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百合

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百合

1 - ゆり

♥

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2024年06月15日

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百合 ( GL )

ぬるめ 

後輩 × 先輩

________________________

 吹奏楽部。 吹奏楽部が大好きだ。皆と音があった時の喜び。難しい所が上手く吹けた時。 そんな時があり,私は吹奏楽部が大好き。でも,私はそれ以上に好きなものがある,先輩だ。先輩は中学校の時も,同じ学校だった。私はそんな先輩と部活がしたくて,先輩とおなじ高校に入った。その高校はかなりの吹奏楽部の強豪校だった。だから毎日必死に練習する。

 今日は朝から夜までの練習だ。いつも私は早めに来ている。人がいても1人2人くらいしかいない。今日も今日とて早くつく。まだ1人しか来ていないらしい。音楽室は空いている。階段を上る。窓から朝日が差し込む。まだ春で夏には程遠く,程よい暖かな光が差し込んでいる。その時,何処からか音楽が聞こえる。これは,トランペットのソロである部分だ。……少しリズムが違う。それに,音程も低めだ。でも,音は真っ直ぐ。

 音楽室に着く。さっきよりも音量も大きくなる。此処は得意なのだろうか。奇麗で,リズムもあっている。個人的に,音源の音よりも好きだと感じた。何時までも外に居てはダメだし,早く中へ入ってしまおう。入って最初に目に入ったのは,朝日が反射して,煌めいたトランペットを吹く,先輩だった。先輩は頑張って練習をしていて,真剣な顔をしている。少し汗ばんでいて,顔も火照っている様子。風に揺れる先輩の髪。何れも絵になる光景だ。

「 先輩, おはようございます。 」

挨拶をしておく,挨拶は大事だと,先輩からの教えだ。先輩は吹くのを辞めて私の方を向き一言挨拶をする。そこから少し他愛の無い会話を交わして,お互い練習に入る。

 今日はコンクールに向けてのオーディションを行う。その為今日は他の日よりも人が集まるのが早かった。

 「 今日はオーディションを11時頃から始めます。 」

 練習を始める。色々な教室から色んな音が鳴る。トランペットパートはソロの部分をオーディションのチェックとしている。ソロの部分は特に難しいところもなく,音程も難しくもない。最後のリップスラーだけ注意が必要だけど,それ以外はなんの問題もない。

 オーディションが来る。なんの問題もなく吹くことが出来た。4時頃,結果が出る。まぁ,ソロというのは大体3年生がするものだ。相当上手くない限り2年生が吹くことは無い。それに,来年もある。

 4時頃になった。皆ドキドキしている。パート名が呼ばれ名前が呼ばれていく。このドキドキ感は好きだ。ハラハラして,楽しく感じる。そう思っているうちにトランペットの番だ。……予想外のことが起きる。先生方はソロは私だという。初めて先生方の事を可笑しいと思った。先輩の方が奇麗だ。先輩の方が音も大きくて,自信もある。何故私なのだ。

 先輩は練習終わりに,良かったね。一言言う。笑顔だけど矢張り何処か引き攣っている。先輩はきっと,私の事が憎く感じているかもしれない。自分よりも練習をあまりして居ない人にソロを取られてしまえば,私だって嫌だ。憎い。けど,それが最善なら,と先輩は優しいからきっと思ってしまう。

 次の日から本格的に練習が始まる。夏休み。毎日のように。朝から晩まで。

 あのオーディションから1週間位経っただろうか。今日も今日とて早く来る。いつも通りの音。先輩の音,では無い。少し震えたような音で,ソロの部分を吹く音。覗いてみると矢っ張り先輩だった。先輩は涙ぐんで吹いている。不思議に,泣いている先輩と音は今迄で一番奇麗に見えた。

 先輩は腫らした目の涙を拭き取り,トランペットにオイルを差す。私は練習もしたいので,さっさと部屋に入り,練習を始めた。

 トランペットを吹こうとする。すると先輩から話し掛けられる。

「 私は悔しいよ。 けどね,私は他の子に取られるよりかは,貴方がソロを貰っているなら良いと思った。 」

 貴方の音が大好きだから。そう,先輩は言った。先輩は別室へ移動した。先輩に認めて貰えたんだと,嬉しくて顔が火照ってくるのがわかる。

 コンクールが近ずいてきた。先輩と今日は帰っている。暗い道でセンパイが一人で帰るなんて心配だ。先輩は可愛いから。それに危機感も持っていない。先輩は,綺麗な月を見てはしゃいでいる。可愛らしいな。月なんかよりも先輩を見ていたい。

 先輩に車が近寄ってくる。異様なほどふらふらしている。咄嗟に私の体が動く。そこからの記憶は無い。きっと,先輩を守ることが出来ていたなら良い。

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 コンクール間際にソロを急にやれってね。そんなすぐにいい音で演奏できるのと思っているのかな。わたしの大好きなあの子は昏睡状態なんですって。家も反対なのに,わたしに着いてこなければよかったのにね。そんな優しいところが,わたしは大好きだけどね。

 未だにリズムも間違っている。音程も悪い。あの子の音が恋しいよ。あのこの音を,コンクールで響かせて欲しかった。わたしがあの時引かれていれば良かったのにね。

 コンクール当日。リズムも合うようになったし,音程もそれなりに会うようになった。けど,矢っ張り何か足りない。コンクール会場で音が響く。嗚呼恐い。前を見るのが怖い。同士てこんな下手な子がソロに選ばれたのだろう。きっとみんなそう思っているに決まっている。嗚呼いやだ。

 結果は銀ですって。初めてらしいね。今迄は最低で金らしいね。あの子だったらきっと,金賞もとって更に上迄言って全国に行っていたのかもね。あの子の才が私の性で潰れてしまったね。御免なさい。

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