○○✕✕年 4月
天気は晴れ
桜舞い散るこの季節が今年もやってきた
去年の今頃は兄たちと同じ高校が嫌で実家から上京して高校に通い始めたぐらいだろう
僕の実家は地元で名を知らない人がいないほどの名家だ
父親も兄たちも剣道が強く、親は実家で道場をしている
僕は4人兄弟の末で兄とは違い不出来だと言われることが多かった
その生活が高校になっても続くのかと思うと嫌になり上京を決めた
家族には反対されるかと思っていたが実際はそうではなかった
父親には勝手にしろと言われ
母親には呆れられ
兄たちにはお前には無理だとバカにされた
僕が上京する時に見送りさえ来ない家族が心底嫌になった
そんな家族でも
離れて独りで暮らしてみると案外甘やかされていたとわかる
それでも兄に比べられ罵詈雑言を浴びせられていたあの時よりまだマシだろう
実家の事や兄と比べられることもない東京はあの頃より随分息がしやすい
それに東京の人は親切で他人を気遣える素敵な人ばかりだ
もう二度とあんな地獄のような場所には戻りたくは無い
そんな場所から離れて1年
あの頃よりも時間の流れが早く感じるものだ
気がつけば僕ももう2年生となり、先日ついに後輩ができた
新入生やらで慌ただしかった日も2週間経てば落ち着いて…
1年生も学校生活に少しずつ慣れてきた頃合いだろう
そんな中途半端と言える時期だが、僕のクラスに転校生がやってくるらしい
保科「まともな人やったらええねんけどな」
この時はまだ知らなかった
その転校生が僕の人生を大きく変えることを
そして
ドンッ
保科「いっ…たぁ」
その転校生が
?「チッ…どこに目つけて歩いてんだテメェ」
こんな不良だなんて…
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