テラーノベル
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YJゲーミングの撮影が落ち着く時間は大体把握していた。あの夜電話したのは偶然なんかじゃ決してない。
いつもなら寝ている時間でも、その日その時間帯ばかりは、眠気も感じないし何なら戦闘モードになる。
仁人を独占するのは俺だけでいい。
電話で伝えた通り、仁人はグループ全員での収録前早くに楽屋に到着した。
それよりも早く来ていた俺は、ニコッと人懐こい笑顔で出迎えた。
「仁人おはよう」
「太智、早くね?」
「いや、打ち合わせしようって言ったの俺やん」
「ふは笑 そっか」
オリメンとして、一番付き合いが長いだけに、仁人が心を解く瞬間がわかるようになった。そして、その瞬間は圧倒的に俺といる時間が多いと確信している。
「お昼食べた?」
仁人がドラマの撮影後にここに駆けつけていることも、時間的にお昼ご飯を食べれていないだろうことも予想がついていた。
予想通り、首を横に振りながら、辛そうに眉を顰める仁人。
「いや、まだ。まじでお腹すいたわ」
「あ、まじで?俺さ、差し入れでめっちゃ美味しいサンドウィッチもらったんだけどさ、食べる?」
え、うん、食べるぅ、って。
小学生みたいな返事に思わずニヤつく。
楽屋の白いテーブルにおしゃれな包装の箱を開くと、中から色合いのいい野菜やお肉がぎゅうぎゅうに挟まれたサンドウィッチが現れる。
仁人が目を輝かせてそれを見つめる。
お互いにさっそく一つずつ手に取って、一緒のタイミングで齧り付いた。
『うまぁ!!』
思わずハモった第一声。
以心伝心している2人の気持ちが現れているようで、めちゃくちゃ嬉しくなる。仁人も照れ隠しのように顔を背けて笑ってみせた。
「え、これやばない?まじでうまくない?」
「やばい、めっちゃ美味しいわ!」
何気ない感動を、こうして共有する相手は仁人がいいと思う。
お互いに繊細な性格なおかげで、誰よりも気持ちが通じ合えるから。
仁人の優しい眼差し、安心した笑顔、いたずらそうな顔、怒った表情ですら、全部俺の心を捕まえに来る。
他人には興味ないけど、仁人は特別。
美味しさで幸せが溢れた顔がこちらを見る。
あぁ、口の端に盛大に紫キャベツがくっついている。口元緩いのは変わらずだ。
そろそろ仁人に意識させたい。
俺が特別だと思ってるのは唯一お前だけだってこと。
少し腰を浮かせて、テーブル越しに座る仁人に手を伸ばす。指先で、下からゆっくりそれを掬い上げて、見せつけるように自分の口に運んだ。
瞬間、目の前の顔が驚きで目を丸くするのが見えた。
「んぅ!?おまえ…っ!!」
顔を赤く染めて、手で口を押さえながら仁人が狼狽える。
その顔を見て、俺は心を決めた。
芸能界に長くいるのに、決して擦れない輝く瞳。純粋なままの仁人を守りたいと思った。
#兄弟パロ
yukino
6,124
ご主人
100
#びーえる?かも
ご主人
101
そっともう一度仁人に手を伸ばす。
恥じらう手を掴んで口元から降ろさせると、潤んだ瞳が見上げてくる。
潔癖な俺がこんなんする理由、もう分かるやろ?
「仁人、ほんとかわぃ…」
「おはよーー!!」
しかし、盛り上がりを感じた空気は一変、能天気な明るいだけの声にかき壊された。
楽屋の入り口に目をやると、この時間に来るはずのない、舜太の姿があった。
「え、舜太…!?」
すっと仁人の手首が緩んだ俺の手から逃げていく。
テーブルに半身乗り出す形のまま、俺は固まった。
え、どういうタイミング?
なんでここにいるの?まだ早すぎるやん?
俺の目に全ての感情が乗っていたようで、舜太はイタズラが成功した子供のような顔で笑って見せた。
「今日、早くきてスタッフさんの準備手伝おうと思ってん!でもだいちゃんも早いな!あ、仁ちゃん褒めて!!」
いつもの末っ子ムーブをかましてくる舜太は、本当に間が悪い。
甘い空気を壊されて、俺は一気にやる気を失った。
メンバーがいつ来てもおかしくないこんな時間に、仕掛けた俺が悪いんはわかった。
でも今のはイケる流れだったよな?
「はぁぁぁぁーーー」
盛大にため息をついて、俺は椅子に座り直した。
目の前で始まった、構って欲しいアピール全開の末っ子と、それをうざそうにしながらもまんざらではない様子の次男のやり取りを、意識からシャットダウンするようにスマホを取り出してゲームを始めた。
続
コメント
1件
太智くんの仁人への独占欲と繊細な気遣い、甘い空気になるかと思いきや…まさかの舜太登場!タイミング悪すぎて笑ったけど、これ絶対狙ってるよね?「仁人を独占するのは俺だけでいい」って冒頭からもう全力だし、最後のため息に全部詰まってる感じがたまらない。続きがすごく気になります!