なんか甲斐田愛されに近くなっちゃった。 (愛されも好きだが)
終盤でイチャイチャぶっ込みの形になるわ。
んで今のまま行くと凄い長いなこれ。(今でも充分長い)
桜魔皇国・皇都内のとある病院。
そこには、まだ目覚めていない甲斐田が入院していた。
そして今、長尾と弦月が甲斐田の見舞いへと訪れていた。
ガラッ
「晴くーん、来たよー… 」
弦月は苦笑を浮かべながら、甲斐田の傍へ。
長尾は後ろ手で扉を閉め、ベッドの横の椅子に座る。
「…まだ、起きねぇか」
「そうだね…」
───10秒ほどの沈黙が流れた。
両者甲斐田の顔をじっと見ていたが、やっぱり甲斐田が目覚める気配は無い。
「─なんで」
「景くん…?」
「なんでなんだよ。確かにコイツは重症を負った。大量に術も使って魔力もほぼ尽きてた。…だけど魔は祓った。今コイツが眠ったままの理由は魔のせいじゃない。…だったらもう起きれるだろ! 傷口は塞がってるし魔力も回復しただろ!? 普通傷口塞がって魔力半分も回復すれば意識は戻るだろ!? 大体1日経ったら十分なってるハズなのに…どうしてだよ」
長尾は立ち上がっていた。
「…ッ…2日、経ってるもんね…」
2人揃って、泣きそうだった。
「…神様にさ、聞いてみたんだ。どうして晴くんはまだ起きないのかって。」
「え?」
「そしたらね、こう返ってきたよ。『彼の心に、何かが引っかかっているから』…だって」
「引っかかってる…」
「『それが解けるまで起きることは無い』」
「!?」
「…僕らは、晴くんが自分で解いてくるのを待つしかないんだよ」
「…そうか」
長尾は落ち着きを取り戻したようで、再び座り腕を組んで少し考えた。
「…なぁ」
「何?」
「これ、言った方が良いのか?」
長尾の視線が甲斐田へ向いた。
「あぁー……機密では無いから言っても平気だけど…」
そう言いながら弦月の視線も再び甲斐田へ向いた。
「まぁ、言ったとて─」
長尾が足を組み頬杖し、
「─どう受け止めるか。だよな」
深刻そうな表情で呟いた。
すると。
「─ッ゙」
「!?」
「晴くん!?」
「─ッァ゙、ゔッぐ」
「魘されてんのか?」
「起きはしないね…って、いけない! 僕先生呼んでくる!」
「あ、あぁ頼む」
魘されている甲斐田は、右手をシーツごと握りしめていた。
「晴! 甲斐田晴! 起きろ!! 聞こえるか!?」
どれだけ呼びかけても起きる気配はせず、魘されたまま、顔色は悪いまま。
「クッソッ」
何も出来ないのかと、長尾の表情に焦りが生じる。
「───ぃ──」
「!? 晴!?」
「ッ─つ、れていくなッ──ゔっ─そ、の、人を、連れて…行くな────やめろ゙ッ」
「っ、晴?」
ガラッ
「甲斐田さん!!」
医師が到着した。
「景くん、晴くんは…」
長尾が放心したような状態で立っていた。
「…お、さまった…?」
苦笑いでそう言った。
アレだけ握りしめていた右手は、もうすっかり力が抜けていた。
やめて、やめッ…やめろ!!
その人はっ、その人だけはッッッ!!
ァ゙っ…
「ッ…ハァッ……ハァ……」
全身で息を吸う。
「は、やく」
汗がポタポタと落ちる。
「早く、ここから出ないとッ」
「──────と、言う訳…なんですy─ッゴホッ」
「ちょ、大丈夫ですか!?」
「水飲み。ゆっくり…落ち着いて」
社長、咳き込んじゃった…
ガタッって立ち上がったのはリゼさんやろう。
…とこさん、1回俺から話聞いてるからか冷静やな…
「───、ですか」
「? 剣持さ─」
アンジュさんの呼びかけが止まった。
どうしたんやろか?
「コホッ、コホ…剣持さん、どうし」
「なんでですか!?」
落ち着いた社長を遮ってもちさんが叫んだ。
…そらぁなぁ…
「なんですぐに話してくれなかったんですか!?」
「…グスッ─うぅぅ───」
再び俺の目からは涙が流れていた。
また悲しくなって。
みんなに申し訳なくって。
でも今は、声を押し殺して。
「──ごめんなさい、お2人ともッ」
声になっていたのかも分からない、とても小さな声で、不破はそう言った。
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