テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
Main Red Sub Green
Side Red
2015年5月1日。
それは、SixTONESの物語が幕を上げた日。
「あぁ緊張した」
ステージから控室に戻ると、衣装のベストを脱ぐ。
それぞれのため息が、部屋の真ん中に響く。でもそれはホッとしたため息。
「やっとだよ…」
北斗が誰にともなくつぶやく。「やっと俺ら6人に、名前がついた」
それを聞いて、樹は片方の頬で笑う。
「まだだろ。始まったばっかだよ」
おう、と慎太郎が応える。
「俺たち、覚悟はあるからな!」
高地は、「まだまだ蒼いな。高校生のくせして」といたずらっぽく言う。
「みんな。こっからが勝負だよ。気ぃ抜くんじゃねぇぞ」
ちょっと低い大我の声に、4人の表情が引き締まる。
6人でシアタークリエの舞台に立った5月1日に、俺らは「SixTONES」になったことを発表した。
いつものライブよりすごくプレッシャーがあったけど、無事にその日の2公演を終えて一安心。
着替えをしているうちに緊張も解けてきて、笑顔が増えていく。
「なぁ、これからどっか飯いこーぜ!」
「いーよー。あ、でも大我きついんじゃない?」
「いや、俺は別に」
「…そうは言っても、京本の喉心配だし。ラスト終わってからにしよう」
「そうだな。じゃあスケジュール押さえとく?」
「おん。っしゃ、残りあと2日か。頑張ろうぜ」
俺から見る5人の目は、普段より生き生きして見えた。そうだ、この目だ。俺はこの瞳の光を、ずっと待っていたのかもしれない。
そしてみんなで帰り支度と片付けを済ませ、楽屋を出る。
「忘れもんないね?」
高地が声を上げる。うん、と俺も部屋を見渡して答えた。「大丈夫」
「よし。行こ」
やっぱみんな、と俺は前を歩く5人に声をかけた。同じタイミングでくるりとこっちを向く。
「先行ってて。俺なんか忘れ物したかも」
「おい、さっき大丈夫って言ったじゃんかよ」
北斗が苦笑する。「ゆっくり先行ってるからな」
「すぐ来いよー」
そんな樹の声と、5人の足音が遠ざかっていく。
俺はついさっきまでみんなといた楽屋の前を通り過ぎ、ステージ裏への入り口をくぐる。忘れ物は楽屋にはない。ただ、ステージに残してきたものを確認したくて。
スタッフさんやお客さんはもういなかった。セットだけが建ったまま。
俺はステージに出て、そこから軽くジャンプして客席へと降りる。ここの舞台には何回か立ってきたけど、客席に来たのは初めてだ。
真ん中の席に腰を下ろす。
ほんの数十分前まで、6人だけで歌い踊っていた場所。一人で眺めながら、これからの俺らのことを考える。
SIXTONES。シックストーンズ。6つの原石。6つの音色。
俺が呼び止めた5人と俺を合わせた呼び名。
この人たちと離れるのが嫌で、ずっとこの人たちといたくて、最後の賭けとしてグループになることを選んだ。
だけど、ほんとにそれでよかったのかな。
俺が勝手に5人の人生を決めちゃって、もしSIXTONESが輝けなかったらどうしよう。
5人の将来は、俺の将来は——
ガチャッ。
「ジェシー?」
音と声がして、ぱっと振り返る。客席の入り口に、慎太郎が立っていた。
続く
のんのん.
雪村 麻耶 @ ペ ア 画 中
1,596
#時代劇
めぐ
38
116
コメント
1件
お疲れ様、micoさん!「red-letter day」第1話読了したよ。SixTONESのデビュー日っていう特別な1日を、ジェシーの視点から丁寧に描いててグッときた。ステージ後の控え室の空気感とか、6人のそれぞれの“ため息”がほっとした安堵と決意の入り混じった感じが伝わってくる。特に「俺が勝手に5人の人生を決めちゃって」っていう内省がめっちゃ刺さった。グループのリーダーとしての責任と不安がリアルで、感情移入しちゃう。慎太郎が戻ってくるラストも続きが気になる!描写の解像度高くて、この雰囲気めっちゃ好きだわ🔥 次話も楽しみにしてる!