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設定も流れも文章の書き方も素敵すぎます!!続き楽しみにしています!!
どうやったらこんな素敵な作品が作れるの?!好きすぎます🥹

ドキドキな展開💕 次のお話も楽しみにしています🥰
「なかなか忙しくて来れなかったから、久しぶりに来て会えるなんてうれしいなぁ」
こんな空間で話ししているとは思えないほど爽やかに明るく笑う。
話す相手がいるのはなんとなく嬉しかった。
「僕も久しぶりかも···クロさんも忙しかったんだね」
「うさぎちゃんも?お疲れ様、ちょっとはストレス発散になった?」
その時、目の前で絡み合っていた2人に別の人が近づき、更に激しくなる声にクロさんは苦笑いして、僕の手をとった。
「違う部屋行かない?ゆっくり話したいから」
僕もクロさんともっと話がしたかった。促されるまま、鍵のかかる部屋に入ると シンプルな部屋にベッドが1つ、そしてゴムやローションが堂々と並んでいて薄暗い照明もムーディで少し恥ずかしい。
「そう緊張しないで、そういうことばっかり考えてるわけじゃないから···うさぎちゃんが求めてくれるなら大歓迎だけど」
なんてねぇ、と笑って寝転がるクロさんの隣に僕も横になる。
「クロさんが嫌なことするなんて思ってないよ、初めて会ったときも助けてくれたから」
そう、何回目かに参加した時、凄く僕のことを好みだと言って近づいて来てくれた人に断ったけど本気にされてなかったのか連れて行かれそうになった。
だいたいはスタッフが対処してくれるけどその時はたまたま居なくて、そこを助けてくれたのがクロさんだった。
穏便に、優しく、けどはっきりと仲裁してくれて、俺は無理矢理するのは好きじゃないから、君さえ良ければボディガードがわりに一緒にいよう、と言ってくれた。
そこから会うとお喋りしてくれる、唯一の知り合いだった。
「嫌、も色々あるからねぇ、つい気持ちが盛り上がってるとそういう人もいるから···うさぎちゃんが可愛いのもあるし」
「そんなことは···けどあの時は本当に助けてくれてありがとう。そういう願望がある自分がいるのに、あの時は怖かったから」
「···誰でもいいわけじゃない、好きだからその人になら何されてもいい、と思えるんじゃないかな」
目を閉じていると本当に元貴の声に似ている。親近感が湧くのはそれもあってなのかもしれない。
声を決めるのは骨格が影響しているときいたことがある。だから顔が似ていると、声も似るのだと。
だからかな···クロさんは、元貴にどことなく似ている雰囲気だった。
「クロさん、手つないでもいい···?」
仮面をつけた顔がこちらに向いて、少し驚いたようだったけど彼はすぐに手を差し出してくれた。
僕はその手に自分のを重ねてきゅっと握った。
こんなところに来ておいて、周りでは色んな人が自由に欲望を晒しているのに何をしているんだろう、という気持ちになったけど、この時間、僕は自由を感じられた。
「うさぎちゃん、嫌じゃなかったら抱きしめてもいい?少しだけ···」
寧ろ、抱きしめて欲しい。
その気持ちを表す為にそっと彼の腕の中にからだをよせて、背中に手を回した。
「ありがとね···」
この人は孤独を埋めるためにここにいるんじゃないか。
なんとなくそんな風に感じる。
僕がよく知っている、寂しがりやな彼に、やっぱり似ているような気がしたから。