昔々、娘とお爺さんが居ました。
娘とお爺さんの仲はとても良く、幸せな家庭と言うのに十分でした
家には庭があり、花々、井戸があります。
少し目を凝らせば、畑も見えます。
自給自足の家でした。
それでも、お爺さんと娘は、仲良く暮らしています。
ある日、お爺さんは、何か用事があるのか、家を…一,ニ時間程出ました。
…そこから、お爺さんの様子がおかしくなります
娘を見ても、「誰だお前は!」と、別人に見えるようでした
お爺さんの家庭は貧しく、医師に渡すお金もありません。
仕方なく、娘はお爺さんに寄り添う事を決めます
…それから暫く経ち、娘はお爺さんが夜中に出歩いている所を見つけました。
朝、お爺さんを問い質しても、「私の娘を返せ」と、まるで聞く様子がありません
娘は心配になり、夜中、お爺さんに着いていく事にしました。
そして夜中。娘はお爺さんに尾行し、お爺さんが井戸の前で何やら話している所を目撃します。
こんな時間に何やってるんだろう?と娘は思います
井戸に何かが居る…と言うわけでも御座いません。
ユーレイと言う奴なのかな。そう思いましたが、この辺りはお爺さんがまだ若かりし頃、大工仲間と共に家を作ったらしいのです。
井戸もその時、一から引きました。
庭は、トランペットの様な形をした、ピンク色の垂れた花が可愛らしいからできるだけ残したのです
…最近、少し量が減った気がしますが…恐らく、何本か枯れてしまったのかも。
お爺さんを見ていると、娘は段々と不安になり、連れ戻そうと足を踏み出します。
お爺さんはこちらに気づいた様子で、酷く驚いた顔をしておりました。
娘は帰ることを促しますが、お爺さんは会話をする気が無いのか、「待っておったよ。」と、嬉しそうに言い続けます
娘は仕方なくお爺さんの手を引こうとします。
しかし、お爺さんは娘を掴み、井戸の方角に押しました。
娘はお爺さんに手を伸ばしますが、もう届きません。井戸の底へと落ちました。
水が、冷たい。からだが、いたい。
お爺さんの声がよく聞こえます。
「さぁ、私の娘を返してくれ。」
──私が娘だよ!そう叫ぼうとしますが、上手く言葉を紡げません
…お爺さんが、大層嬉しそうな顔をするのを、井戸の中から、狭い視界で眺めることしかできませんでした。
お爺さん以外の声も聞こえた気がしますが、あまりにもくぐもっていて、上手く聞こえません。
…お爺さんの顔が、視界から消えます。
娘は頭が朦朧とする中、必死に呼び止めようとしますが…「会いたかったよ。痛い所は無いかい?」と、あの優しい声で………
娘では無い誰かにかけた声を最期に聞き、娘の意識は闇に呑まれました。
コメント
1件
この世にはヤベー花もあるもの何ですね。 今日見た夢を即席アレンジで作った物語です。 設定的におかしいですが御容赦くださいな