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「俺はみんなといる時間が好きだった。でも、その時間は永遠には続かなくて。」
Leo/need
これは幼い頃の俺達の話。
「今日は楽しかったね!やっぱりぼく、ミクの曲大好き!」
「私も、好き。なんだか聞いてると落ち着くし」
「わたし、大好きなミクの曲をうまく歌えて、とっても嬉しいな…!」
「楽しかったけど、私は疲れちゃった…」
「アタシたちみーんな疲れたよー!」
「あれ?あの星流れ星じゃない?」
「ホントだー!きれい!」
「いっぱい見えるね!」
「流れてる間に願い事を言ったら叶うらしいよ」
「えっ!早く言わなきゃ!えっと、みんなとずっと一緒にいれますように!」
「その願い5人で願ったら本当にずっと一緒にいれそうだね!」
「咲希っ!大丈夫!?」
「司兄呼んだほうが!」
「私と穂波は咲希を見てるから、一歌とりおんは司さんを呼んできて!」
「咲希ちゃん!大丈夫!?」
「…ぅう、苦しいよぉ」
「早く呼ばなきゃ!急ぐよ!」
それから司兄の素早い対応のお陰で咲希は助かったが、俺達は咲希と離れ離れになってしまった。
「いたいっ!母さん蹴らないで!」
「うるさい!アンタは黙って蹴られてなさい!ろくな事もできない子はこれぐらいで十分よ!」
俺の母親は俺を殺す勢いで殴って、蹴ってきた。
次第に激しくなって、みんなの前でもするようになった。
その時は司兄が止めてくれた。
司兄は誰に対しても優しく俺の母親でさえ責めずにいた。
俺の母親は「俺が他人に迷惑をかける前に」と転校の手続きを勝手にし、俺は隣のさらに隣の町に引っ越した。
これで俺とみんなは本当に離れ離れになった。
今考えれば仕方がないことだと思う。
俺がいても一歌たちに迷惑をかけるだけだし、何より黙って転校したことを許してもらえるはずがなかった。
俺の母親は数年前に事故で他界したが、今更あの街に戻っても意味はない。だからあの街とは今後一切かかわらないと思っていた。
かかわらないと思っていたのに。
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