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よし、恋と分かればこれからすることは決まっている。それは、猛アタックをすることだ。
僕という人間が恋なんかに怯むわけないでしょう、だってあの剣持刀也ですよ。
ホストだろうが年上だろうが同性だろうが。好きになった相手を諦めるつもりはさらさらありません。僕には度胸があります。
待ってろよ不破湊。絶対に振り向かせてやるからな。
【no side】
剣持が恋に気づいた少し後。予定通り収録は開始された。猛アタックといっても、収録中はそこまで前とは変わりない。前から剣持は不破に対して甘かったし、本人は無意識だろうがよく顔を見ていたり触れたりしていたからだ。
地獄の7本撮りの中の3本が終わった昼、一度控え室に戻り、4人で昼ごはんを食べていた。
「わぁ!今日はいつもより豪華なお弁当じゃないですか!」
社長、ことメンバーの加賀美が目をキラキラさせてテーブルの上に置かれた弁当を手に取る。
「んぇ〜ほんまやん!んは、しゃちょ、目キラキラやなぁ、あ、でもオクラ入っとる。」
そう不破が言った途端に加賀美の顔が目に見えて元気が無くなるものだから、面白い。すると不破が加賀美の背中を摩って
「んも〜そんな落ち込まんで〜?あ、俺の唐揚げと交換する?」
「え、いや、悪いですよ!不破さん食べたいでしょう?」
「んーや、ええの!ほら、俺今減量中やからさ〜な?交換しよや!お願い、俺がしたいの!」
と、言って加賀美の分のオクラと自分の分の唐揚げを交換していた。剣持は、不破が現在減量中ではないことなと知っていたが、彼なりの優しさだろうと考え見守っていた。そんなとこも”好きだなぁ”と、声に出ていたのか、甲斐田に聞かれてしまう。
「えっ、もちさ、」
「黙れ甲斐田」
剣持は甲斐田の腹に1発食らわせ、席に着く。後ろから ヴゲェッなんて声が聞こえたのが少し面白かった。くれぐれも不破に自分の気持ちを気づいたとしても言うんじゃねぇぞと暗示をかけて。
無事、地獄の7本撮りが終了し、4人は控え室に戻って荷物を纏めたりなんなりしていた。今日もいつもの様に打ち上げの提案が出る。すると、
「んぁ〜すまん俺今日はええわぁ、明日早いんよな」
と、不破が珍しく誘いを断る。
剣持は不破もてっきり行くと思っていたのでその話の流れを聞いていなかったので、嫌そうな顔をしてから荷物を持ち、逃げようとしたが不破に引き止められた。
「、?ふわっち?」
「んゃ、もちさ〜ん行かないんすか?」
「え、うん。帰る、」
「じゃあ俺も帰るんで、一緒に帰りません?あ、いや事務所の外までっすけど」
なんと、不破からの帰りのお誘いだった。剣持からするとこれはとてもラッキーであり嬉しいことなので頬が緩みそうになるのを必死に抑える。
「いいですよ、行きましょう。じゃあ、甲斐田くん、社長、またね。お疲れ様。」
「甲斐田!しゃちょ!おつかれ〜」
「お疲れ様です〜」
「またね〜」
【knmc side】
控え室から出て、ふわっちの手を引く。これは絶好のチャンスだ。猛アタックして少しでも気を惹かせてやる。
「ふわっち、帰りもタクシー?」
「あ〜そうっすね、タクるっす。あ、もちさんも乗る?お金は出すよぉ」
「えっ、良いですよ、悪いです。」
「いやいや、高校生に出させる方がおかしいし、今日寒いし…な?どぉ?」
困り眉であざとい表情で提案してくるふわっち…正直めちゃくちゃ可愛いのだが、これをいつも僕以外にもしているのかと思うとゾッとする。
「うっ…じゃあ、お言葉に甘えて。」
「やっちゃぁ!」
僕がカッコイイとこ見せたくても、ふわっちに全て持ってかれちゃうな。少しでもふわっちを動揺させたいんだけれど…。
「んぁっ!?寒ッッ!?」
「わ…まぁ夜だからね、寒い…」
事務所から出た瞬間、冷たい風が顔をうちつける。勘弁してくれ。てかふわっち薄着だな…あ。
「ううう…も、もちさぁん…って、!?」
「ん、マフラー。」
僕は自分のマフラーをふわっちに巻く。
ふっふっふ…いいですね、ふわっちのこの動揺っぷり!これはドキドキするでしょう。
「もちさんが寒いじゃないっすか、!?でも、あったけぇ〜んふふ、なぁんか、もちさんの温もりがするっす…」
僕のマフラーに顔を埋めながらニコニコの笑顔でそう言うふわっち。なんでそんな可愛いことが言えるんだ。鼻も寒いからかほんのり赤く染ってて可愛い。…あれ、デジャヴ?
「いいよ、僕そんな寒くないし…」
なんて強がってみる。
「あ、タクシー来たよふわっち。行こ。」
ふわっちの手を取り、繋ぐ。そこから指を絡めて、恋人繋ぎというやつをしてみる。
「っえ、もちさっ」
ふわっちとタクシーに乗り込む。車の中は暖かくて、最高だった。運転手除けばふわっちと2人きりだし。車の中は狭めだから、自然とふわっちとの距離が近くなる。てか、今もまだ手繋いだままだし。やばい、手汗でてないかな。
ちら、とふわっちの方を見る。うわ思ったより顔近いな…睫毛長。目綺麗。肌白。髪ふわふわ。口は…マフラーで見えない。ふわっち顔赤いな、暑いのかな。離した方がいい?って、なんだかだんだん赤くなってってない?
「も、もちさぁん…さすがに見すぎっすよ…///」
「っえ、」
どうやら顔が赤かったのは僕のせいだったらしい。
「ごめんふわっち、つい。」
「んゃ、ええんすけど…いや、良くは無い、?んぁーわからん!!!」
「んははっ、ほんと面白い、ふわっち。….あのさ今日、控え室で甲斐田くんに遮られて言いかけてたやつ…何か気になる?」
「え、あ…まぁ、…ぅん。」
目をそらすふわっち。もう分かってそうだな、これは。
「…綺麗 って、言ったんだよ。」
「、うん…えと、それは…どういう」
「どういうって、そのまんまだよ。僕ね、…ふわっちのこと、好きみたい。恋愛的な意味で。」
バカ正直に話してしまった。もう気持ちが抑えきれなくて。てかもうバレてるだろ、言ってしまえ。
ふわっちの顔が耳まで真っ赤に染まってく。
あぁ、可愛い。自分のものにしたい。
「そ、うなんや….もちさん。俺はもちさんのこと…そういう目で今まで見たことは無いんやけど、その…まぁ、俺も好きだよ。恋愛的な方かはわからんけど。せやから…」
「待って。今は返事は要らないからさ。その様子だと、ふわっち…好きかも分からないのに付き合おうとしてない?僕に気を使って。」
「んぇ…」
「お見通しだよ。生憎僕は好かれてないのに付き合うとかそういう考えは無いから…だから、ふわっちに僕を好きにさせてみせるよ。これから。覚悟してて?」
「っ!!」
僕は目を丸くして驚くふわっちの額にキスを落とし、丁度タクシーが着いたので代金を渡して降りる。ふわっちはタクシー内で、僕のマフラーに顔を埋めて悶えていた。
僕は
よし、今度マフラーを返してもらうっていう口実でデートでも誘えるかな〜♩
と心中で考えながら帰路に着いた。
僕の猛アタックはこれからですよ。覚悟してろ。
終わり
いつも通り好評であれば続きだします
では(o・・o)/