる」
北斗「……」
樹「〇〇は知らない」
ジェシー「ファンも知らない」
慎太郎「だから余計キツい」
北斗、笑う。
北斗「俺は仲間だから」
きょも「それは〇〇側の話な」
高地「お前は違う」
北斗「同じだよ」
樹「同じじゃねぇ」
ジェシー「ライバルって言ってたよな」
慎太郎「越えたい相手だって」
きょも「でも今は越えるとかの話じゃない」
高地「好きな子が別の男と恋愛映画だぞ」
北斗の指先が白くなる。
樹「しかも永瀬廉」
ジェシー「顔面国宝」
慎太郎「関ジュの歴史込み」
きょも「エモすぎる」
高地「ファン盛り上がり確定」
北斗「やめろ」
全員止まる。
北斗「……わかってる」
静か。
樹「観に行く?」
北斗「行かない」
ジェシー「だろうな」
慎太郎「予告は?」
北斗「見ない」
きょも「流れてくるぞ」
北斗「ミュートする」
高地「無理だろ」
北斗は黙る。
樹「最終回で終わると思ってたんだろ」
北斗、目を上げる。
北斗「……うん」
ジェシー「終わらなかったな」
慎太郎「むしろ悪化」
きょも「映画で再燃」
高地「地獄コース」
北斗「俺は応援する」
樹「えらいな」
ジェシー「強がりだけど」
慎太郎「それでも言えるのすごい」
きょも「でもさ」
全員少し前に出る。
きょも「つらいの認めろ」
高地「我慢大会じゃない」
樹「抱え込むな」
ジェシー「俺らいる」
慎太郎「一人にしねぇ」
北斗、目を閉じる。
映画のビジュアルが頭に浮かぶ。
白い光。
永瀬廉の腕の中の〇〇。
キスシーン。
儚いラスト。
自分じゃない。
北斗「……わかってる」
声が少しだけ掠れる。
樹「悔しいよな」
ジェシー「普通に」
慎太郎「めちゃくちゃ」
きょも「でもな」
高地「終わってない」
北斗「何が」
樹「お前の気持ち」
ジェシー「物語は終わったけどな」
慎太郎「片想いは続編中」
きょも「勝手に」
高地「しかも長編」
少しだけ笑いが生まれる。
北斗も、ほんの少しだけ口元を緩める。
北斗「上映前から敗北確定だろ」
樹「決めつけんな」
ジェシー「まだ公開前」
慎太郎「予告段階」
きょも「本編始まってない」
高地「最後までわからん」
北斗「……」
でも〇〇は知らない。
北斗がどれだけ削られているか。
ただの仲間だと思ってる。
ライバルだと思ってる。
それだけ。
樹「とりあえず飯行くぞ」
ジェシー「慰め会」
慎太郎「焼肉」
きょも「甘やかしタイム」
高地「強制参加」
北斗「いらない」
全員「いる」
即答。
北斗、観念したように立ち上がる。
スマホの通知がまた光る。
【消えゆく君のために、僕は笑っていよう】
公式アカウント開設
北斗は画面を伏せる。
北斗「……応援するよ」
樹「うん」
ジェシー「それでいい」
慎太郎「でも無理すんな」
きょも「崩れたら来い」
高地「何回でも聞く」
北斗は小さく息を吐く。
北斗「俺、ライバルでいい」
樹「強がり」
ジェシー「でも嫌いじゃない」
慎太郎「そういうとこ」
きょも「不器用」
高地「だから支える」
楽屋のドアが開く。
六人で出る。
一人じゃない。
それだけが救い。
〇〇は今、次の撮影準備をしている。
永瀬廉との新しい物語へ向かって。
北斗の想いを、知らないまま。
ーーーーーーーーー
夜。
個室の焼肉屋。
ジュウッと肉の焼ける音。
ジェシー「今日は北斗慰め会でーす」
北斗「やめろ」
樹「主役は食え」
慎太郎「はいタン」
きょも「はいハラミ」
高地「焦げるぞ、ほら」
皿が北斗の前にどんどん積まれる。
北斗「多い」
ジェシー「足りないよりいい」
樹「記事もう一回見るか?」
北斗「見せるな」
慎太郎「でもさ、タイトル強すぎない?」
きょも「“消えゆく君のために、僕は笑っていよう”だぞ?」
高地「泣かせにきてる」
ジェシー「しかも関ジュの絆込み」
樹「ファンは期待しかない」
北斗、肉を裏返す。
北斗「知ってる」
慎太郎「廉と〇〇、昔から仲良いもんな」
きょも「距離感自然だろうな」
高地「演技相性良さそう」
北斗の箸が止まる。
ジェシー「でもな」
全員少しトーンを落とす。
樹「北斗がやった最終回、あれ越えるの簡単じゃない」
慎太郎「告白シーン、ガチだったし」
きょも「震え方リアルすぎ」
高地「壁ドンの目な」
北斗「役だ」
ジェシー「半分な」
樹「〇〇は気づいてない」
慎太郎「マジで1ミリも」
きょも「仲間フィルター強すぎ」
高地「鈍感女優」
北斗、苦笑。
北斗「それでいい」
樹「よくねぇ」
ジェシー「お前はな」
慎太郎「削れてる」
きょも「今日ずっと瞬き多い」
高地「今も」
北斗「観察すんな」
少し笑いが起きる。
肉が焼ける。
沈黙。
北斗「……スクリーンでキスすんだろ」
小さい声。
樹「するな」
ジェシー「脚本上な」
慎太郎「役としてな」
きょも「仕事な」
高地「わかってるけどな」
北斗「抱きしめるんだろ」
樹「多分な」
ジェシー「予告で流れる」
慎太郎「切り抜かれる」
きょも「トレンド入る」
高地「バズる」
北斗、目を伏せる。
北斗「俺じゃない」
静か。
ジェシー「うん」
樹「今はな」
慎太郎「でも」
きょも「お前の気持ちは消えてない」
高地「消えゆくのは映画の中だけだ」
北斗、少し笑う。
北斗「うまいこと言うな」
樹「事実」
ジェシー「で、どうすんの」
北斗「何が」
慎太郎「このまま仲間ポジ固定?」
きょも「一生ライバル宣言?」
高地「本音隠し続ける?」
北斗は肉を口に入れる。
少し考える。
北斗「……今は言わない」
樹「今は、な」
ジェシー「未来否定してないの珍しい」
慎太郎「成長」
きょも「焼肉効果」
高地「タン追加するか」
北斗「いらない」
全員「いる」
また笑い。
空気が少し軽くなる。
北斗「俺さ」
全員止まる。
北斗「最終回で終わると思った」
樹「何度目だそれ」
ジェシー「引きずり王」
慎太郎「でもわかる」
きょも「区切りにしたかったんだろ」
高地「物語終わったしな」
北斗「うん」
静か。
北斗「でも終わらなかった」
樹「知ってる」
ジェシー「だからここにいる」
慎太郎「一人にしねぇ」
きょも「何回でも慰める」
高地「何回でも焼肉」
北斗、笑う。
ちゃんと。
北斗「重いわ」
樹「気持ちがな」
ジェシー「脂もな」
慎太郎「胃もたれコース」
きょも「青春コース」
高地「片想い長編上映中」
北斗「……上映前から敗北確定」
樹「まだ公開してねぇ」
ジェシー「続編あるかも」
慎太郎「スピンオフも」
きょも「再共演も」
高地「未来はわからん」
北斗はグラスを持つ。
北斗「応援はする」
樹「うん」
ジェシー「それでいい」
慎太郎「無理はすんな」
きょも「崩れたら連絡」
高地「深夜でも出る」
北斗は小さく頷く。
店を出る頃には、
少しだけ呼吸が楽になっていた。
〇〇は今頃、映画の読み合わせかもしれない。
永瀬廉の隣で。
北斗は空を見上げる。
終わったドラマ。
始まる映画。
片想いだけが、まだ続いている。
ーーーーー
焼肉屋を出て、メンバーと別れた瞬間、夜の空気が冷たく頬を刺す。
樹「じゃあ、俺らはここで」
ジェシー「お疲れな!」
慎太郎「無理すんなよ」
きょも「帰ったら寝ろよ」
高地「何かあったら連絡な」
北斗「……ああ」
声が自然と小さくなる。
みんなの笑顔、手を振る姿。
そのすべてが遠ざかって、心の奥に静かな穴を残す。
北斗(心の声)
「……一人か」
歩くたびに、焼肉の煙と笑い声、メンバーの声が頭の中で反響する。
そして自然に、〇〇の笑顔が浮かぶ。
壁ドンしたあの日、抱き上げたあの日、キス寸前のあの瞬間。
胸の奥に刺さる記憶。
北斗(心の声)
「全部……俺だけ、本気だった」
マンションのドアを開け、鍵をかける。
室内の静寂が、夜の冷たさ以上に心を覆う。
テーブルの上のスマホが光る。
通知は〇〇の新作映画のニュース。
北斗(心の声)
「タイムレス姫野〇〇 × キンプリ永瀬廉……“消えゆく君のために、僕は笑っていよう”か」
指がスマホに触れ、記事をスクロールする。
キスシーンや大人の演技、二人の距離感……楽しそうに挑む〇〇。
自分は、ただの傍観者。
ライバル、仲間、友達。それ以上の存在にはなれない。
北斗(心の声)
「俺は……ただ見てるだけか」
ソファに腰を下ろすと、肩の力が抜け、胸の奥が締め付けられる。
焼肉でのメンバーの声も、慰めの言葉も、今は遠く、静かに響くだけ。
北斗(心の声)
「壁ドン……抱き上げ……キス……全部、演技だったのか」
頭を抱え、膝を抱きしめる。
涙は出ない。
でも胸の奥が痛む。
〇〇の笑顔、無邪気な言葉、仲間としての視線。
すべて自分の想いを残して、遠くに行ってしまった。
北斗(心の声)
「幸せになれ……〇〇」
声にならない声が、夜の静寂に吸い込まれる。
北斗の手がスマホを握り直す。
画面越しの〇〇は笑っている。
自分の心の距離は、縮まらない。
北斗(心の声)
「俺じゃ……ないんだよな」
吐息が小さく揺れる。
過去の撮影、壁ドン、キス、お姫様抱っこ……
笑顔でぶつかったあの瞬間が、余計に切なく胸を刺す。
北斗(心の声)
「応援する……仲間だから」
「でも、俺だけは……まだ、ここで止まってる」
部屋の空気に、呼吸だけが響く。
深夜の静寂に、北斗の片想いだけが、静かに燃え続けている。
北斗(心の声)
「〇〇……本当に幸せになれ」
窓の外、街の灯りがひとつ、またひとつ消えていく。
北斗の胸の奥も、夜に溶けていく。
誰にも知られない、けれど確かな想いだけが残る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ある日。
俺はマンションの自室で仕事を終え、ソファに沈み込んだ。
夜の街の光が窓の外で揺れる。
静かな部屋に、スマホの通知ランプが光った。
北斗(心の声)
「……なんだ、これは」
画面を開くと、ティザー写真が目の前に現れる。
上の写真:〇〇と廉がカメラに向かって笑っている。
肩を寄せ合い、白いマフラーがお揃いで、〇〇の笑顔は眩しくて胸が痛い。
下の写真:夕日で海がオレンジに染まる砂浜。
二人は笑い合い、風に揺れるマフラーが柔らかく光る。
楽しそうで、幸せそうで、でも北斗には遠すぎる。
SNSにはファンたちのコメントが次々と流れ込む。
「〇〇ちゃん可愛すぎ!」
「廉くん最高!」
「れん〇〇の絡み最高!」
「二人とも笑顔が尊い!」
「公開が待ちきれない!」
北斗(心の声)
「……俺は見てるだけか」
アフタートーク以来、〇〇とは会っていない。
お互い忙しく、仕事の連絡以外はほとんどない。
それでも、ファンたちは〇〇と廉の距離や笑顔に胸を躍らせている。
北斗(心の声)
「壁ドンも……お姫様抱っこも……キスも……全部、俺だけだったのに」
焼肉の夜、メンバーと笑ったあの瞬間、公開処刑で〇〇が笑った顔……
思い出すたび胸が締め付けられる。
北斗(心の声)
「俺は……傍観者だ。ライバルでも仲間でも友達でもない、ただ見守るだけ」
画面の中の〇〇は楽しそうで、廉も笑っている。
ファンの盛り上がりも、二人の近さも、触れられない世界。
北斗(心の声)
「笑ってくれ……〇〇」
ソファに沈み込み、膝を抱える。
夜の静寂に、呼吸だけが響く。
スクリーンの二人の光は遠く、手を伸ばしても届かない。
北斗(心の声)
「俺の横には、もう誰もいない……」
「でも、見守ることしかできない……」
夜は深く、街の灯りも消える。
マンションの部屋には、静寂と北斗の胸に残る片想いだけが、静かに燃え続けていた。