────暗かった視界が明るくなったと思ったら、自分の部屋に居た。幹部になる前の……そう、ポートマフィアに入って暫く経った頃の部屋だ。
ガチャ、と音が鳴り、ドアが開いた。
「……何でこんなところでボーッと突っ立ってるのさ」
「はい、これ。首領から。任務だってさ」
「お、おう……?」
任務の報告に行っただけなのに、ついでに中也君に此れを渡しておいて呉れるかな?ってさあ。人遣い荒いよねえ……、何てほざいている相棒を横目に、受け取った紙に目を通す。
何処か見たことが有る様な任務。とは云ってもあまりにも昔の事だから任務の詳細は殆ど記憶に残っていない。然し、自分の部下が数人重傷になった為、完全に忘れている訳ではなかった。
抑も、だ。何故俺は自分の、然も数年前の部屋に居る?確かにあの時俺は死んだ筈だ。そして今手に持っている任務の書類……。まるで昔に戻った様な……否、真逆な。考えすぎだろう。そんな事が起こる訳がない。
と思いながらも何処か腑に落ちない気分であったが、取り敢えず任務だ。任務が終わってから考えよう。
任務と報告が終わり、俺が出した結論は、どうやら俺は前と同じ世界をもう一度繰り返しているらしい、ということだった。
今回の任務でも、記憶に有った通り部下が撃たれたからだ。一応警戒はしており、直ぐに動くことが出来た為、怪我人は出なかったが。
だが、何故俺は同じ世界を繰り返している─────?
死ぬ前の、俺の最期の記憶。俺は、何を考えていただろうか。
────「若し、会えるとしたら、今度は、俺が彼奴を拾いたい」
真逆、俺が死ぬ前に、「今度は俺が芥川を拾いたい」と思ったからか……?
若しそうだったら、仕組みは理解は出来ないが納得は出来る。
太宰に置いていかれて憔悴しきっている芥川を見る度、何故彼奴は芥川を置いていった、こんなに執着させておいて、と何度も思った。例え、何時か来る未来の為だと云われても、許せなかった。
彼奴よりも俺の方が芥川のことが好きなのに。何故芥川を拾ったのが彼奴なんだ。
俺なら、そんな思いはさせないのに、と。
だから若し生まれ変われたら、今度は絶対に俺が拾おう、と思っていた。何が有ろうと、絶対に。
誰が与えて呉れたのかは知らねェが、
────こんなチャンス、活かさない訳にはいかねェよなァ?
誰も居ない部屋で一人、笑みを浮かべた。
コメント
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( *¯ ꒳¯*)ムフフ やっぱりノベル書くの上手い! 続き待ってます(*´︶`)♡☺️(#^.^#)