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( 5日後 )
腰の痛みも引き、体調も万全だ。
痛み引くまでは まぁ大変だったがそこそこは楽しかった。
ゼノとスタンに、「何かする?」とか言っても何もさせてくれない。 ただベットに寝てるだけじゃつまらないし、体が鈍ってしまう。
そんな時、ルーナが声をかけてくれて 女子会とやらに参加した。
ここでは女は4人しか居ないが、それなりに話すのは楽しかった。
男のタイプとか聞かれた時は焦ったが…何とかやり過ごして、その場を留めた。
で、何とか5日後 。
ようやくスタンから射撃の練習に誘われて、唆りまくっているところだ。
スタンリー「 Morning チセ 。 痛みは 引いたか ?」
ガチャリ と部屋の扉が開き、毎度の如く煙草を咥えながら彼はベットに腰をかけている私に近づいてきた。
太陽の光が またもや彼の髪に当たってキラキラと星のように輝いている。
綺麗だ。
千星 「 Morning スタン 、 痛みは 殆どねぇな 。 くく、 お元気いっぱいだ 。 」
ベットから飛び起き、気分が上がりに上がっている私は、背伸びをしながらスタンの頬に ちゅっ、とリップ音を立て、優しくキスを落とした。
彼の驚愕している表情を見てると、面白いんだ。
千星 「 今日は 射撃 練習 、付き合ってくれんだろ? こっちは ちょー 楽しみにしてたんだからな 。 」
そう言って 、スタンに 微笑みかける 。
すると 彼は煙を吐き、 私の顎を掬って仕返しのようにキスをした。
スタンリー 「 分かってんよ 。 ならさっさと行かねぇとな 。 前 ゼノから 貰ったリボルバー持ってけよ 。 」
女性を虜にする理由は顔だけではなくこういうところにもあるんだな、
なんて思いながら、こくり と頷き ポシェットにリボルバーを入れる。
そして、 長い髪を 紐で一つにまとめ、ポニーテールにした。
スタンリー 「 … っ 、 準備出来たんなら、着いてきな 、 」
スタンの喋り方に一瞬違和感が生まれたが、そんなことも気にせず、私は彼の後ろを着いて言った。
数分後
もう完全に乾燥しきったとうもろこし畑を抜けると、そこには何箇所かに分けて小さな的が置いてある射撃訓練があった。
軍事施設に 置いてある物と比べれば質素なものだが、これだけでも胸が高鳴るというものだ。
スタンリー 「 ふっ 、すげぇ目 輝いてんね。 あんた 、 」
千星 「 いや 、初めて銃撃つんだからな、 そりゃ唆るってもんだろ ! 」
子供らしく、ぴょんぴょん飛び跳ねながらポシェットからリボルバーを取り出す。
弾の装填の仕方や、構え方、姿勢などは分からないので一から教えて貰わなければならないな、
なんて考えているとスタンリーが袋を取り出した。金属の様なカンっとした音が鳴る。
スタンリー 「弾なしじゃ撃てねぇだろ ? ゼノ先生から 貰ってきたから弾の装填の仕方も含めて教えてやんよ。 」
千星 「くく …はしゃぎすぎて 弾がないこと忘れてたわ 、 んじゃあよろしく頼む スタン 。」
彼は 「あいよ 。」 と言って 、袋から6つ弾を取り出し、 抱きしめるかのような距離感のまま私の後ろへ回った。
少し鼓動が早くなる。
スタンリー「まずは両手から慣らすか。 初めっから片手だと反動がデカいかんね 。 」
そう言うと、スタンは私の両手に上から手を重ね、銃を構えさせた。
アニメとかでしか見たことがないこの視点。
凄くワクワクすると同時に、スタンとの距離が近すぎてなんだか緊張する。
スタンリー「 そんな感じ 、チセ って 右利き、左利き? 」
千星 「 両利きだ 。ものによって違うけど基本的にどっちでもできる 。 」
私は刃物は右手で、箸やペンを左手で持つタイプ。 リボルバーもきっと右利き用に作られているはず…
スタンリー「 へぇ 、このリボルバー左利き用じゃん 。ラッチが右についてんよ 。」
千星 「!! 銃って殆どが 右利き用じゃねぇーのか? 」
驚いた。ゼノ先生のお手製の銃のはずだが…
何故わざと左利き用に…?
?? 「おぉ 、その点についての説明はいるかい? 君たち 。 」
急に後ろから馴染みのある声が聞こえてきた。
2人でパッと、後ろを振り返るとそこには腕を組みながら歩いてくるゼノの姿があった。
スタンリー「 なんか仕組んでんの? この 銃に。 ラッチが右にあんだけど 。 」
スタンがそう言うと、ゼノはリボルバーを奪い、私の方を見て簡単に説明し始めた。
ゼノ「 僕は もうひとつ君に短刀を渡したはずだ。 もしそれを右手に持つとしたら 銃は 左手に持たなければいけない 。 なら、左利き 用にした方がいいと考えたんだ 。 」
指を上に立て、ドヤ顔をして話し始めたゼノ。
うん、可愛いな此奴。
少々呆れ気味に笑いながら、彼の話を聞く。
千星 「あ”ー、つまり二刀流で闘う時を考えてるってことでいいんだな ? 」
ゼノ 「そういうことだね 。 さて、折角ここまで来たことだ、 僕も見ていっていいかい?千星の射撃を 。 」
私にリボルバーを返し、ゼノは近くの椅子に座った。 足を組み、ふんわりとした笑顔でこちらを見ている。
私もゼノに微笑み返し、こくりと頷いた 後、スタンの方を向きリボルバーを渡した。
千星 「 んじゃあ、スタン、 弾の装填の仕方教えてくれ 。 」
優雅に煙草を吸っているスタンにそう話しかけられると、いとも簡単そうに ラッチというリボルバーの部品を外し、弾の装填部分を出した。
流石軍人。手馴れている感が満載だ。
スタンリー「 あいよ、まず 此処を… 」
ここからは説明が長いのでざっくりと説明させていただく。
① ラッチを開き、シリンダー(弾を装填する為の穴が6つ空いている部分のこと)を出す。
②スピードローダ(弾をまとめて装填する為の道具)を使い、弾をまとめて6つ押し込み、装填する。
③右手でシリンダーを元の位置に戻す。
これで弾の装填ができるようだ。
スタンリー 「あとは引き金を引くだけだな 。そのリボルバー貸してみな。見本を見せてやんよ 」
彼は慣れた手つきで銃を構え、リロードをしてはそのまま的に向かって弾を放った。
ドンっ、というSEと共に発射された弾は的のど真ん中に命中したらしい 。
千星 「す、… すげぇな …やっぱ スタン って 、 」
ゼノ 「ふふん、まぁね。 僕の銃とスタンの腕さえあれば百人力だよ 。 」
スタンリー「…なんであんたが自慢げなんよ… まぁいいけど 。 射撃としてはこんな感じだぜ、チセ 。 」
機嫌がいいゼノと、呆れ半分で苦笑いをしているスタン。
銃を撃つ。この単語自体を並べると物騒に思えるが、この光景はすごく平和だ。
自然と表情が緩くなる。
石化して、復活してからどれだけ彼らに幸せを貰っただろうか。
元の世界が幸せではなかったとは言わないが、百夜、千空、友達とはまた違う温かさの愛を貰って、…
あ”ー、脳が溶けてるな、本当に。
スタンリー「ふっ、なにニヤニヤしてんだよ、 1人でさ 。 」
そんなことを考えていたら、スタンの顔が視界の9割を担っていた。
一瞬の出来事に驚いて、つい顔を逸らす。
千星「 !? …き、 距離が近ぇ 、もう少し離れろ… 」
顔に熱を持たせながら、1歩後ろに下がる。
この距離感にはどうしても慣れねぇ。
ゼノ「こらスタン、君だけ距離が近すぎるよ。 僕も混ぜてくれ 。 」
千星「っ 、 と… ちょ、 危ねぇだろう、 が… って ゼノ、 てめぇも距離が近ぇ… ! 」
1歩後ろに下がった瞬間、後ろにいたゼノに気付かずにそのまま倒れ、支えてもらう状態になってしまった。
恥っず…なにこれ。
ゼノ「おぉ、すまないね 。 しかし 、僕も君の恋人なのだから会話に混ざる権利はあるだろう? 」
わざとらしく笑っては、彼は私から離れた。
恋人ってみんなこんな距離なのか…なんて思いながら、きっとスタンに嫉妬していたであろうゼノを見て、なんかキュンとする。
嫉妬されるつーのは、案外嬉しかったりもするものだ。
千星「… 別に 距離近くてもいいけどさぁ、 最初に言えよな… 吃驚すんだろ 、 ?」
2人から顔を逸らしながら頬を掻く。
こいつらはスキンシップが多いから、今くらい言っとかないと私の心臓が持たない。
スタンリー「わーったよ、 んじゃ 次からは言ってからあんたのこと抱きしめんね 。 」
ゼノ「ふふ、距離が近いのをやめろと言うのではなくて 、許可を取ればいいのだろう? 優しいんだね、千星は 。 」
…前言撤回。
こいつらの距離感はきっと治ることはないだろう。
心臓の換えが欲しいくらいだ。本当に、
千星「 …あ”ー、もうそれでいいわ 。 それより銃撃ちたいんだけど、 」
スタンリー「ん 、あいよ 。 後は引金を引けば撃てるようになってるから 。 」
銃を渡したと思ったら、スタンは私の手首を掴み、ゆっくりと銃を構えさせた。
スタンの先程までの雰囲気が嘘かのように、空気が重くなる。
時間が経つにつれ、段々と銃が手に馴染む。
スタンリー「深呼吸して、的にだけ意識向けな。 」
と、耳元で囁かれる。言われた通りに、深呼吸をして的を狙う。
すると、風の流れを微かに感じることが出来るようになった。
勘かもしれないが、それでも何となく何処に撃てばいいかの検討が着く。
瞼を閉じ、1度全集中を今この瞬間に注ぐ。
私は、目を開けたと同時に銃の引き金を引いた。
ドンッ!
腕に衝撃を感じたと共に、銃のSEが耳に木霊した。
撃った弾は…
銃口の一直線先、つまりど真ん中に当てたのだ。
千星「え、…あ、 当たりやがった、… しかも真ん中…」
自分でも驚きを隠せない。口を半開きにして腕すらも降ろさずに、体が固まったようになっている。
スタンリー「…へぇ、やんじゃん。 」
ゼノ「おぉ、!!千星、君は射撃の才能もあるらしい!!」
口角を上げながら頭を撫でてくるスタンと、椅子に座り嬉しそうに声を荒らげるゼノを両方ちりと見ては自分の手の中にある拳銃に視線を変える。
楽しい_。
拳銃を強く握りしめ、まるで子供が大切な人形を抱きしめるかのように大切に胸の中へと包む。
もっと早く、この楽しさに気づいておけばよかったな、なんて思いながらもう一度2人の方を向き、口を開けた。
千星「…もうちょい、撃ってもいいか、? 」
首を傾げて聞けば、「勿論」というように2人は微笑んだ。
◆◇
結局、夕方になるまで二人を付き合わせてしまった。
ゼノの作った弾を全て使い切り、やりすぎたと反省をすれば、
ゼノ「硝酸は大量にあるんだ、大丈夫だよ。 硫黄またスタンが取ってきてくれるしね、」
なんて、笑って許してくれた。
夜になる前には 流石にスタンに止められ、城に戻った。
銃を撃った時の興奮と感動がまだ体に残っていて、なんだか落ち着かない。
ひとまず、シャーロットやルーナ達が作ってくれた夕飯を頂き、シャワールームで汗を流した。
ス タンリーは夜の偵察に行ってしまい、暇になった私はゼノが研究していると聞き、研究室へと足を運んだ。
◇◆
千星「ゼノー 、いるか、? 」
研究室の扉を開け、様子を伺えば暗闇の中、1つのライトだけを頼りに何かを作っているゼノの姿が見えた。
ゼノ「おぉ、千星かな ? よく来たね、 」
それだけを発しては、私の姿を見向きもせず手元に集中している。
ゼノにそっと近寄れば「何してんだ?」と後ろから聞いてみた。
ゼノ「スタンの煙草を作っているんだ、 彼も愛煙家だからね、 心底呆れるよ。 」
千星「ほぉん 、 …ゼノは煙草嫌いなのか ? 」
因みに私は煙草が嫌いでは無い。逆にスタンの煙草の香りは何となく落ち着くものだと思っている。
ゼノ「別に嫌いな訳では無いよ。 然し身体に悪いだろう? 実際、病気にもなりやすくなる。 メリットがないじゃないか。 」
作業に疲れたのか、ゼノは1度動きを止め、椅子にだらんと腰掛ける。
きっと疲れてるんだな、と思った私はにやりと口角をあげた。
千星「…ふ 、ゼーノ 。」
そう名前を呼んでは、彼が後ろを振り返ったのと同時に唇に口付けをする。
驚いているゼノを見つめながら微笑みを浮かべた。
千星「疲れは取れたか? 」
ゼノ「…おぉ、 そうだね、 驚きすぎて疲れていたことも忘れたよ。 …君は結構大胆な子だったんだね。 」
千星「くく 、 余裕あんだよ 、今は 。 」
なんて言えば癖のある笑い方をする。
まぁキスくらいしかできることは無いのだが。
ゼノ「Thanks、千星 。 君のおかげでもう少し作業ができそうだ。 もう夜だから君も寝た方がいいよ。 」
再び机に視線を向けたゼノが私を気遣うようにそう言った。
いや、1番寝なきゃなのはてめぇだろ。と
ツッコミたいところだが、確かに夜も遅い。
素直にその言葉を受け入れては、
千星 「んじゃあそうさせて頂くわ。Goodnight ゼノ 。」
とだけ言って 私は 研究室を後にした。
( …え?1ヶ月以上経ったってまじ??? ごめん!夏休み終わって忙しくてぇ…泣
謝罪として5000文字以上にしといたから!そして変なところで止めてごめん!!
次回も1ヶ月以上経つかもしれないけど楽しみにしててね!! )
コメント
6件
最高、
今宵もサイコーでしたァー!!!! 自慢げに人のこと話すゼノ可愛すぎるぅ〜!!!!