条野さんは優秀な軍人で、しかも経営者。
物凄く忙しい身でもあり中々逢えない。多くて月に3回、少ない時は月に1回。ほぼ毎日何通ものメールを送っても返事が返ってくるのは1日に1回、それも寝る前の「おやすみなさい」だけ。
逢う時は彼の家だけで、偶に何気無くデェトに誘っても「休日はゆっくり休みたい」と言われたり、会話だって私が一方的に喋ってるだけで其れに対して相槌を討つだけ。
逢う回数が少なくても、メールをあまり返してくれなくても、デェト出来なくても、自分自身の事を何も話してくれなくても、私が一方的に喋って相槌を討つだけでも、付き合って5ヶ月目に突入した今でも全く触れてくれず接吻どころか抱擁すら1回もしてくれなくても、どれだけ冷たい態度をとられようとそれでも私は善かった。
ああして欲しいこうして欲しいと我儘を云えば嫌われるかもしれない、愛想を尽かされて別れようと言われるかもしれない。
其れだけは絶対に嫌だ。
__でも、そんな状況が5ヶ月も続けば流石に思う事もあって、もっと逢いたい、もっとメールの返事が欲しい、偶には条野さんから話題をふって欲しい、デェトしたい、抱きしめて欲しい等々、我儘な欲望が日に日に増していく。
迷惑掛けたくない
鬱陶しいと思われたくない
嫌われたくない
遠慮して何も言えず、蓄積されていく心痛と不安
此の儘では駄目だ。
──── そう思った私は早速、条野さんに「次逢う時、久しぶりにデェトしませんか」とメールを送った。
夜に返ってきた返事は「其れはまたの機会に」と云う答えだった。
善く善く考えれば、この時の返事が違ったものであったなら
きっと私達はまだ良好な恋人関係で居続ける事が出来たのかもしれない_____ 。
『……』
「……」
前回メールでデェトに誘ってから1週間が経過した今日、
条野さんの家でまったりと過ごしている──。
何時もなら一方的に喋り掛けるけど、これからは辞めようと思う。
条野さんが話し掛けて呉れるのを待ちたい
「……」
『……』
条野さんは一切話し掛けて来ず、読書をしている。
正直かなり気まずい。ずっとお互い無言で、私にとっては苦痛の静寂だ
何か…何か話したい、、、
そこで私はとある質問を投げかけてみる事にした。
『あの、条野さん』
「何ですか」
『私の事、好きですか…?』
「……はい?」
唐突な質問に少し眉を顰め、怪訝な表情で私を見る条野さん。
やばい───。彼を不機嫌にさせてしまった。嫌われたくない、早く謝らないと
『御免なさい!やっぱり何でもないです!気にしないで下さい(汗)』
「……。」
そして再び読書を再開させた彼
嗚呼、また条野さんの機嫌を伺って何も言えない。
自分でもあの様な質問をするべきではなかったと今になって後悔した。でも今ままでに一度も条野さんから好きだと言われた事がない
だから聞きたかった、「好きだ」と言って欲しかった。
でもそれどころか不機嫌になってしまった彼は、
───私の事なんて好きでもなんでもないのかもしれない。
本当は、恋人とすら認識されていないのかもしれない
私がしつこくアタックし続けた所為で、同情して付き合ってくれていたのかもしれない
もし、どれか1つでも当てはまっているのなら
条野さんを私から解放してあげないと __。
コメント
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続きが楽しみすぎて寝れません💦