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教室——いや駅前——いや、道端。誰かがいる。誰もいない。
ミオ?ユウ?俺?
影だけが動いて、顔はぼやける。
「おい……」
声。
俺の声?
いや、誰の声?
重なって、割れて、もう誰も呼んでない。
チャイムが鳴る。
鳴らない。
鳴ったはずの音が、頭の中で跳ね返る。
十円玉。紫色。リボン。
全部、俺の妄想か、現実か、記憶か。
スマホ。
震える。
手の中にあるのに、画面は真っ黒。
通知が頭に直接流れ込む。
【アリウム】
世界が壊れる音を聞け
君はもう、観測点だ
何も変わらない
でも全部覚えている
黒板。
文字。
紫色の花。
咲く。枯れる。
最初から無かった。
いや、あった。
ユウ。
ミオ。
俺。
誰か。
存在しない。
消えた。
「……やめろ」
声。
耳元。
遠い。
近い。
重なり、裂ける。
新聞。
見出し。
【身元不明】
顔写真は黒く塗られている。
俺か、ユウか、アリウムか。
誰でもない。
歩く。
走る。
止まる。
立っている。
座っている。
床も天井も、どっちでもいい。
ページが飛ぶ。
章が消える。
文字が崩れる。
改行も意味を失う。
「ふふ……あー……なんだよ……」
笑い。
泣き声。
怒鳴り声。
全部、俺のものか?
誰のものでもない。
時間は連続していない。
過去も未来も、すぐそこにある。
俺はここにいる。
いない。
でも、感じる。
紫色の花。
リボン。
十円玉。
チャイム。
全部が俺を見ている。
そして、
スマホが震える。
【アリウム】
次は、誰が消えるか
観測者よ、選ぶな
全てを覚えていろ
終わらない地獄だ
俺は、
笑ってしまう。
泣いてしまう。
叫んでしまう。
でも、
声は届かない。
誰も、
いないから。
世界は、
崩れた。
でも、
動き続ける。
俺は、
止まれない。