私には、幽霊が見える。
幻覚かもしれないが、周りに目玉が落ち、目の前の人間が瞬きもしない内に消え、他人の顔が変形する…等々。
そういったものが、見えるのだ。
そんなことを言っても、一部は「気のせいじゃないか」「寝ぼけていただけ。」「嘘松」と言った言葉を暗に示す。
……ならば、そこの窓にへばり付いている手、生首は何なのだろうか。
お昼の真っ只中に、生首が見えるのも変な話だ。
それを言ってみると、「怖いこと言うなよ!」「頭大丈夫?」「え本当に大丈夫なん?怖くない?」と、怯えられるか病院勧められるかガチで心配されるか………反応が様々で、見ていて面白い。
…私は、時々、見える幻覚が怖くなる。
寝て起きた時、金縛りにあって、見知らぬ女が私へ徐々に近寄り、首を絞められることもあった。
…だが、実を言えば、そこら辺に居る幽霊(幻覚?)は、そこまで危険では無い。
こう言った幻覚が、私と同じように見える人ならば、わかるだろう。
幽霊が見えても、見えないフリをするのだ。
たとえ、怖くても。
ソレと上手く付き合っていかなければ、私は生きていけない
私よりも霊感が強い人が見れば、「これは有害」「これは無害」とわかるようだが……残念なことに、私にそんな能力は無い。
その為、どんな霊とも関わりを持たず、見えないフリを行う…そうすれば、ある程度の自衛は可能だった。
そうやって、私は生きていた。
…昨日までは。
最近、鏡、電源の付いていないテレビ、真っ黒なスマホの画面…
それらに、目玉が見えるのだ。
二つ。まるで、そこに人でも居るような所に。
だが、現実を見回してみれば、そんな物は無い。と言うか、居たら完全に不法侵入だろう。それはそれで怖い。
…画面内の目玉は、今までにも同じコトが何度かあった故に、無視していた。
しかし、目玉は徐々に、こちら側へ近付いてくる。
それをなんとなく理解したのは、今日だった。
明らかに、こちらを……私を、認識している。
私は、本能的な部分で、これはヤバイ、とわかった。もうちょっと速めに本能が動いてほしい
そのことを友達に相談しようと考え、学校で、友達に相談してみようとした。
学校での休み時間、友達に教室の隅で相談しようとしたが…
…無理だった。監視されていた。
友達の、電源の切れたスマホに…れいの目玉が、居たのだ。早朝よりも、こちら側に近づいている
私は友達に相談する雰囲気を素早く笑いの雰囲気に変えた。友達はゲラだった為に、簡単に乗っかってくれた。
…少し怪しまれはしたが、目玉が何処から見ているのかわからない為、話を流した。
そして、放課後。もう、何をすれば良いかわからなかった。
両親にこんなコトを言っても、あの親は「頭大丈夫?」としか言わないだろう
漫画や小説のように、霊媒師の友達がいる訳でも無かった。
もう、打つ手は無い。
自分は、半分諦めて、スマホの真っ黒な画面を見た
……目玉が、学校の時より近づいて来ている。
あと3歩進めば、目玉は…私の所に来るだろう。
もう、私は諦めた。