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桃赤 / ノベル / 記憶喪失( 赤 )
幸せはいつだって不規則的だ。唐突にやってくるし、唐突に消え去っていく。…そして幸せは一度失ってしまったら二度と手に入れることができない、繊細で扱いが難しくて、とてもとてもめんどくさいもの。
「…ッ、だから浮気してないって何回も…ッ!!」
「じゃあなんでりうらはまろと手を繋いでたの? あれのどこが浮気じゃないの?」
浮気なんてしていない、でも手を繋いだのはホント、だって寒かったからね。暖を取りたかっただけなんだけどさ、そういうのも言い訳にしかならないし暖を取りたかったら暖かいの買えばいいじゃんって話だもんね。今更だけどちゃんとしっかりそこら辺を考えとけばよかったなって、後悔。
「…りうら。認めてよ」
「認めるわけ無いじゃんッ…! りうらは浮気してないの。ないくんしか見てないよ、ないくん以外の男の人も女の人も興味ない。ないくんとしかキスもりうらのこの身体も見せたくない。」
「じゃあ手を繋いでいたのは否定できるの?」
「ッ…」
否定できないからりうらは苦しい。いや本当はもっとないくんはもっともっと苦しいはず。だって大好きな人が目の前で他の男と手を繋いでいてその上に「これは浮気じゃない」って言われた挙句の果てには手を繋いでいたことは否定されないまま。だなんてりうらの都合がいいように進むように仕向けてるようにしか見えない。
「いいよ、もう。別れよ」
またもっともっと胸が苦しくなった。聞きたくなかった言葉をりうらのせいでないくんが発さなきゃいけなくなってしまった、そして俺が苦しくなって…嗚呼、もうなんでりうらはまろと手なんか繋いじゃったんだろ。繋いだっていうか暖を取っただけなんだけどさ。
「ッ…ぅあ…っ、」
だめ、目の前がクラクラする。なんでりうらがこんなに苦しんでいるんだろ、だってりうらは加害者じゃん。もっと苦しくて今すぐにでも投げ出したいのはないくんなのに。
そう考えた刹那、俺の身体が地べたにドサリと倒れるのと同時に意識を手放した。
「―ッ、りうらッ!!!」
***
俺が悪かったから、俺が責めたのが悪かった、そんなのしないって信じれなかった俺が悪かったから。だからどうか目を覚まして。なんてお願いすることしか出来ない俺がいやだ。
「…りうら、りうらッ……」
浮気したんじゃないかって勘違いして問い詰めたら、思いの外りうらを追い込みすぎちゃったみたいで倒れちゃって…それで急いで救急車呼んで…、即入院が決まって…。
考えれば考えるほど俺の悪いところを見つけ出してそれが原因でこうなっちゃったんじゃないかって責め立てちゃう。こういう癖を自分にもしてるから他の人にも出ちゃうのにさ。
「…お願いだから、俺のもとに戻ってきて…っ、」
彼の手をぎゅっと握ったとき、ガラガラと背後の扉が開かれて、俺は急いで彼の手から俺の手を離し入ってきた人物の元へ視線を移す。俺の背後に立っていたのはりうらのことを診てくれた医者だった。
「ないこさん、りうらさんはきちんと目を覚ましますよ。そこだけは保証します。」
「…! ほんとですか!!」
「…ただ、倒れた際に強く頭を打っていたみたいで頭の方へ衝撃が行っているため…漫画みたいな展開にはなりますが一時的な層下によるショック等により、記憶喪失。などの症状が出る可能性はあるかと。」
…記憶喪失。俺も前は漫画とかアニメとか見漁ってたから流石にわかる。ものによっては大事な人だけ忘れるみたいなのもあったけどここは現実世界、きっとすべてを失うことはなかったとしても俺のことだけを忘れるってことはないだろうな。
「…、? あれ、なにしてたっけ」
「…おはようございます。お名前、わかりますか?」
「、? 大神りうらです。」
急に目を覚ましたかと思ったらすぐに目の前の医者がりうらに色々聞いていた、記憶喪失かどうか確かめるためかな。
「…では、最後に。目の前の男性についてなにか知っていることはありますか?」
「ないくん、は…俺の大事な親友です。」
「そうですか。ありがとうございます」
…親友って言われた、?りうらと俺は親友なの…?違う、違うのに彼にとっての俺は親友程度でしかない。嗚呼、きっとりうらは俺と愛し合ったときのも好きだって言い合ったときもくだらない喧嘩をしたときも全部、全部忘れてしまったのかな。
気がついたら口の中が血だらけになっているほど唇を強く強く噛んでいた。
続く…
コメント
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マイナスからのスタート大好きです😭💕 次回の更新もゆっくりとお待ちしております🙂↕️✨️