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お疲れさまでした!第508話、読み終わりました。 今回は阿久津さんの復帰が正式に決まって、本当に良かったですね。あの拍手と歓声にじんと来ました。そして何より、チーム莉子の乙女たちが六駆くんを引き留めるシーンが最高でした。莉子さんの「一緒じゃないとお仕事しません」って駄々こね、かわいすぎます。おじさんが泣いちゃう気持ち、めちゃくちゃ分かりますよ…。 南雲監察官が渋々折れるところも、組織の論理と人情の狭間で苦労してる感じが伝わってきました。無事故完走で終われたのが何よりですね。本当にお疲れさまでした🌷
その頃、日本探索員協会本部では。
「あぁ? 和泉さんよぉ。北極のサーベイランスに煌気反応があるぜぇ? 6……いや、8だなぁ。Sランク相当が5人。こりゃあよぉ。間違いなく国協の探索員だろぃ」
「了解しました。福田さん、引き続き監視と映像の記録をお願いします。日引さんは五楼上級監察官の手が空き次第ご報告を。山根さんはげふっ」
「あーあー。ったく。山根さんはよぉ。どうにか通信傍受してみてくれ。まぁ無理だと思うけどよぉ。国協の情報拾えたらめっけもんだからよぉ」
「福田。了解しました」
「日引! 了解です!!」
「山根も了解っす! 阿久津さん、このまま指揮官講習受けるってのはどうっすか?」
和泉正春Sランク探索員の補佐を完璧にこなしているあっくん。
山根だけでなく、オペレーター室の大半の者がそう思っていた。
「あぁ? 冗談きついぜぇ。俺ぁそもそも探索員に復帰すらしてねぇんだからなぁ? この仕事が終わりゃ、またカルケルに戻るんだからよぉ」
「もったいないっすねぇー。復隊すれば監察官室で争奪戦は確定なのに」
「くははっ。言ってろぃ。俺ぁ絶対ごめんだね。誰かの下で働くのは性に合わねぇんだ」
「阿久津さん。小生のようにフリーで活動する手がありまげふっ」
「ったくよぉ。あんたは人の心配してねぇで、椅子にでも座っててくれっかぁ? 何より勘弁なのは、和泉さんよぉ。あんたが倒れて俺の仕事が増えることだぜぇ?」
と、ここで指揮権を委譲していた五楼京華上級監察官が戻って来た。
彼女の表情に暗さはなく、どうやら国協のオリビア理事との協議は良好な結果だった模様。
「ご苦労だった。和泉、阿久津。こちらは話がついた。再び私が指揮を執ろう」
「あぁ。助かったぜぇ。んじゃ、俺ぁ監獄に戻るとするかね」
「阿久津。待て」
「あぁ?」
「先ほど、カルケルの司令官代理であるメケメケマル氏と交渉が済んだ。貴様は刑期満了とみなされる事になったぞ。これで罪は償ったわけだ」
オペレーター室から拍手と歓声が上がる。
阿久津はばつが悪そうに舌打ちをした。
「そりゃあどうも。これで俺ぁ自由の身って訳か。さて、そんじゃハローワークにでも行って、就職活動するかね」
「何を言っている。貴様はうちの監察官室で預かる」
「あぁ? おいおい、冗談じゃねぇぞ?」
「監察官以上の者による3年間の経過観察。これが貴様の次に向かう立場だ。拒否権などない。こき使ってやるから覚悟をしておけ。無論、価値のある仕事には相応の報酬は用意するぞ。働きによっては昇進査定も受けられる。期間が終われば晴れて復隊だ。励めよ」
「ちっ。マジかよ。面倒くせぇことになってやがんなぁ」
「良かった! 本当に良かったですね! 阿久津さん! 小生、これほど嬉しいことはげふぅっ」
「あーあーあー。分かった。分かったからよぉ。人に祝いの言葉吐きながら血ぃ吐くのはヤメてくれっか? まったく、犯罪者になんてなるもんじゃねぇなぁ……」
#現代ダンジョン
夜鐘
1,159
裏五条
21,508
43
国協の理事の懐柔は3人目。
そして、阿久津浄汰の探索員復帰が正式決定した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ヴァルガラでは、南雲修一監察官の孤独な戦いが続いていた。
「わたし、六駆くんと一緒のパーティーじゃないとお仕事しませんからねっ!!」
「こ、小坂くん! そんな、子供じゃないんだから!! 無茶を言わないでくれ!!」
「子供ですぅ!! わたし、まだ高校生ですもん!!」
「うにゃー。莉子ちゃんが本格的に拗らせてるにゃー。これは不用意に接近すると、とばっちりを受けてダメージ負うパターンだぞなー」
チーム莉子の乙女たちだって、もちろん六駆と今後もパーティーを組みたい気持ちである。
逆神六駆と言う男は共に活動するだけで成長のきっかけをもたらし、後方に控えているだけで安心感を抱かせる。
既にチーム莉子にとってはお守りのような存在であり、それが急になくなるのは不安があると言うのも当然の考え。
莉子さんが駄々をこねているのは「六駆くんと一緒にいたいもん!!」と言うだけの理由だが、ここは多数派の意見の方を採用したい。
「ほいじゃったら、任務がある度に六駆のにもソロの任務として同じ現場に行かせりゃあええんじゃないか?」
「わぁー! 久坂さん!! そんな裏技が!! すごいですよぉ!! えへへへへへへっ」
「……久坂さん。本当に裏技じゃないですか。適当な提案をしないでください。逆神くんが国協の監視対象になるのは確定的なんですから。チーム莉子にも不必要な制限や、場合によっては身の危険だって起きる可能性があるのに」
南雲の言葉を受けて、チーム莉子の乙女たちも「発言するならここしかない!!」と悟る。
「わたくしは構いませんわよ? 六駆さんがいらっしゃる事で生まれる利益と不利益を比較しても、圧倒的にメリットが大きいと思いますもの」
「みみみみっ! 芽衣は師匠と莉子さんはいつも一緒が良いです!! じゃないと、リーダーのメンタルが不安定になってパフォーマンス低下の危機です! みみっ!!」
「パイセンとしては、チーム莉子の古参ですからにゃー。六駆くんが抜けちゃうと、なんだかボーカルが変わったバンドみたいに感じちゃいますにゃー」
「ほらぁ! 南雲さんっ!! みんなもこう言ってるんですよぉ!! ほらぁ!!」
南雲監察官、いよいよ追い詰められる。
リスキー過ぎる活動形態となるが、今や日本探索員協会の中でも屈指の精鋭パーティーとなったチーム莉子の士気に関わる問題である。
そもそも、本当に莉子が辞めたりした場合の損失は計り知れない。
そして、今の莉子さんならガチで辞めかねない。と言うか、多分辞める。
「逆神くん。君からも何とか言ってくれるか……ね……? どうして君は泣いてるの?」
「いや……。なんて言うか。僕、周回者生活が終わってからたった1年で、こんなに人から必要とされるなんて思わなくて……。よくよく考えたら、おっさんを若い子たちが引き留めてくれるのって、嬉しいなとか思ってたら、自然と涙が……」
六駆おじさん、おっさん特有の涙もろさを新スキルとして獲得する。
「修一。諦めぇや! なぁに、ワシも隠ぺい工作に協力するけぇ! あとは雷門のと木原の辺りにも声かけちょこう! 指示出す監察官室を混在させりゃあ、そうそうバレりゃあせんじゃろ! ……多分!! ひょっひょっひょ!!」
「……はあ。分かりました。では、逆神くんは特務探索員と言う肩書で、チーム莉子と接触していない体を守りながらチーム莉子に残留してもらいます。……なにこれ。ものっすごい面倒な事になってる。嫌だなぁ」
乙女たちから歓声が上がり、六駆おじさんは再び涙が込み上げて来たと言う。
若い子に必要とされる事は、おっさんにとって何よりも貴重な宝石なのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
それからさらに3時間ほどが経過して、ヴァルガラの修復も完了した。
火山が噴火して大地は割れて、ついでに山の1つや2つ吹き飛んだのに。
それが数時間で元に戻ると言う異常事態。
「じゃあね、あたしゃ帰るけぇね! お父さんも来ぃさんや! 来る前にアナちゃんとちらし寿司作ったからね。食べて行きぃさん!」
「ほほう。そりゃ美味そうじゃ。では、そうしようかの!」
「六駆ー。お母さん、帰りますねー。お仕事が終わったら、莉子さんを連れてちらし寿司食べに来るのですよー」
逆神家、みつ子の出した『門』で異世界から呉に直帰する。
気付けば今回の作戦の最大の功労者は間違いなく彼らである。
なお、逆神家なのにちらし寿司パーティーの招待状が届いていない者が1名いるのだが。
もう尺もないので、精々パチンコ屋に寄付していると良い。
「では、我々も引き上げましょうか」
「ほうじゃの! 雨宮のたちも呼んでくるかいのぉ」
「じゃあ、転移は僕が!! ふぅぅぅんっ!! 『門』!!!」
作戦の終了はやはり逆神六駆の出した門をくぐっての凱旋に限る。
色々とあったが、結果を見れば無事故完走。
今回も欠員なしで任務を終える事が出来た。
誰がいなくてもこの結末にはたどり着けなかったであろう事を考えると、日本探索員協会に所属する全ての者の戦功と言えるだろう。
本当に、お疲れさまでした。