えーっと、…類は──
「おーーいっ!!!司くーん!!」
「…!もう全員いたのか!待たせてすまない…!」
小走りでえむ達の方へ向かった。
「司、何にそんな時間かけてたの?」
寧々は「仕方ないヤツ」とでも笑うように、眉を逆さまにし言った。
「ああ、ミクとレンがこっちに来てくれていたんだ。どこに行っても人がいるものだから、ずっとトイレの個室で話していて…」
「あーー、なるほどね」
「えーーーっ!!!ミクちゃん達来てたの!?!あたしお話したかったよ〜〜!」
「フフ、案外、すぐ会いに来てくれるかもしれないよ? 」
「ああ!ミク達にはまたあとで来てほしいと頼んだからな!そんなに落ち込むことはないぞ!」
そう赤子をあやすように言うと、瞳をキラキラさせたえむは浮き輪を担ぎ海に走っていった。
「え、あ!ちょっとえむーー!!」
急に走り出したえむを追いかける寧々。
「……ふっ、騒がしいな。全く」
「まあ、元気でいいじゃないか。」…………
………
沈黙が流れ波の音が鮮明に聞こえる。この陰キャめ。海水浴するのか会話するのかどっちかにしろ。正直かなり気まずい
「……そういえば、司くんってラッシュガード着るんだね」
唯一出てきた話題がそれなのか!?もっとこう……「良い天気だね」とかあるだろう!!←お互い様
「日焼け対策も完璧におこなうのがスターだからな!!」
「ふふっ、司くんらしいね」………
会話終わったが???
「……そういうお前も、長袖なんだな」
「ああ。なかなか、肌を出すのは慣れなくてね」
……類もそういうの、あるんだな
そう呟いた小さな声は、波の音に攫われて消えてしまった。
「……そろそろ、オレ達も行くとしよう! 」
「そうだね」
サンダルを脱ぎ捨てて、思いっきり海に飛び込んだ。
「ふう……そろそろ休憩にするか」
前に向けていた水鉄砲を降ろす。水圧と砂の重みで足への負担が大きく、走っているだけで足が鉛のようだ。
「そうだね。せっかくだし、軽く昼食でもとろうか」
「はいはーい!!あたし、そうめん食べたいな!」
「あ、それなら近くに良さそうなお店あったよ。」
「じゃあネネちゃん隊長!!案内よろしくおねがいしまーす!」
「はいはい」
みんな笑っている。真夏の太陽にも負けないくらい、眩しい笑顔で。
「ねえ、司は何食べ──」
この時間が、いつまでも、いつまでもずっと──
「気持ち悪い」
「ッッあ、!?!」
全身の力が抜け、膝から崩れ落ちる。
「っ司!?」
真っ先に気づいてくれた寧々は、オレの身体を精一杯支えた。
「寧々ちゃん、どうし──」
「ねえ司、大丈夫!?急になんで……!!」
力が、入らない。吐き気がとまらない。
どうして?なんで、今──。
「ご、ごめっ…吐く……」
「あ、あたし袋持ってきてるよ!うーんと、…っはい!!」
えむはオレの顔の前にビニール袋を持ってきた。
「…ッぅ”、はッお”え、…ゔ”ッ、!! 」
なんだか、頭痛も酷くなってきた気がする。この頭痛が、せっかくの休日をオレのせいで台無しにしてしまったという罪悪感故の症状なのかはわからない。
「…………あれ、類くん、?」
「……ぁ、…っ」
微かに震えた類の声がする。類も、どこか悪いのだろうか。
「…る、ッるい──」
「司はいいから安静にしといて。えむは司をお願い。……」
「あ……う、うん!」
「…司くん、大丈夫?」
「ああ。ありがとう、少し落ち着いた。」
そう言うとえむは「えへへ」と笑った。えむの笑顔は、こっちまで笑顔になってくる。
「司くん、聞いてもいい?」
いつもと違う声色だった。
「…どうしたんだ?」
オレは思わず息を呑む。
「…気持ち悪くなっちゃったのって…どうして?」
コメント
5件
嘔吐している天馬司を見てエッグイ笑顔になってしまいすみません😁😁😁😁💞💞💞本当にすみません😁😁😁💞💞💞 (男性キャラが青ざめて嘔吐しているシーンがとても性癖)
ほんとに好き、こういうのが大好物。 嘔吐天馬と何か隠しげ神代も男前ねねぴも真面目声色えむむも全部好き。 推しが吐いてるのに鼻息荒いの何なのガチで(性癖) 反吐を吐け天馬なんてこの辺の投稿でしか言えない単語過ぎて笑う🫵🫵 マジ感謝しかない、トラウマとか嘔吐とか体不とか死/ネタとか大好きなの、ほんとにあの、隷華ちゃんの書くやつ全部ドンピシャの需要です。 女神か??? 長文失礼💦🙏