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#momo
まず二人の紹介から。
⇧セツライくんです
⇧エリーナさんです
さて、二人のビジュの紹介も終わったところで
本編に入りたいと思います〜。
…とある世界の、ある不運な子の話をしましょう。
むかしむかし、ある村にて。
村中が待ち望んだ、新たな生命がこの世に生まれ落ちました。
しかし、その子を産んだお母さんは、
その子の目を見るなり、叫びました。
「目が赤い…!魔族よ!!魔族の生まれ変わりよ!!」
魔族は皆、目が赤く、悪魔のように
角が生えている者もいたといいます。
そしてこの世界では、魔族は初代国王を殺した国民の敵。
ですから、魔族ではなくても、目が赤いというだけで、
迫害の対象になってしまうような世の中になってしまっていました。
当然、この子も運の悪かった一人。
「こんな魔族を村においてはおけない、すぐに森に捨てるべきだ」
という声も上がりましたが、偶然村にいた、
ある高名な魔道士がこう言いました。
『魔族は、我々の王の仇。成人して、
当時の魔族の姿に近い状態にしてから消すべきだ。
そのほうが我々の、そして初代国王の無念も晴らされるだろう。』
ええ、私達からすれば、とても残酷で、おかしな話です。
しかし、この世界では、
みんなが納得する話であったのは事実です。
魔道士の一言で、この子を
成人まで育てるということにはなりましたが、
この子のことを村の一員として見た者は、
誰一人としていませんでした。
…そうして、生まれた子は、
愛というものを知らないまま、成人を迎えました。
…オレは、この世にいないほうがいい人間らしい。
いや、皆の話だと、オレは人間じゃないって。
魔族っていう存在らしい。
村の図書館でこっそり歴史書を見たけど、
魔族は国王殺しの悪人の一族だとか。
歴史書には「魔族は目が赤かった、
だからこれから生まれる目が赤い者は、皆魔族である。」
とも書いてあった。
…頭おかしいよな。
ただ目が赤いってだけかもしれないのに、
全員魔族だって決めつけてこぞっていじめるとか、本当におかしい。
…オレもその一人だった。
生まれた時から目が赤くて、魔族だって決めつけられて、
まともに食事も与えられなかった。
まあ、さすがに赤ちゃんのときはそれなりに貰ってたけど。
でもちゃんと食べ物を食べられるようになってからは、
ほんの少ししか貰えなくなった。
本当にお腹が空いて、森に食べ物を探しに出たときもあった。
その時、大きな魔獣に襲われて…もうだめだと思って、
反射的に手を突き出して…突然、手から大きな雷が出てきたんだよな。
それで魔獣は黒焦げになって、動かなくなった。
その時はその魔獣を食べて、飢えをしのいだっけ。
それからも、何回か森に魔獣を狩りに行ったな。
狩りに行くたびに、雷を操るのはうまくなっていった。
こんな力があるって、村の人達が知ったら、
みんなの役に立てて、こんな扱いも終わるんじゃないかって思って、
一度見せに行ったことがあった。
でも…だめだった。
雷の力は、普通の人間には使えないらしい。
余計に、扱いはひどくなってしまった。
悪口も、何回言われたかわからない。
何回殴られたのかも、もう覚えてない。
…そういえば、この猫耳みたいなやつも、
おかしいって言われてた気がする。
オレもこれが何なのかはわからない。
わからないことだらけだ。
…だけど…魔族は悪人だって言うけど…
なぜか、オレには悪だと思えない。
それどころか、魔族の人たちの気持ちもわかる気がする。
歴史書には、魔族は大昔の頃から
人間たちに迫害されてきていたらしい、と書いてあった。
それを憎んで、昔の魔族たちは人間に復讐をしようとしたんじゃないか?
…でも、こんなことを思うのも、オレだけだ。
皆、魔族を悪だと信じて疑わない。
…オレは…
今日は、オレが成人する日。
そして…オレが村を追い出される日だ。
「起きろ!!」
村の人に蹴られ、起こされた。
そして、そのまま村の広場に連れて行かれる。
そこには、村の皆が集まっていた。
「…これより、成人式を始める」
村長が静かに告げる。
そして…突然、叫んだ。
「忌まわしい魔族を村から追い出せ!!」
それと同時に、たくさんの石やら、
剣やらがオレに向かって飛んできた。
「消えろ!!」「この魔族め!!」「お前なんかいらない!!!」
罵詈雑言が飛び交う。その中で、
オレの心にひときわ強く突き刺さった言葉があった。
「あんたなんかあたしの子供じゃない!」
…それは、オレの母親の言葉だった。
その言葉を聞いた瞬間、長い間オレの中にあった疑問が、
弾けて消えた。
突然、大きな雷鳴が鳴る。先程まで晴れていたのに、
季節外れの猛吹雪が吹き荒れる。
村の人達は、突然の雷鳴に驚き、どよめく。
雷鳴と同時に、オレの中から凄まじい力が溢れた。
「あぁ…そうか。オレは…」
「…魔族だ」
気がついたときには、村はめちゃくちゃになっていた。
村の人達も皆、目も向けられないほどの状態だった。
「…これ、オレがやったのか」
そう気づいた時、オレは、自分が恐ろしくなった。
突然雷鳴が鳴ってから、記憶があいまいだ。
しかし村がこんな状態だから、自分が暴れていたのは確かだ。
しかも…少し、この状況を楽しんでいた記憶がある。
それは、魔族である自分の本能だろうか?
何となく、自分の猫耳のようなものに触れてみる。
あのときは、大きな角になっていた気がするが、もとに戻っていた。
「オレは…悪魔、なのか」
一度あんな状態になって、あれが発動する条件が分かった。
気持ちが高ぶると、あんな事になってしまうらしい。
それなら…
もう、何も感じないようにすれば、
こんなことになることもないのではないか?
…きっと、そうだ。
そう心に誓い、静かに歩き出した。
あれから、何日、何ヶ月…どれくらい経ったのだろう。
オレは、森の中を歩いていた。
村の近くの森とは、かなり遠い森だ。
街の近くにも何回か行ってみたが、
どうせまた追い出されるだけだから、入るのはやめた。
…オレは、これから先もずっと、こんな生活を続けるんだろうな。
そう思っても、特に何も感じなかった。
これがオレの定めなのだと思った。
神様を疑う事もしなかった。
神様なんて、いないから。
ふと立ち止まった、その時。
突然、強い光に包まれた。
ゆっくり、目を開ける。
そこは、高い塔の中だった。
正面には、きれいな女の人が座っている。
「ようこそ。迷い込んだ者よ」
状況が分からず呆然としていると、女の人がオレに歩み寄ってきた。
「あぁ…悲しい目をしているのね。愛を知らない目…」
そう言われ、思わずこの人を叩いてしまった。
「…あんたに、何がわかる」
「まあまあ、そんなに構えないで。ゆっくり、話しましょ」
女の人は、今の状況を説明してくれた。
オレは、今までいた世界とは別の世界に迷い込んでしまったらしい。
戻る方法はないと。
「…向こうの世界に、特に未練もないから…」
あるとすれば、恨みだけだ。
「そう…話は変わるけど、あなたに提案があるの」
「?」
「私たちと旅に出ない?」
「…旅?」
「そう、旅。私、弟がいるのだけど、
その弟と一緒に、旅に出ようとしてたのよ。
あなたがいれば、さらに賑やかになるし…
あなたの欠けた部分も、埋められると思う」
…欠けた部分。
オレの欠けた部分って…
「まあ、それが見つからなくても、
新しい世界を見て回るのは楽しいと思うわよ?」
「…それなら…一緒に行きます」
「ありがとう」
女の人は、微笑んだ。
「…あっ、そういえば、私の名前を名乗ってなかったわね」
そう言って、女の人はゆっくりお辞儀をした。
なんだか、オレの世界の貴族みたいな挨拶の仕方だった。
「私はエリーナ。この塔の管理者よ。あなたは?」
「…オレ、名前がないんです。そんなもの、
要らないって…言われて」
「あら…じゃあ、私がつけてあげましょうか?
…そうね…あなた、何か使える魔法とかはある?」
「魔法…」
あれ以来、もう使うまいと思って、使ってなかったけど…
「…雷の力がある…」
「へぇ、雷…かっこいいじゃない!」
エリーナさんの言葉を聞いて、どきっとした。
…かっこいいなんて、一度も言われたことなかったのに。
…この気持ちは、何だろう?
「あとは…白い髪…雪のような……よし、決めた」
エリーナさんは、オレに向き直って、言った。
「あなたは今日から、雪雷よ」
さて、この子…雪雷の話は、ここで一旦おしまいです。
しかし…この先は、まだお話することができません。
なぜなら、私たちと雪雷は、まだ旅の途中だから。
続きをお話できる日が来るかもしれないし、
来ないかもしれません。
お話できる日が来るとすれば…
彼が自分なりの「愛」を見つけたときでしょう。
それがいつになるのかは、誰も知りません。
…いつか、彼が愛を知り、
その悪魔の力を誰かのために使う日は、来るのでしょうか?
私は、そんな日が来ることを願っています。
では…このあたりで、お別れです。
また、会いましょう。
コメント
1件
ああ、素敵なお話でしたね…! 生まれつき目が赤いというだけで魔族扱いされ、名前すら与えられずに育った雪雷くんの孤独と怒りが、丁寧に描かれていて胸が締め付けられました。 特に母親の「あんたなんかあたしの子供じゃない!」の一言で、長年の疑問が弾けて「自分は魔族だ」と認めざるを得なくなる場面が切なかったです。 でも最後にエリーナさんが「雪雷」と名前をくれたこと、あの瞬間は彼にとって初めての温かい触れ合いだったんじゃないかな。 彼がいつか愛を知り、あの雷の力を誰かを守るために使える日が来るのか…続きがすごく気になります!