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「ああ、そういうことだったのか」と俺は言った。
プナールは顔を上げた。
俺は再び、首を横に振った。
今度はプナールの肩に手を置き、青い瞳をじっと見つめた。
今、ついに理解した。国境は実は、俺自身が創っていたことを。これまで見てきたどの物理的境界線も、つまり、城壁も雑木林も草むらも、鉄柵も、路肩石も、中央分離帯も、薬局前の電柱も、町境も、玄関も、廊下も、部屋のドアも、ベッドの縁も、机も、ボールペンも、皮膚も、実はそのものではなかったことを。本当の国境は心の中にあったことを。天国は自分次第で、遠くにも近くにも存在していたことを。そして、これまで捜し求めてきたその国は、今この瞬間、今ここに、二人の心の中にあることを。
「あとで教えてね」
彼女は恥ずかしそうに微笑むと、再び俺の胸に顔をうずめた。