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「絶対ここから出るぞ」
「……うん」
「外出たらさ、まず何したい?」
「ゲーム!」
「いいじゃん」
そんなやり取りをしていた。
ずっと続くと思っていた。
それから数日後。
俺は物音で目を覚ました。
隣を見る。
krhがいない。
「……krh」
返事はない。
少し離れた場所に行っただけだと思った。
だから探した。
何度も名前を呼んだ。
返事はなかった。
どれくらい歩いただろう。
曲がり角をひとつ曲がった時だった。
足が止まる。
そこにいた。
いや。
いた、というより、
残っていた。
床と壁の境目。
そこに、人の形をした何かが崩れるように横たわっていた。
服だけは見覚えがある。
何度も隣で見ていた服だった。
「……krh」
声が出ない。
近づく。
返事はない。
動かない。
笑わない。
もう、何も。
理解したくなかった。
でも分かった。
krhは もういない。
その時。
床に落ちていた小さな布切れが目に入った。
握りしめられていたらしいそれを拾う。
見覚えのある文字。
震える字で書かれていた。
外に出たかったな
その一文だけだった。
あの日から、どれだけ歩いたのか分からない。何日経ったのかも、何か月経ったのかも分からない。ただ、足を止めることだけはできなかった。
空腹も感じない。
喉も渇かない。
眠くなることも、ほとんどなくなった。
最初はおかしいと思っていた。でも、この空間ではそれが普通なんだと、自分に言い聞かせるようになっていた。
それでも、一つだけ変わらなかったものがある。
krhを助けられなかった。
その後悔だけは、時間が経っても消えることはなかった。
何度もあの日を思い出しては、「あの時もっと何かできたんじゃないか」と考え続けた。
気付けば、俺は自分を責めることばかりしていた。
頬の傷も、裂けた袖も、いつ付いたのかもう思い出せない。
ただ、時間だけが過ぎていった。
人の声を聞くこともなく。
誰かと話すこともなく。
一人で、この終わらない迷路を歩き続けた。
だから、
「たすけて」
その一言を聞いた瞬間、体が止まった。
あの日の記憶が、胸の奥で蘇った。
コメント
1件
ああ…これ、やばいわ。 最初の「外に出たらゲームしようね」ってやり取りがあったからこそ、krhの遺書が刺さりすぎる。「外に出たかったな」って震える文字が、もう…。 ずっと一人で歩き続けて、時間も感覚もなくなって、自分を責めるだけの日々。そこで「たすけて」の一言で止まる主人公。あの日のkrhを思い出したんだろうな。 めらみさん、8話でここまで持ってくるとかズルいわ。続きが待てない。