目の前には 大 、中 、小 と大きさで分かれている箱が3つ並べられてある。
どれから開けろと言われても……悩むものだ。
結局、全て貰えるのならなんでもいいか、とも思うけど。
千星 「 あ”~ 、そーだな。 間をとって中くらいの箱から頂くか 。 」
ゼノ 「 これだね ? では開けるよ … 」
ゼノが箱の中身を開けると そこには 黒い布のようなものが入っていた。
模様をよく見れば、何となく見た事のあるような気がする。
スタンリー 「へぇ、 よく出来てんじゃん 。 」
そう言ってスタンはその黒い布を箱から引っ張り出して、全体を見せるように広げた。
それは、今まさに彼が来ているのと同じ服だった。
ゼノ 「 千星は 運動神経がいいからね 。 それに 、 射撃も興味があると聞いたよ 。 それなら、スタンと同じ服の方が動きやすい 。 折角だ、着替えてサイズを確認してきてくれ。」
と、言ったので私は「OK 」とだけ言って、隣の部屋に入った。
数分後、
腰の痛みもだいぶ引いてきたのか、何とか服を着ることが出来た。
でも、身体のラインが分かるスーツ系の服装だから…何となく恥ずかしい。
けど、小型の銃やナイフを入れるであろうポシェットとか、軍人のような服に心が踊る。
今から楽しみでしょうがない。
隣の部屋の扉を開け、スタンとお揃いの同じ格好をして出てくる。
こう見ると、私も軍人のように見えるな。
スタンリー 「ん、 サイズピッタリそうじゃんね、 俺とお揃いだな 。 」
彼は私に近づき、煙草を口に咥えたまま頭を撫でてきた。
今日も今日とて色気が増し増しだ。美しいとしか言いようがないね、本当に。
千星 「ん …擽ったい からやめろ っ、 」
嫌ではないが、舐められているような気がしてならない。
…まぁ、頭を撫でられるのは、心地いいが…。
ゼノ 「おぉ、実にエレガント!! やはり千星やスタンが着ると見栄えがいいね、 」
と、ゼノも私の周りをくるっと1周し、服を確認する。
裸すら彼らに見られたから、身体を見られるのは慣れたかな、とか思ってたのに全く慣れやしない。
こんな美男2人から見られるのに耐えれる女性もいないし、この顔面偏差値高男達め!
なんて、心の底でギャーギャー騒いでいると、ゼノがこほん、と話を改めるような咳をした。
ゼノ「さて、時間ももったいないね、 もう一気に開けてしまおうか。 スタン、大きい方の箱を開けてもらってもいいかい? 」
スタンリー「あいよ、 」
スタンとゼノが一斉に箱を開けたので、私はその2つの箱の中身を覗き見る。
千星 「… っ!? 」
中身を見た瞬間、言葉にできないくらい私は驚き、感嘆した。
小さい方には 「リボルバー」が。
大きい方には 「脇差」が入っていたのだ。
ゼノ 「僕の独断と偏見で武器構成は選ばせて貰ったよ。どうだい? 気に入ってくれたかい? 」
千星 「あ”ー … すげぇな、 ゼノ 、自分で作ったんだろ?この2つ 。 」
3700年前でも銃に触ったのは1回だけ。
その時は警察銃ぽいのだったが、今は本物のリボルバーだ。
唆らねぇわけがねぇ。
ゼノ 「勿論だ、僕以外に誰がいるんだ 。 」
ゼノはドヤ顔をして、こちらをキラキラした目で見つめている。
可愛い_ 。 たまにこういうところがあるんだよな、ゼノ先生は 。
そう思いながら、さっそく リボルバーと脇差を受け取り、右手に刀、左手に銃を持って構えてみる。
(参考資料 こんな感じで構えている )
刀は日本刀に近い感じだ。 筋が光っていて、切れ味は良さそうに見える。
リボルバーは、6連射式っぽい。軽くもなく重くもない丁度いい重さ、初心者にも上手く使えるように設計されている。
スタンリー 「 チセ 似合ってんね 、 んじゃあ腰良くなったら射撃の練習しに行こうぜ 。 」
彼は私に向かってウィンクをして、そう言ってくれた。
そういえば、彼らと恋人になる前からそんな約束をしていたことを思い出す。
前と今じゃ全然2人との関係が違うが、こうやって過保護かっていうくらい労わってくれて、愛してくれている。
…本当に この2人の想い人になれて良かった。
ゼノ「… 顔がにやけているよ、何を考えていたんだい君は ? 」
千星 「 Månen er vakker . … 別に 、何も考えてねぇよ 。 」
ポツリと英語でも日本語でもない言葉を呟く。
『Månen er vakker』 は ノルウェー語で
『月が綺麗ですね』 という意味になり、
月が綺麗ですね、は夏目漱石 から取った、
『I Love You 』 だ。
流石の彼らもさすがに気づかないだろうと、少し言ってみたのだ。
スタンリー 「 … 何語だそれ ? 聞いたことねぇな 。 」
私の思惑通り、スタンは首を傾げ言葉の意味を考えている。
さぁ、同じようにゼノも…って、
… 笑ってる?
ゼノ 「 … なら僕は 『死んでもいいかな 。 』」
わざと日本語で、スタンに気づかせないようにゼノはそう言った。
ノルウェー語…まさか、ゼノも知っていたのか、それに夏目漱石のことも…。
改めて、私はゼノの頭の良さに驚いた。
言語学者でもないやつが、そんな多くの言葉を知るはずがない…いや、違う。
私と同じで語学力がゼノも高いのだ。
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千星 「 千空 〜 、 さっきから カタカタ 何してんだ ? 」
私が8歳半ばのころ 。
私の兄は辞書を引きながら 必死に英語で文字を打っていた。
千空 「あ”ー 、NASAの奴とメール 。 ロケットの作り方教えてもらってんだよ 。 」
難しい専門用語を英語で、しかも10歳にメールで返してくる奴なんて、一体どんな奴なんだろうか。
NASAという、私には微塵も関係の無い世界で働いている大人の科学者。
馬鹿馬鹿しく思いながら千空を眺めていたが 、彼が英語を調べているのをきっかけに私は言語学者を目指すようになったのだ。
世界には200種類以上の言語があり、未だに解明されていない言語も何種類かある。
私はそこに興味を持った。
千空 や ゼノが 宇宙や科学に興味を持ったのと同じように 。
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千星 「 … なるほどな 、 クク… 日本語もノルウェー語も 分かんなら 先言えよ 、 ゼノ 。夏目漱石 知ってる米人 がどこにいんだよ 。 」
ゼノ 「おぉ、 聞かれていなかったのでね 。 君よりは劣るかもしれないが 僕も多少は語学力があるものだよ ? 」
何を言ってもお見通しだな、そう思った。
語学力と科学力を持ったゼノと、統率力と戦闘力を持ったスタン 。
どんな敵が来ても負けるわけが無い。
千星 「…あ”ー 、 なんでこんな2人が私の事なんか 好きになったかなぁ… 」
そうポツリと呟けば、横にいた彼らは嬉しそうに笑い私の両頬に優しくキスを落とした。
スタンリー 「俺もゼノも 一目惚れ だな。 何よ、好かれたのが嫌だとでも言うのか? 」
ゼノ 「君が嫌だと言っても、僕らは離す気は一切ないけどね 。 」
嫌とは言ってないけど…まぁいいか。
脇差を絝の入れ物に、リボルバーをポシェットにしまい、私は彼らの目をじっと見つめた。
そして満面の笑みで、口を開いた。
『 改めて ゼノ、スタン これから私の「恋人」として 宜しくな 。 』
(話脱線しすぎてウケる 。 ということで23話も終わりましたね!次回は日にちを飛ばして射撃練習のところから始めたいと思います!!後2話くらいは夏休み中に頑張ろ!! では次もお楽しみください! )
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