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土方は深くため息をつき、二人を交互に見る。
小皿の上がとんでもないことになっていた。
殻の串が山のように積まれており、串に付着しているたれが胸にのしかかるような甘ったるい匂いを放っている。
「…お前ら、さっさと会計して仕事に戻れ」
土方が言うと、沖田はにこっと口角を上げて言った。
「ああ、副隊長の奢りですよねィ」
言っていない、断じて。
すると彼女がえ、と真顔のまま沖田を見据えた。
「私君が一緒に行くっていうから財布持ってきてませんよ」
普通に上司に奢らせるつもりだったらしい。
しん、と沈黙がおちる。
「___っだーー!!分かった!!俺が払う!!!」
土方が耐えかねたように大声を出した。
二人の視線がぴん、と土方と合う。
「いえーい副長太っ腹ァ」
「すみません、後でお金ちゃんと返しますので…」
部下の対応の差に風邪を引きそうだった。
「経費で出すから要らねぇよ」
そう呟くように言って、土方は自分の財布に目を向けた。
嘘である、完全に自腹だった。
土方は無言でお金を支払い、静かに財布をしまった。
沖田が短く口笛を吹く。
「御馳走様でしたァ、土方スペシャル」
「総悟ォ…テメェは後で金返せよ…」
土方は地を這うような低い声を出した。
「ケチ」
「ケチじゃねェ!!」
ビキッと土方の額に血管が浮いた。
結局、三人一緒で屯所へ帰ることとなった。
店を出ると、温かみをもった風が三人の髪をゆったりと揺らした。
空色が柔らかくなっており、影が濃い。
三人とも何も言わずに、ただ足を動かしていた。
ふと、沖田が立ち止まった。
「どうしたのですか雄豚君、邪魔ですよ」
「うるせェやィ」
沖田が前を向いたまま言った。
「また行きやしょう、あそこ」
土方は目を丸くした。
コイツが、このようなことを言うとは。
土方はチラリと彼女を見た。
……まあ、分からんでもない。
少し空気が濃厚になった気がした。
「ああ、今度は一人で行きますね」
彼女が言葉を発するまでは。
沖田がぎろりと振り返った。
「…はァ?」
笑っている。だが目が1ミリも笑っていない。
そのまま高速でスタスタと彼女と距離を詰めた。
「オメェ方向音痴だから迷うだろうが」
根拠のない決めつけである。
「方向音痴じゃありません、決めつけはサディスティックの始まりというでしょう」
「いやそんな言葉ねぇし、あったとしてもコイツはすでに手遅れ…」
土方が言い切る前に、沖田は土方の首に刀を添えた。
えのきのこ
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