テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
おれはあの家に生まれて、とても幸せだった。
裕福な家。好きなことをさせてくれる母さん。
そして、好きなものを食べさせてくれる父さん。
そんな日々が、あの日、崩れた。
急用で隣町に出かけなければならなくなった。
おれたちは歩きで行くことになった。
交差点の前。おれは解けた靴紐を結んだ。
父さんと母さんは交差点を渡っていた。
信号は青だった。
おれは結んでいる間、父さんと母さんから目を離していた。
そして、ふと視線を上げると__
電車が急ブレーキをかけるような音。
大太鼓を叩くような音。
とにかく大きな音が、おれの頭蓋を震わせた。
トラックが信号無視をした。
そのトラックが、父さんと母さんに突っ込んだ。
おれは急いで駆け寄った。
もう、息もしていなかった。脈も止まっていた。
気づけば、病院の待合室にいた。
おれは、気を失っていたそうだ。
しばらくして、医者が来た。
____ご両親は、助かりませんでした___。
その日、おれは部屋に籠っていた。
その時だ。おれの異変に気付いたのは。
叔父に夕ご飯の支度を頼まれた。
おれは返事をしようと声を出そうとした。
声は、出なかった。
出そうとしても、出ない。
おれはどうにかして叔父に伝えようと思った。
一度自分の部屋に戻ると、タブレットがあったのに気付いた。
タブレットの読み上げ機能で、何とか伝える事ができた。
そのまま病院へ行った。
診断結果は、「失声症」。
ストレスなどで声が出なくなる病気。
2日後。
父さんと母さんの葬式があった。
父さんと母さんは、燃えて消えた。
骨になって、壺に入った。
おれはあの日のトラック。
救急車も呼ばずに走り去っていった。
ナンバープレートも覚えていた。
警察に特定をお願いした。
そして、見つけた。
そして、殺した。
復讐を遂げた。
でも、これは悪い事、?
本当に、悪い事か、?
あなたは彼女を赦す?赦さない?
eigetsu
31
#🔞なし
eigetsu
20
491
コメント
3件
うわ……これは重い。一気に読んでしまった。 主人公が両親を目の前で失って声を失い、最後に自ら手を下す——その「復讐」という選択を、読者に「悪いことか?」と問いかけてくる構成が本当に効いてる。正義か悪かじゃなくて、その先に何が残るかを考えさせられた。 ラストの「あなたは彼女を赦す?赦さない?」の直球が刺さる。答えが出ないまま、しばらくこの余韻から抜け出せそうにないです。