※実際の団体、個人とは無関係です。
※ボイドラ時空でお送りします。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他捏造した設定が多く含まれます。
︙
︙
「えーっとぉ、冷えピタとスポドリとぉ……薬と、…あと、これは、うん。」
ランドリーで事務所連中を待っている最中、雲雀が発情期を迎えてしまったため、ドラッグストアまで走った奏斗。
またこの期間は勢いあまって発熱してしまうこともある雲雀のことを考えていろいろ買ってしまった。
もと来た道を戻り、ランドリーの扉へ手をかける。
鍵は開いていた。
「……あれ、おれ、鍵閉めてなかった…?やっっばいやっばい!…ッ雲雀!?」
まともな判断も身動きもできないΩを一人、人気のない場所に取り残す。それが何を意味するのか、同じΩである奏斗には痛いほど分かっている。
「おい、無事か?!!」
『…奏斗?!』
ぐったりとソファへ沈む雲雀の側にはアキラがいた。出ていくとき雲雀の頭にあった三角の耳は消えていた。
傍らのアキラは枕代わりにタオルで巻いた保冷剤を雲雀の後頭部へ入れている途中らしかった。 案の定、雲雀は熱を出してしまったらしい。
信頼できる仲間の姿に脚の力が抜け、奏斗はその場へとへたり込んだ。
「も゙〜〜〜焦った〜〜!アキラ来てたんだ…よかったぁ……」
アキラはβだ。それに、元諜報員である程度そういうことへの耐性もありそうなアキラであればきっと適切に対処してくれていたんだろう。
そう思った奏斗は冗談交じりにアキラへ言葉を投げかけた。
「でもさぁ、雲雀のフェロモンやばくなかった?僕まであてられそうになっちゃって、ダッシュで店まで…」
『……奏斗、実は…』
私は彼を犯してしまった。
それがアキラから紡がれた言葉だった。 目を見るに悪い冗談でもない様子だ。
「…鍵、開けたのもアキラ?」
『それは元から開いてた…。まさかβの自分がフェロモン喰らうとは思わなくて、軽率な行動を……』
アキラがちらりと雲雀を見る、それを追って奏斗も雲雀を見る。 赤い顔でふぅふぅと荒い息を繰り返して、まだ眠っている。
きっと アキラも体調の悪い雲雀を助けようとしてわざわざ近づいたのだろう、そんなことはわかっている。誰が悪い、といえばきちんと鍵をしていかなかった自分が悪い。
深く息を吸って、吐く。少し気分を落ち着かせたい。
「もう一回薬局行って緊急のやつもらってくるよ。…ごめん、アキラ。鍵してくから外で待ってて。」
『…わかりました。あの、お金は私が…』
「うぅん、いいよ。アキラも嫌な思いしちゃったでしょ」
待つのに僕の店入ってて構わないから、と言いながら奏斗は先に買ってきていた物をテーブルへ置き、部屋に入れそうな窓から扉すべての鍵を確認した。
落ち込みを通り越し、茫然自失になりかけているアキラは必要な道具を持ち、大通りまでを歩いていった。
「……雨、降らなきゃいいけど…」
カチリ、と最後の扉の鍵を掛け、奏斗は曇天模様の下を歩き出した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!