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#こじだて
雪だるまひとひと💙
1,825
MIの部屋
1,020
―チュン…
――チュン、チュン……
❤️「……んー………」
リョウタは小鳥たちの鳴き声で目を覚ました。
頭がまだ眠気と闘っている中、無理やり身体を起こしてベッドから下りる。
グッと手を高く上げたり、腕を組んで筋を伸ばしたりしながら窓に近付いていく。
――サーッ
❤️「ぁっ…、眩しい……」
カーテンを開けると目が眩むほどの光が部屋いっぱいに入って来る。
ここ数日は雨が続いたせいで洗濯が出来ず、服やタオルが溜まっていることを思い出す。
窓を開けて空の様子を見ると、雲一つない青空が広がっていた。
❤️「うん、今日は大丈夫そう」
絶好の洗濯日和。
❤️「……まずは、皆を起こさないとね」
自室を出て隣にある大部屋へ向かう。
ドアを開けて中に入ると、いくつも設置されてる二段ベッド。
一つひとつを覗き込めば、スヤスヤと眠る子供たち。
❤️(……ふふ、可愛いなぁ)
こんな寝顔を見ていると、起こすのが少し可哀想な気もするけども。
心を鬼にして、カーテンを思いきり開けた。
❤️「みんな!朝だよー!」
リョウタの朝一の仕事は、そんな子供たちを起こすこと。
――こうして、孤児院の一日が始まる。
***
リョウタは物心がつく前から、今まで孤児院で育った。
今年で20歳となるため、本来なら孤児院を出て独り立ちしてもおかしくない。
しかし、リョウタより下の子供たちは10歳近く離れてるため働けない。
育ての親である義母は支援金と内職で稼いでるものの、食べ盛りの子供たちを養っていくには心許ない。
そのため、リョウタは子供たちを養うため働きながら父親代わりをしていた。
.
.
.
❤️「……ふぅ、やっと終わった」
額に滲んだ汗を手の甲で拭う。
予想以上に洗濯物が溜まっていたようだ。
❤️「風が気持ちいい……」
干し終えた洗濯物が風でなびいている。
天気も良いし、早く乾きそうだ。
「リョウタ」
後ろから話しかけられ振り向く。
❤️「義母さん」
「今日、仕事休みだったよね?」
❤️「うん」
「悪いんだけど、私の代わりに買い物に行ってくれる?」
❤️「いいよ」
「ありがとう。これ、袋と買い物リストね」
袋と紙を手渡され、リストを確認する。
トイレットペーパー、ティッシュ、食器用洗剤など日用品が書かれていた。
❤️「ちょっと、多くない?」
「文句あるの?笑」
❤️「何もありません!笑 それじゃあ、さっさと済ませてくるね!」
手を振って、その場を後にしようとすると義母に呼び止められる。
振り向いて首を傾げると、義母は優しく微笑んでいた。
「……いってらっしゃい」
❤️「うん!いってきます!」
手を振り合い、今度こそ買い物をするため街へ出掛けた。
***
街での買い物が終わった帰り道。
リョウタは買った物の量と残高を見て、思ったことがあった。
❤️「……うーん。出費が多いな」
消耗品は減るものだから、仕方ないとしても気になってしまう。
❤️(もっと働く時間、増やしたいけど……)
孤児院の現状を考えると、そうは言ってられない。
❤️(……それだと義母さんの負担が増えるし)
しかし、出費がかさむのも事実。
❤️(……どうしたらいいんだろ)
思わず深いため息を吐いてしまう。
悩みながら孤児院へ向かって歩いていると――
――パーッ!
❤️「え?」
突然、リョウタの足元が光り出した。
円形に複雑な模様と文字が形を成していく。
❤️「何これ……」
それは――まるで、魔法陣のようだった。
咄嗟に逃げようと足を動かそうとした瞬間、リョウタの身体が徐々に沈んでいく。
❤️「っ!ちょ…!」
必死に藻掻くも、底なし沼にハマってしまったかのように抜け出せない。
身体が呑み込まれる寸前、リョウタは意識を失ってしまった。
光が完全に消えた時、その場に残ったのは――購入した日用品だけだった。
***
❤️「………ん」
リョウタが目を覚ました時、初めに感じたのは寒さだった。
異様に冷たい床が全身に伝わる。
重たい身体を起こしながら、リョウタは辺りを見渡した。
ひび割れた壁。
穴の空いた天井。
あちこちに散らばる瓦礫。
埃っぽい床。
一見、広間のように見えるが――
❤️(……廃墟?)
何故、こんな場所にいるのだろう…と頭を悩ませる。
❤️(……確か、買い物に行って)
荷物を抱えながら孤児院に向かって……と一つひとつ思い出していく。
❤️(……魔法陣に、吸い込まれたんだった)
ここにいる理由を思い出しても、分からないことだらけだった。
❤️(……とりあえず、助けを呼ぼう)
リョウタは立ち上がり、近くにある扉に向かった。
❤️「誰か!」
ドンッドンッと扉を叩く。
❤️「誰かいませんか!」
大声を出しても周りに反響するだけ。
それに加えて、ドアノブを回しながら扉を開けようとするが、ビクともしなかった。
よく見ると扉の上側が歪んでいる。
❤️(ダメか……)
仕方なく手を離す。
後ろを振り返ると、反対側にも同じように扉が付いていた。
❤️(……あっちなら、いけるかな?)
一縷の望みに賭けて反対側へ足を進める。
丁度、広間の半分を過ぎた時だった。
――バゴーンッ!
❤️「!?」
広間に物凄い轟音が響き、リョウタは勢い良く振り返った。
先程まで触れていた扉に、大きな穴が空いている。
余程の力だったのだろう。
視界を隠すように白い煙が立ち、辺りに木片や瓦礫が散らばっている。
❤️(……良かった。これで助かる…!)
強大な力で扉に穴を空けられた恐怖心より、ここから出られることに安堵した。
「………して……ん!」
「……さい……。…が………れば………だろ?」
途切れ途切れだが、声も聞こえる。
リョウタは、穴の空いた扉へ向かおうと足を動かそうとするが――
❤️(……? ……あれ?)
一歩たりとも進めない。
それどころか、ガタガタと震えている。
❤️(……なんで?)
リョウタの意思と反して、本能が【逃げろ】と警告を出していた。
その場に固まっているリョウタをよそに、立ち上がった煙が徐々に晴れていく。
視線を向けた広間の外には、二つの影。
その姿がハッキリ見えた瞬間。
❤️「………ぁ」
リョウタは糸が切れた人形のように身体の力が抜け、尻もちをついた。
小さな声を聞き、微かに残る白い煙を抜け二つの影が広間に足を踏み入れる。
「あ〜!おった!」
一人は、リョウタと身長の変わらない茶色の髪をした青年。
壁に反響する程、西の国特有の訛りで大きな声を出し、リョウタを指さしている。
「本当だ」
もう一人は、リョウタより身長の高い黒髪の青年。
一人とは対照的に低く冷静な声で、リョウタを見つめている。
この特徴だけなら、リョウタは恐怖を感じることはなかったかもしれない。
しかし、この二人は人間とは明らかに違う特徴を持っていた。
尖った耳。
頭部から生える角。
正面からでも見える漆黒の翼。
❤️(……悪魔)
リョウタが幼い頃に絵本で見た【悪魔】の特徴そのものだったのだ。
❤️(どうしよう……)
絵本で見た悪魔と同じなら自分は――
❤️(――食べられる…!)
その考えに辿り着くとリョウタの身体は、ガタガタと震えて出す。
❤️(……い、嫌だ…っ!)
そして、悟った。
自分の運命は、目の前の悪魔次第で。
もう二度と義母や子供たちのいる孤児院には戻れない。
そんな悲しい予感が、リョウタの脳内を駆け巡っていた。
next…
コメント
9件
🧡❤️だー‼️ ぜつさんのこういう世界観大好きです😍
ぜっちゃんらしい素敵な世界観の物語が始まったね✨️ zetsu劇場の始まりだ!! 私もアホとえちばかりじゃなく、こういうの書きたい✨️✨️✨️←無理ですね。 次回も楽しみにしてるね💕
すごく素敵な世界観😍❤️ 続きがとっても楽しみです✨