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「じゃ、俺より年上ってことかィ」
「まあそうなりますね」
「…ばばあ」
「何言ってるんですかおじさん」
そこまで会話すると、後はもう二人とも何も言わずに団子を頬張っていった。
三本、四本、七本、九本……。
そして二人が10本目の団子に手を伸ばしかけたとき、暖簾が大きく揺れた。
新しい客か、と自然にそちらに顔を向ける。
そこには目つきの悪い黒髪男が立っており…ってあれ、副長じゃん。
どうやら仕事が休みだったらしい、黒い着流しを着ている。
「……アァ?」
とんでもなく低い声が店の空気をはった。
沖田はヒラヒラと手を振る。
「お、副長じゃん、ちーっす」
「お、総悟じゃん、ちーっす…じゃねェんだよ!!何サボってやがる!」
土方が大きい怒鳴り声をあげた。
この空間に土方の声は思ったより大きく響いたらしい、客達も、通りすがりの人達もちらちらこちらを見る。
「見回りでさァ」
「団子を食う見回りがどこにいるってんだ!」
土方の声が一段と大きくなる。
うるせェなァ、と文句を吐き捨て沖田は手についているみたらしのたれを舐めとった。
「俺だけじゃないですー」
そう言って沖田は彼女を指差す。
土方がそちらの視線を移した途端、彼女が急にしおらしくなった。
「すみません、朝食抜いちゃって魔が差しちゃいました」
ぼそぼそと呟くように言った。
沖田がお前も怒鳴られちまえとにやりと笑う。そんな沖田の望みとは裏腹に、土方は彼女の頬をふにっと優しくつまんだ。
「…朝食抜く方が悪い」
「しゅみましぇん」
意外にもそれだけで許された。
すると沖田の顔がキリッと引き締まる。
「俺は1年間なんも食ってません!」
「いや嘘つけ!!昨日普通に飯食ってろ!テメェは反省しろ!」
「そういうのよくないと思うんでさァ、平等にいきましょうぜ!!」
「いやうるせえよ!!」
土方のこめかみに血管が浮いた瞬間、反動で団子が一つ落ちてしまった。
ペチャリと生々しい音がやけに響く。
「ああ、一本無駄になってしまいました。雄豚君、お食べください」
そう言って落ちた団子を拾い上げ沖田へと向ける。
「汚ェから嫌でィ」
珍しく正論だった。
「す、すまねェ」
土方がたどたどしく謝る。
それを聞き沖田はニヤリとほくそ笑んだ。
途端、沖田は彼女から団子を奪い土方の口元へずいっと近づける。
「さあどうぞ土方さん、腹減ってるでしょ」
「食えるかァ!!」
沖田はしぶしぶ落ちた団子を皿へと戻した。
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えのきのこ
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