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#青春恋愛
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夏希(なつき)
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奇蹟あい
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翌朝。
教室に入った玲は、すぐに違和感に気づいた。
星羅がいない。
「……」
いつもなら。
玲より先に来ていることも多い。
なのに。
席は空いたまま。
「珍しいな」
そう呟いた直後。
スマホが震えた。
『玲くん』
星羅からだった。
『今日は先に行ってて』
『ちょっと用事があるの』
「……?」
玲は少し考える。
何か隠している。
そんな気がした。
そして。
その予感は当たった。
――放課後。
「……」
星羅は一人。
旧校舎の廊下に立っていた。
スマホには。
昨日届いたメッセージ。
『明日、学校で会いましょう』
「……」
ここに来れば。
何か分かる。
そう思っていた。
すると。
「来てくれたんだ」
「……!」
背後から声。
星羅が振り返る。
そこには。
一人の男子生徒が立っていた。
同じ学校。
けれど。
星羅は知らない顔だった。
「……誰?」
「それはこっちの台詞だよ」
男子生徒は笑う。
「星乃セラさん」
「……!」
星羅の表情が凍る。
「どうして……」
「やっぱり本人なんだ」
「……」
しまった。
誘い出された。
「安心して」
男子生徒は両手を上げる。
「別に騒ぐつもりはない」
「じゃあ何のために?」
「確認したかっただけ」
「何を?」
男子生徒はスマホを取り出す。
画面には。
星乃セラの配信履歴。
「君がセラだってこと」
「……」
「それと」
画面を切り替える。
そこに映っていたのは。
「……玲くん?」
玲の写真。
学校で撮られたものだった。
「どうして……」
「君が大切にしてる人だから」
星羅の目つきが変わる。
「その写真……どこで?」
「それは言えない」
「……」
「でも」
男子生徒は続ける。
「君と黒瀬くんのことは、かなり調べた」
「……何が目的なの?」
「目的?」
男子生徒は少し笑う。
「面白いから」
「……」
「全国で人気のVTuberが」
スマホを見せる。
「普通の男子高校生に、ここまで夢中になるなんて」
「……!」
星羅の手が震える。
「玲くんは関係ない」
「そうかな?」
「関係ない」
「じゃあ、これは?」
画面に映る。
一年前の配信。
星乃セラが新人時代に行った深夜配信。
『今日も来てくれてありがとう』
星羅の声。
「……」
星羅の顔が変わる。
「この配信」
男子生徒が言う。
「黒瀬くん、ずっと見てたよね」
「……!」
「コメントは一度もしてない」
「……」
「でも毎回、同じ時間に来てた」
星羅の目が見開かれる。
――知らなかった。
玲が。
あの頃から。
自分の配信を見ていたことを。
「そして」
男子生徒は笑う。
「この日の配信」
再生する。
星羅の過去の声。
『大丈夫』
『今日も頑張ったんだから』
『明日はきっと、今日よりいい日になるよ』
その言葉。
かつて玲が救われた言葉。
「……」
星羅の胸が苦しくなる。
「黒瀬くんはこの配信を見て――」
男子生徒が言う。
「救われた」
「……」
「そうだろ?」
星羅は答えない。
ただ。
スマホの画面を見つめる。
自分の声。
自分が何気なく話した言葉。
それが。
玲の人生を変えた。
「……だから」
星羅は小さく呟く。
「玲くんは……私を好きになったの?」
「そこまでは知らない」
男子生徒は笑う。
「でも」
「……」
「君たち、面白いよ」
「何が言いたいの?」
「ただ一つ」
男子生徒が近づく。
「黒瀬くんを巻き込まない方がいい」
「……!」
「君がセラだと知られたら」
星羅の目が鋭くなる。
「学校だけじゃ済まない」
「……」
「人気VTuberの恋人」
男子生徒は静かに言う。
「世間がどう反応すると思う?」
星羅は拳を握る。
「……玲くんには関係ない」
「だから言ってるんだよ」
「……」
「君一人で終わらせた方がいい」
その言葉を聞いた瞬間。
星羅の表情が変わった。
「……嫌」
「え?」
「絶対に嫌」
声が震えている。
でも。
はっきりしていた。
「玲くんは……」
星羅は男子生徒を見る。
「私が一番辛かった時に、私の配信を見てくれてた」
「……」
「私の言葉で救われてくれた」
そして。
「今度は私が、玲くんを守る」
「……」
「だから」
星羅は一歩近づく。
「玲くんから離れて」
男子生徒は少し驚いた。
「……随分変わったね」
「何が?」
「最初は怯えてたのに」
「……」
「今は、目が怖い」
星羅は笑う。
それは。
いつもの可愛い笑顔とは違った。
「玲くんのことなら」
静かな声。
「私は何でもするよ」
その直後。
「星羅!」
「……!」
廊下の向こうから。
玲の声。
「玲くん……?」
玲が走ってくる。
「何してる?」
「……」
星羅は答えられない。
男子生徒は玲を見る。
「……なるほど」
そして。
「本人が来たか」
玲が星羅の前に立つ。
「誰だ、お前」
「さあ?」
男子生徒は笑う。
「ただのクラスメイトだよ」
「……」
「じゃあね」
男子生徒は去っていく。
玲は追おうとする。
しかし。
「待って」
星羅が腕を掴む。
「……?」
「行かないで」
「星羅?」
「お願い」
星羅の手が震えている。
「私のそばにいて」
「……」
玲は黙って。
その手を握り返した。
「分かった」
「……」
「でも」
「?」
「一人で抱えるな」
星羅は目を伏せる。
「……ごめん」
「謝るな」
「でも……」
「俺にも話してくれ」
「……」
星羅は少し迷う。
そして。
「……うん」
玲の胸に顔を埋める。
「全部話す」
「……ああ」
玲は星羅の頭に手を置く。
「一緒に考えよう」
「……うん」
その瞬間。
星羅の胸に。
温かいものが広がった。
――この人だけは。
絶対に失いたくない。
夜。
男子生徒は一人。
スマホを見つめていた。
画面には。
星乃セラ。
そして。
黒瀬玲。
「……やっぱり」
小さく笑う。
「この二人には――」
もう一つ。
秘密がある。
画面には。
一年前の配信。
そして。
その配信を見ていた玲の記録。
「まだ本人たちは知らない」
男子生徒は呟く。
「黒瀬玲が、どうしてあの夜に救われたのか」
そして。
画面を閉じる。
「……もう少しだけ」
「この二人を見てみよう」
物語は。
過去へ向かって。
静かに動き始めていた。
コメント
1件
読んだよ〜!!😭💕 第31話「君の知らない過去」、もうね、星羅ちゃんの過去が重すぎて胸がギュッてなった…! 星羅ちゃんがVTuber「星乃セラ」だったってバレて、さらに玲くんがその配信に救われてたって知る展開、エモすぎて泣くかと思った😢✨ でも「今度は私が玲くんを守る」って言い切った星羅ちゃん、強くてカッコよすぎ!!玲くんが駆けつけて「一緒に考えよう」って言うシーンも最高にキュンしたよ…💖 あと最後の男子生徒の「もう一つ秘密がある」って意味深なラスト、続きが気になって仕方ない!!早く次話読みたいよ〜😭🔥