テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
れんは、泣きじゃくる彼らを見下ろすでもなく、寄り添うでもなく、ただその場に立っていた。
そして、静かに口を開いた。
「たまには思いっきり泣いてみなさい。」
声は大きくないのに、はっきり響いた。
「ここまでよく頑張ったね。偉いよ。」
その言葉は慰めじゃなかった。甘やかしでもなかった。
ただ、事実として告げられた言葉だった。
「きっとみんなに良い将来が待っているさ。
これからも何事も挑戦。
何事も否定ばかりじゃなくて、たまには受け入れてあげて。」
泣き声と呼吸の音だけがその場に溶けていく。
「なんでも最初から諦めるんじゃなくて。
最後まで、本気でやってみたら?
なにか変わるかもよ。」
冴も、凛も、潔も、蜂楽も、玲王も、凪も、千切も、黒名も、カイザーも、ネスも。
誰一人、言い返さなかった。
できなかった。
れんはただ同じ高校生。
制服も同じ。
体格も普通。
特別な光も持っていないはずなのに―――
言葉が、胸の奥に直接落ちた。
心の一番しんどかった場所に、そっと触れられた。
れんはみんなの頭から手を離し、最後にゆっくりと微笑んだ。
その瞬間、風が吹いた。
髪が揺れて、隠れていた顔が見えた。
目も、頬も、まっすぐ。
とても優しくて、
とても暖かくて、
まるで太陽がそこに立っているみたいな微笑み。
泣く理由なんて、もうわからない。
でも涙は止まらなかった。
れんは言葉も足さず、ただ。
微笑んでいた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!