テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2,619
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
!アテンション!
攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある。
今回特殊設定なので下記の注意事項必須です。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
⚠️半獣🐉×人間🔝、という特殊設定です。矛盾点も盛り沢山。 苦手な方はバック。なんでもOKな方はお進みください。
その出会いは偶然だった。
「あ…?」
玄関のドアを開けようとしたところで、雨の音に紛れながらもふと微かな声が聞こえた気がして思わず動きを止める。いつもならイヤホンで音楽を聴いているのだが、このときはたまたまワイヤレスイヤホンの充電が切れていた。だから偶然、その音を拾ったのだ。普段なら大音量で流している音楽のせいで気づかなかっただろう。
クゥン、と鼻を鳴らすような声が再度聞こえる。鍵をあけるために耳と肩の間に挟んでいた傘を手で持ち直して、声の聞こえる方向に足を進めた。
隅の方、物陰に隠れるように、そいつはいた。
「……どうしたんだ、お前?」
雨で全身ずぶ濡れ、冷えたのであろう身体が小刻みに震えている。頭に生える大きな両耳はくったりと下がり、びしょびしょの尻尾が丸まっていた。
手を伸ばしかけたところで止める。小さいながらも立派な爪が見えたからだ。突然触れてパニックになり引っかかれたら…と逡巡した挙句、結局その小さな身体に触れた。ビクッと跳ねる。それでも引っかかれはしなかったから、もう一度耳と肩で傘を挟んで両手でそいつを抱き上げた。
「………とりあえず、俺ん家入るか?」
返事はない。が、俺は服が濡れることも構わずその身体を抱きしめ家に入った。
とりあえず風呂に直行し暖かいお湯で洗った。泥まみれだったのだろう、茶色い水が流れたあと現れたそいつの耳と尾はグレーの毛並みだった。
「よし綺麗になったな」
バスタオルを被せわしゃわしゃと乱暴に拭う。最初は嫌そうにしてたがシャワーが気持ちよかったのだろう、心做しか目付きが柔らかくなった気がしてホッとした。タオルをとると、ブルブルと水気をとるように身体を震わす。閉じていても口から若干覗く牙、長い爪、ピンと立つ耳とふさふさの尻尾。
「お前、半獣か…」
この世には人間と動物の他に、その2つを掛け合わせた所謂”半獣動物”なるものが存在する。があまり数も多くなく珍しいため、存在は知っていたがこの目で直接見るのは初めてだった。
(んー……こいつは犬、か?)
様々な半獣がいる中、人間に近い見た目の種類や動物に近い見た目の種類もいる。こいつがどちらに近い種類なのかわからないが、顔身体つきや2本の足で立っている姿はほとんど人間で、頭に生えた耳や牙、鋭い爪など要所要所に動物の要素があった。
「お前どこから来た?なんであそこにいた?」
「……………言いたくない」
どうやら喋れるらしい。言いたくないと言われればこれ以上問いただしたところでなにも話さないだろう。どうしたものか、と思っていたとき、ぐーーっと盛大な音が聞こえた。
「腹減ったのか?」
そいつは恥ずかしそうに、でも小さく頷く。なんだかそれが可愛くて思わず笑ってしまった。
「じゃあ飯にするか」
と言ったはいいものの、果たして何を食べるのが正解なのか。人間と同じ食べ物?それともドックフード…でも動物を飼っていない俺の家にそんなものはない。とりあえず昨日の残りの肉を軽く炒めて出した。
「ほら、足りなかったら言えよ?」
肉を見た瞬間パッと目を輝かせ、ガツガツと食べ始める。俺はワインを注ぎソファに腰掛けながらその様子を見ていた。
「そんながっつかなくても取らないからゆっくり食えよ」
俺の声など聞こえていないように、そいつは口いっぱいに頬張るから笑ってしまう。
「……可愛いな、お前」
そう言って優しく頭を撫でれば、恥ずかしそうにこちらを睨んできた。小さい身体でそんな目をされても怖くないが。
「名前はあるか?」
「…………ジヨン」
「そ、ジヨンね。いい名前だな。今夜はとりあえず泊まってけ」
ジヨンは頷くと、もう空になった皿を差し出してきた。
「タプヒョン!」
事務所の廊下を歩いていると、後ろから声をかけられ振り返った。
「テソナ!久しぶりだな」
俺は普段T.O.Pという名前でラップ中心のソロ音楽活動をしている。テソンは同じ事務所の後輩で1番仲が良い。俺を「タプヒョン」と呼び懐いてきてくれるため俺も特別可愛がっていた。
「元気にしてました?」
「ああ。テソナは?」
「元気ですよ」
「新曲聴いたぞ、すごいよかった」
「え!嬉しい!ありがとうございます」
そう言ってニカッと笑う彼に俺も顔が綻ぶ。彼の笑顔は他人を幸せにする不思議な力があるようだ。ありがたいことに最近互いに忙しく、なかなかご飯に行けていないのが少し寂しい。
「そういえば…最近犬を拾ってな」
「え!そうなんですか」
「犬って言っても半獣動物なんだが…この前の雨の日に家の前に迷い込んだみたいで」
途端に彼の目が輝く。そうだ、こいつは無類の動物好きだったな。
「え!しかも半獣動物!?珍しい!」
「ああ、見に来るか?」
いいんですか!?と更に彼の目が輝いた。
「ああ。俺も動物は嫌いじゃないがいかんせん詳しくないからな。もし迷惑じゃなければ………テソンの家で面倒見るか?」
テソンなら信用できるし、なによりたくさんの愛情をかけて育ててくれるだろう。
「ぜひ、前向きに検討します!さっそく今夜にでも会いに行きたいんですが、タプヒョン都合は?」
「ああ、いいぞ」
ありがとうございます!と言って彼は去って行った。
「お邪魔します!」
帰宅すると、いつもは廊下の角から飛び出てくるジヨンの姿がない。突然の見知らぬ人の来訪に怯えているのか。しばらくすると、恐る恐ると言った風にジヨンが顔を出した。
「……おかえり」
いつもピンと立っている耳が少し下がっている。近づくと、不安げな表情の彼を優しく抱き上げた。
「ただいま。いい子にしてたか?」
「うん」
「今日は後輩を連れてきたんだ。お前に会いたいってさ」
テソンが少し膝を曲げて抱かさるジヨンと視線の高さを合わせる。
「テソナ、この子がジヨンだ」
「初めまして。カン・デソンです!いつもタプヒョンにはお世話になってます」
「……タプ、ヒョン?」
不思議そうに答えるジヨンに、そういえば自分の話をしたことがなかったなと気づいた。ここ数日一緒に暮らしてて今更すぎるが。
「俺、T.O.Pっていう名前で活動してるんだ。だから後輩たちはみんな俺のこと”タプヒョン”て呼んでる」
「え、ヒョン今更自己紹介ですか?」
「…うるさいな」
図星をつかれ思わずムッとする。そんな俺のことなど見えていないかのように、テソンがジヨンの頬を指先で撫でる。
「わあ、多分まだ子どもですね。すごい可愛い〜!」
擽ったそうにしてるが、ジヨンも満更でもなさそうだ。少し恥ずかしがり屋なようで上手く喜びを表現できないようだが、尻尾が嬉しそうに揺れている。
「なあ、ジヨン」
「?」
「どうだ?テソンの家で暮らしてみるか?」
「ぇ…」
「テソナはな、すっごい動物好きで、優しくていいやつなんだ。お前のこともめちゃくちゃ可愛がってくれると思うぞ?」
自分で言ってて、なんだか、少し寂しくなった。
たった数日だが、朝起きればジヨンが「おはよう」と声をかけ、家を出るときは「いってらっしゃい」と玄関まで送りに来る。帰れば「おかえり」と出迎えてくれ、寝るときには同じベッドで「おやすみ」と擦り寄ってくる。何気ない毎日だが一人暮らしが長かったせいか、そういった些細なことが嬉しかったのだ。それがなくなってしまうのは、なんだか少し寂しい気もする。
「どうですか?僕の家で、一緒に暮らしますか?」
テソンが柔らかい声で話しかけた。ジヨンはしばらく黙っていたが、キュッと俺の腕を掴みやがてその口を開いた。小さい牙が見える。
「……が、ぃぃ」
「ん?なんだ?」
「………タプヒョンが、いい。俺、タプヒョンと一緒にいたい」
「!」
きゅーーんと心臓が撃ち抜かれた感覚がした。理性が効かなければ思わずこの小さい身体を抱き潰してしまうところだ。これが所謂キュートアグレッションってやつか。恐ろしい。
「ジヨン…」
「あはは、フラれちゃいましたね」
「なんかすまん…わざわざ来てくれたのに」
「いえいえ!会えただけて十分です!でもちょっと遊んでもいいですか?」
テソンがそう言いながらジヨンに目を向けると、ジヨンは嬉しそうに頷いた。
しばらくの間楽しそうに遊んでジヨンがだいぶ心を開いてきた頃に、テソンはそろそろ帰ると腰を上げた。明日も朝から仕事だと言っていたのに、どうやら時間を忘れるほど夢中になっていたようだ。
「悪いな、明日も早いのに」
「いえいえ!こちらこそ遅くまですみません。すっごい楽しかったです!また来ていいですか?」
「ああもちろん。ジヨンも喜ぶ」
な?と声をかければ、遊び疲れたのか、眠そうに目を擦りながらジヨンが頷いた。
「……ばいばい」
ひらひらと小さく手を振るジヨンに、テソンは今日何度目かの「かわいい!」を叫んでからドアを開けた。
「ではタプヒョン、また連絡しますね。お邪魔しました」
「またいつでも来いよ。飯も行こう」
「はい、ぜひ」
そう言うと、テソンはふふっと嬉しそうに笑った。
「?なんだ?」
「いや、あの子タプヒョンのこと好きなんだなーって。”タプヒョンがいい”なんてこんな大きな愛ないですよ」
大事にしてくださいね、と言葉を残してテソンは帰って行った。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、ジヨンがソファでうとうとしていた。というかすでに半分寝ている。その身体を抱き抱えると、ゆっくりとベッドに寝かせた。
「……なあ」
指先で頭を撫でる。ジヨンは俺の手に擦り寄りながら、微かに目を開いた。
「お前、俺のこと、好きなの?」
言ってて、俺はなにを言ってるんだと思った。これじゃまるで彼氏に愛を確認する彼女みたいじゃないか。そう思うとなんだか恥ずかしい。
「………ううん」
「えっ」
ふるふると首を横に振る彼に思わず固まる。まさか否定されるとは思わなかった。
「タプヒョンのことは、好きなんじゃなくて、大好きだから」
「っ!」
想像を遥かに超えた答えにまた心臓が撃ち抜かれた。俺今、絶対だらしない顔してるし頬が赤いんだろうな。彼の口から発せられる”タプヒョン”がこんなに嬉しいなんて。少し前までこいつを手放そうとしてたことが嘘みたいに、俺の方がもう離せそうにない。
「………………俺も」
嬉しそうにゆらゆらと尻尾を振るその小さな身体を抱きしめながら、俺はいつのまにか眠りについた。
数ヶ月も経つころには、ジヨンはすっかり大きくなった。身長は俺の胸ほどまでの高さに伸び、顔もだいぶ精悍さが増した。
そこでふとあることに気づく。
「お前……」
「ん?なに?」
三角型の大きな耳、ふさふさの尻尾、鋭い爪と牙。
「………ほんとに犬との半獣か?」
「え?」
彼はぱちぱちと瞬きをした後、吹き出すように笑った。
「あっはは!うそ、タプヒョン俺のこと犬との半獣動物だと思ってたの?」
「あ、ああ……え、ちがうのか?」
「違うよ〜。俺はね、狼との半獣」
「狼!?」
だから犬にしては強そうな見た目なのか。まさか狼だったとは、小さい頃は気付かなかった。
「そっか、狼か…」
「………なに?犬がよかったの?」
ジヨンが少し寂しそうな顔で言う。俺はふっと微笑んでその頭を撫でた。
「そんなわけないだろ。ジヨンはジヨンなんだから」
「!」
「いや、納得したなあって」
「なにが?」
「犬にしては随分かっこいいなって思ってたから、狼なら納得」
「っ、」
彼は驚いたような顔をした後、サッと目線を逸らした。なにか不味いことを言ってしまったかと思ってたが、その直後勢いよく抱きつかれる。
「わっ」
「………もう、ずるいよタプヒョン。そういうこと言うの」
「?」
「…………どんどん好きになっちゃうじゃん」
予想していなかった言葉に驚いた。それと同時に馬鹿みたいに心臓が跳ねる。
(………いやいやいや、なに緊張してんだ俺)
なんだかいたたまれない気持ちになって、俺は誤魔化すようにまたその頭を撫でた。頬が熱いのがなんだか恥ずかしい。
ベッドにごろんと転がりながら、消そうと思っていたテレビにふとその手を止める。今まで動物についての話題は正直気にしたことがなかったのだが、狼という単語が聞こえて思わずそのまま流した。
その番組では結局サラッとしか狼について触れなかったが、「群れで行動する生態」という言葉にジヨンを思い浮かべた。あの雨の日の夜、彼は1人で家の前にいた。家族は?そもそも半獣動物はどれほどの繁殖率で、どういった経緯で誕生するのだろう。
そこで気付く、一緒に暮らし始めてもう何ヶ月も経つのに、俺はジヨンについて知らないことが多すぎると。
「何見てるの?」
彼が欠伸をしながらベッドに潜り込んでくる。なんとなく、テレビは消した。
「ん?いや特に」
大きくなっても変わらず、彼とは同じベッドで寝ている。随分と狭くなったから新しいベッドをもう1つ買おうかと提案したが彼が嫌がったのだ。
「………なあ、ジヨン」
「ん?」
『お前どこから来た?なんであそこにいた?』
『……………言いたくない』
前に一度だけそう聞いたことがあった。しかしジヨンがとても寂しそうにそう答えたから、なんとなく触れてはいけないものかと思いそれ以降話題に出したことはなかった。が、もう少し彼のことを知りたいという気持ちもある。もちろん、言いたくないのならそれでも構わないが。
「その……言いたくないならいいんだが、ジヨンはどうしてあの日…一人でここに?」
そう言うと、ジヨンはぎゅっと抱きついてきながらポツリポツリと話し出した。
「俺……気づいたら一人で、どこでどうやって生まれたのか、家族は誰なのか知らなくて。どうしようって思ってるときに、一匹の狼が世話してくれて。俺にとってはお父さんみたいな感じ。ジヨンて名前もつけてもらった」
「なるほど」
「俺って半獣だから、他がどうか知らないけど、人間の言葉も動物の言葉も理解できる。そのお父さんは純粋な狼だったけど、こんな俺のことすごい可愛がってくれた」
「……」
「でもある日……事故で亡くなっちゃって。また一人になって……怖くて、寂しくて、どうしていいか分からなくて……気付いたら、この家の前にいたんだよね」
「………そうだったのか」
俺は枕元の電気を消すと、ジヨンを抱きしめ返した。
「話してくれてありがとう。嫌なこと思い出させたな」
「ううん、全然」
だからこいつは人肌恋しいのかもしれない。寝るときに狭いこのベッドも、こいつのためなら悪くない気がした。
「だから、その……」
「ん?」
「俺、もう1人になりたくない。ずっとそばにいたい。タプヒョン、離れないで」
胸がぐっと痛くなる。ジヨンの寂しさもつらさも、きっと全部を理解してあげられないけど。
「……ああ、約束だ。ずっとそばにいる」
というか、俺の方が今更離れられない。
「うん、大好きだよ、タプヒョン」
彼の言う”好き”を、もう誰のものにもしたくないなんて思ってるほどに。