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歩くんはこのあと何するんだろう。運動神経いいし、色々とできるんだろうな。
そんなことを考えていると、歩くんを呼ぶ声が聞こえた。
「日下部! 野村が呼んでる!」
「わり、ましろ。俺行くわ! またな」
歩くんは呼ばれた先を目掛けて駆けていく。
元気だなぁ。それに歩くんってやっぱり人気者だ。周りには男の子も女の子もたくさんいて、みんな楽しそうに笑ってる。
「ましろー!シュノーケリングやろうと思ってるんだけど、どうするー?」
「んー、ちょっと散歩する!」
伊代と菅野くんの邪魔するのも悪いし。のんびり沖縄の海でも散歩しようかな。
午後からは私も海にはいって遊ぼう。その頃には奈々子もこっち帰ってくるだろうし。
そうだ。自分のパーカー部屋に置いてこようかな。
海岸沿いからホテルに戻る近道をのんびりと歩いていくとホテルの裏側に辿りついた。
ちょうどここからはラウンジがある二階がよく見える。開放感のある大きな窓と真っ白な洋風のテラス。
目を引くお洒落なテラスに人が立っているとよく目立つ。
だから気づいてしまったんだ。先程まで海岸にいたはずの彼がそこにいることに。
薄茶色の髪に大きな瞳を守るように長い睫毛。
小柄で可憐な容姿を持った彼————歩くん。
そして、彼の目の前には顔を赤く染めている女の子。
さっき呼ばれたのってあの子になのかな。
これはもしかすると……
「一年の頃から好きだったのっ!」
二階とはいえ、テラスで話をしているため会話が聞こえてきてしまった。
「付き合ってください!」
「ごめん、俺好きな人いるから」
思いがけない発言に心臓がバクバクと暴れだす。
私……他に好きな人がいる歩くんに甘えっきりで、もしかしたら歩くんの恋の邪魔をしてた……?
劇のためとはいえ、私といたら好きな子に誤解されてしまうかもしれない。
「でも、ありがとな」
話が終わっちゃう。気づかれる前に行かなきゃ……でも、足が動かない。
歩くんから借りたパーカーの袖を握りしめる。歩くんに好きな人がいることを知った以上、これもきちんと返さないと。
……私って本当に自分のことばっかりだ。
頭の中がごちゃごちゃに混乱しているせいで落ち着かない。とりあえず今はここから離れよう。