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何分たっただろう? アリスはまだ、腕の力を抜く気はないみたい。
「ねぇ、もう、痺れちゃうよ」
実際、剣を持ってる手が痺れだしている。
コホンと、一つ咳払いが聞こえた。
「アリスト様――」
あ、ルードがいたんだ! ちょっと、いや、だいぶ長い間、恥ずかしいところを見られていた? ずっとソコに……いましたよね、きっと。
アリスがやっと、離してくれた。耳も尻尾も垂れて、可哀想なくらいにしょげている。
「ごめんね」
あぁ、私も眠りこけちゃったから、謝らないで!!
「すみません、リサ様!!」
ルードもすごく頭を下げている。
「あのね、ちゃんと風の精霊と契約出来たから、さっきの魔物も浄化したし」
アリスがビクリとして、私の顔色を見る。
「大丈夫?」
「うん、元気だよ! あ、あとこれ!」
先程預かった剣をアリスに渡した。彼は気がついていなかったのか、目でコレがあるはずの場所を確認している。
「スペードさんが、返しておいてって」
それを聞き、ますます、耳と尻尾が垂れていく! わー、それ以上垂れると、もう落ちちゃいそうだよ!
「あの人ね、何か色々知ってるみたい。何処かに行ってしまったけど――」
上空のスペードが消えた場所を見ると、アリスとルードも一緒に上を見上げた。
「とりあえず、疲れたから一回宿に戻って休もうよ。そこで話そう? あ、そうだ」
私は風の精霊の指輪を見せながら続ける。
「えへへ、今日からは私も風の魔法が使えるんだ」
嬉しくて、報告したらアリスが寂しそうな顔をしていた。何でだろう?
「ここから、上空へ飛んで外に出ましょうか」
ルードが風の精霊を呼び、トントンと上に駆け上がった。そう、あれが今日から私も出来るんです!
「ここから、行けそうです」
ルードが上の様子を報告してくれる。
「よーし、アリスちゃん、見ててね!」
ぎゅっと拳を握り、気合いを入れて風の精霊の名前を呼ぶ。
空に駆け上がらせろ!
「シルフィ!」
私の足元に、風が……。風が……?
「シルフィさん?」
しーん
「おーい?」
何故か、後ろから、ケタケタ笑う声が聞こえる……。
「リサちゃん?」
これは、もしかして、相性最悪ってヤツですか。黄緑色の精霊君はお腹を抱えて笑い続けている。すごく、悪戯っこな顔をしています……。
「アリスちゃん、どうやら私は結んでも意味がない契約をしてしまったかもしれません」
後ろから、ヒーヒー言いながら、岩をトントン叩いてる音がした。
「風の魔法は、申し訳ないのですが、これからもアリスちゃんにお願いします」
私は顔を耳まで赤くしながら、アリスにお願いした。
その瞬間、パァァと、アリスの耳と尻尾が嬉しそうに立ち上がった。
「風の精霊よ!」
いつもより力がこもった、アリスの呼び声に、あの悪戯っこが答える様にすぐ飛んできた。
ねぇ、突っ込んでいいかな?
何でよ!!!!
私はアリスの腕の中から、心の中で、大きく叫んだ。
コメント
1件
あはは、まさかの展開に声出して笑っちゃいました!「風の精霊よ!」って呼んだらすんなり来るアリスと、呼んでも無視されるリサの落差が最高ですね。精霊シルフィがお腹抱えて笑ってる描写も可愛くて、契約しても扱いが下手な主人公とか珍しくて好きです。アリスの耳と尻尾がパッと立ち上がるシーンはもう可愛すぎて悶えます。風魔法は任せた、で丸く収まったけど、この悔しさが次にどう生きるのか気になります!