『 雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ!!?敵の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉ!!?』
煽り立てるアナウンス。湧き上がる歓声。拍手喝采のオーケストラ。一歩踏み出すごとに数万の期待、好奇、品定めをした鋭い視線がビリビリと肌を刺す。
「めっちゃ持ち上げられてんな…なんか緊張すんな…!」
B組から続々と入場する。持て囃されているA組に舌打ちと増悪こもった目で睨みつける。18禁ヒーローミッドナイトが選手宣誓!!と爆豪と霊華の名前を呼ぶ。
「せんせー、俺が1位になる」
「「「絶対やると思った!!!」」」
「先生!私は雄英体育祭というものを初めて見聞きする初心者です。まず、雄英体育祭ってなんですか?普通の体育祭と違う所が分からないくらいの知識ですが、 ここに居る敵視してくる人達にできる限り手加減をしつつ、楽しく遊びたいと思います」
BOOO!と他クラスからブーイングが飛ぶ。暴言しか吐かない有象無象の連中に嘲笑って首を掻っ切る仕草をする爆豪とニコニコの笑顔で頑張りますと言ってる霊華を見た途端。酷くなるブーイング。 それらを無視して2人は何事もなく列に戻った。
「さーて、それじゃあ早速第一種目行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!!さて、運命の第一種目!!今年は……コレ!!!」
モニターにでかでかと障害物競走の文字が映し出される。
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4km!我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…コースさえ守れば、何をしたって構わないわ!さあさあ位置につきまくりなさい」
妨害してもいいってことね。…ゴールするだけなら妨害行為は無駄な時間。ただ進むだけなら簡単。じゃあ仮面ちゃんに任せればいいや。仮面ちゃんならアクロバティックなことが出来るし。スタート位置に立ち、ポンとゲートの上部についているランプが1つずつ消える。
「それじゃあ、用意!………スタート!!」
ダン!と踏み込んだ地面に罅が入り、霊華は前にいる人を吹き飛ばしながら走り出した。
『さーて実況してくぜ!解説アーユーレディ!?ミイラマン!!』
『無理矢理呼んだんだろうが』
『早速だがミイラマン!序盤の見どころは?』
『今だよ』
狭いゲートに生徒が早くもすし詰め状態。そこに轟が氷結を炸裂させ、足元を凍り付かせる。だがA組は轟の思考を読んで避けることに成功して、轟の後に続く。A組に遅れをとって他クラスも何人か抜け出し始めた。
『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門、ロボ・インフェルノ!!』
そして最初の障害物は、ヒーロー科入試で出てきた0Pが何体もひしめいて進行を妨げる。自分よりでかい巨体に足を止める者達が続出。まず抜けたのは轟焦凍。
『1-A轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!すげぇな!!一抜けだ!!アレだな、もうなんか…ズリィな!!』
『合理的かつ戦略的行動だ』
『さすがは推薦入学者!!初めて戦ったロボ・インフェルノを全く寄せ付けないエリートっぷりだ!!』
『そのことだが轟が一抜けじゃない。見ろ先頭』
『んん?おっとぉ!?轟が1位だと思っていたがまさかこいつが1位!!ヒーロー科入試3位、霊華海鈴が知らぬ間に第二関門まで行っているぞ!!』
轟との間に数km先に走っている霊華の姿が映し出される。両手を後ろに走る独特な走り方。しかし誰よりも早くスピードを出して走っている。
『どういうことでしょうかイレイザーヘッドさん』
『スタートダッシュの時点で差が違っていた。すし詰め状態になる前にアイツは既に走り切り、第一関門で立ち止まることなくロボの間をすり抜けるようにパルクールして突破。妨害や攻撃なんて無駄なことをせず走る行為だけしてるな。実に合理的だ』
『そいつぁシヴィー!!楽しそうだった選手宣言とは裏腹に誰にも気づかれない静寂。まさに静と動!!んじゃ第二関門はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!?ザ・フォーール!!!』
何十本もの石柱にロープが張り巡らされた大掛かりなアクティビティ。細いロープに底が見えないという恐怖心を煽る構想されてるが、霊華はスピードを落とさず躊躇いもなくロープに足をつけた。
『恐怖心なんて存在しないかのようにロープを普通に走ってるぞ!!忍者!?』
『バランス感覚、体幹がしっかりしてなきゃ無理だな。そもそもロープの上を走るなんて行為普通できん』
『なんかあれだな、ズリィな!!先頭が圧倒的に抜けて次に轟!下は団子状態!上位何名が通過するかは公表はしてねぇから安心せずにつき進め!!そして早くも最終関門!!隠してその実態は……』
コースの道に開けた地面。地面をよく見たら、所々少しだけ盛り上がっているのが見える。
『一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ! !目と脚、酷使しろ!!ちなみに地雷は競技用で威力は大したことねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』
『人によるだろ』
霊華は開けた場所とコースの区切り部分を跳躍する。落下直前に両手を後ろに構えて地雷に着地した。地雷に着地したため、地雷が連動して爆風が上乗せされる。ピョンピヨンと着地の度に地雷が作動する。スピードを増した霊華は第三関門を突破。ジャンプせず、地に足をつけてルンルンと走り出す。
『雄英体育祭一年ステージ!序盤からトップを譲らずスタジアムに帰ってきたこの女。霊華海鈴が宣言通り、楽しそうに1位になったぞ!!』
割れる歓声と拍手、優勝者を讃える紙吹雪が舞う。本人は楽しそうにしてから、休憩するために壁に寄りかかる。
『圧倒的な速さで優勝決まっちまったが、後ろで熾烈な争いをしてる選手にも目を向けるぜ!!よろしくミイラマン!!』
『俺いらないだろ』
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