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マカロン
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羽海汐遠
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梵衍那国《はんえんなんこく》上空
丁達の犠牲により、悟空達は鳴神が召喚した龍の背に乗って梵衍那国の上空を飛んでいたのだが、空から出て来た謎の生物達が出て来るのを目撃していた。
「「オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ」」
「「オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ」」
同じ呪文が繰り返され、耳に響く銅鑼の音の衝撃で空間全体が揺れている。
「この生物達、シヴァの使いの者ですね。化け物達が何を言っているか分かりませんが、最後の部分だけは理解出来ます。早速、邪魔しにきたようですが、どうされます?」
「どうするも何も、全部蹴散らすだけだ」
「おや?何やら武器のような物まで、空から降ってきましたね」
悟空の返答を聞いた白沢はほ軽く笑いながら視線を空に戻すと、太陽の光に反射した金色の巨大な弓が降り、誰も巨大な矢を引いてないのに悟空達の元に放たれる。
ビュンッ!!!
「おい、馬鹿でかい矢がこっちに飛んできたぞ!?それに、めちゃくちゃ速い!」
「まってろ、方向転換する!」
「いえ、それでは間に合いませんね」
白虎と鳴神の会話に白沢が割って入り、広げていた扇子を閉じながら立ち上がる。
白沢の周りに数枚の札が現れ、放たれた弓が鳴神達の目の前まで迫って来た時、白沢は唇をゆっくり動かした。
「オンアラビアンキャン・シャラタク」
ジャキッ、ジャキッ、ジャキッ!!!
呪文を唱えた瞬間、白沢の周りに現れた札の中から白色の鎖が現れ、放たれた弓に絡みつき動きを止める。
悟空は白沢だ唱えた呪文には聞き覚えがあり、驚いた悟空は白沢に尋ねてしまう。
「お前、陰陽術が使えたのか?」
「ある程度のものは使えますよ?私は神獣ですけどね。物覚えが良いので、一回聞いただけで使えますよ。お茶を飲みながら話したい所ですが、そうもいか
ないようですね」
白沢の言葉を聞きながら謎の生物達に視線を向けると、金色の巨大な弓が幾つか降りてきており、矢の先
が悟空達に向けられていた。
「本気で私達の事を殺す気のようですが、どうします?悟空様」
「愚問だぜ、白沢。ここに居る化け物共は練習台なんだよ、俺の新しい技がどこまで通用するのか確かめる為にな」
そう言った悟空の指先から雷が走っているのが見え、流れ出した雷は如意棒に流れ込んで行く。
バチバチバチッ!!!
「おい、悟空!また無茶をする気か!?武器に雷を流したって、お前の体には負担がかかるんだぞ!?」
「親父、俺のやる事に口を出すなら俺だけで戦う。小桃もだ、何か言いたそうな顔をしてるが、その顔を俺に見せるな」
「っ…、悟空。小桃は…」
「俺は経文を集めて、アイツ等と天竺に行く。美猿王と釈迦如来を殺してでも、俺達はこの世界を変える」
悟空の言葉を聞いた鳴神と小桃はこれ以上、悟空の事を止める事が出来ない事を悟る。
「悟空さん…に、こんな事を聞くのはおこがましいのですが、聞かせてください。貴方の理想郷を、どんな世界に変えるのか聞かせてください」
「…、誰も失わない、争いのない世界を三蔵達と創る。三蔵達だけでも天竺に連れて行ければ良い、その場に俺が居なくても世界が変われば良い」
「悟空さん、僕は貴方が王になった世界を見たい、貴方の事を天竺に連れて行きます!」
「力のないお前が、俺をどう連れてくんだ?馬鹿」
悟空と黒風の会話を聞いて鳴神と小桃は、悟空の逞しく大きい背中を黙って見つめた。
二人の目には、新しい世界で悟空が斉天大聖となって世界を統べる姿が見え、彼の口から出た夢を叶えてあげいと強く願う。
「悟空のやる事に、小桃は口を出さないよ。だって、悟空は小桃の事を連れて行く気はなかったでしょ?それなのに、小桃の事を連れて来てくれた。小桃は悟空の側にいたいから、悟空と一緒に戦うって決めてるから!小桃も居るって事を忘れないで、悟空のパパも皆も悟空の為に戦うって思ってるから!」
「お前は覚悟を決めて、腹くくってここに居るんだよな。お前の好きなようにやれ、俺達はお前を天竺に行かせる為についてきたんだ」
「ったく、最初からそう言っての。オンキリク・シュチリビタカナダ・ナサヤタンバヤ・ソワカ」
小桃と鳴神の言葉に返答した悟空は武器強化の呪文を唱えると、如意棒の色が赤色から白色に変わっていく。
如意棒に纏われていた雷が大きくなり、謎の生物達が一斉に悟空達に向かって矢を放つ。
ビュンッ、ビュンッ!!!
「落雷雷光」
そう言いながら如意棒を振るい上げると、如意棒に纏っていた雷が離れ、一斉に謎の生物達の頭上に移動し落雷する。
バチバチバチッ!!!
青い空に雷が走り、感電した生物の隣にいた生物達の体に雷が移動し、次々と雷が移動して行く。
「「ギエエエエエ!!!?」」
感電して体が丸焦げになった謎の生物達は次々と地面に落下して行くが、謎の生物達は数が減るどころかどんどん増えて始めていた。
「チッ、虫みてーに沸きやがる」
「私共を本気で消しにかかってるんでしょう、美猿王達もここに居ますからね」
「みぃつけた」
「「「っ!!!?」」」
悟空と白沢が話をしていた時、悟空達の目の前に大きな黒い穴が開き、中から出て来たのは血塗れの阿弥陀如来だった。
「魔天経文はどこ?ねぇ、どこ?どこ!?」
「ハッ、お前に言う訳ねーだろ、糞神」
「お前の事を殺して、体をバラしたら出てくるよね?」
「ガハッ!?」
ガシッと力強く悟空の首を掴み、そのまま阿弥陀如来と共に地面に落下して行く。
「悟空!!!」
「お嬢!危ないっ!落ちたらどうするんですか!?」
悟空の事を追いかけようと身を乗り出した小桃の腕を白虎が引き、小桃が落ちないように力強く抱き寄せる。
「だけど、悟空が!!!」
「二人を追う、皆しっかり捕まってろ!!!」
鳴神がそう言うと、命令を受けたように龍が悟空達の元に向かうように急降下し、謎の生物達も鳴神達の後
を追い掛け始めた。
白沢は瞬時に新たな札達をばら撒き両手を合わせ、素早く指を動かしながら呪文を唱える。
「まがいものよ、禍者よ、いざ立ち還れ、もとの住処、形なき弓よ、ちはやふる神の生弓、放つ生友よ、妖気を的を為せ」
シュシュシュッ!!!
呪文を言い終えると、ばら撒いた札が光輝くと弓矢の形に変わり、一斉に謎の生物達に光の弓矢達が放たれた。
ズシャッ、ズシャッ、ズシャッ!!!
「「ギエエエエエ!!!?」」
光の弓矢に体を貫かれた謎の生物達は黒色の血を吐きながら地面に落下して行くも、光の弓矢を避けた謎の生物達が鳴神達を襲う。
「「「オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ」」
龍の背中に飛び乗った謎の生物達は犬用に四つん這いの体勢で走り、小桃は刀を抜く。
先頭にいた謎の生物の体を斬り付けるが体に当たった瞬間、刃が弾き返される。
キィィンッ!!!
「この化け物達、体がすごく硬い!刃が通らないよっ」
「小桃ちゃん、頭を下げてくれ!!!」
「え!?あ、はいっ!!!」
鳴神は右手で銃の形を作り、「疾風雷光」と言葉を吐くと、指先に大きな雷の球が形成され、視界ではとらえきれない速さで謎の生物達の元に飛ばされた。
バチバチバチッ!!!
「「ギエエエエエ!!!?」」
飛ばされた雷の球が謎の生物達の体に当たると、謎の生物達の体の内側から破壊し、黒い血を吐きながら龍の背中から落る。
バラバラバラッ!!!
白沢が疾風雷光を受けていない残りの謎の生物達に向かって数枚の札を投げる。
指を素早く動かした後、「爆!」と言葉を吐いた後に九字切りをすると投げつけられた札が爆破した。
ボンボンボンッ!!!
ドゴォーンッ!!!
「「ギエエエエエ!!!?」」
謎の生物達が鳴神と自分自身の攻撃が効いているのを見て、思考を巡らせながら言葉を吐く。
「鳴神様、この生物達に効く攻撃は、神力が籠った攻撃しかありませんね」
「みてーだが、神力がある奴はここには俺と神獣である白沢しかいねーだろ?この数の化け物を二人で相手するのは、中々厳しいぞ」
「小桃さんの刀は天界で作られた物です、白虎の神力を注げば奴等に届く刃になります」
「神力を注ぐ?」
「神獣は神力がなければ生きていけません、力を注ぐと言う事は死を意味する。白虎と小桃さんの二人の意
見が合わなければいけません」
白沢と鳴神の会話を聞いていた白虎は、迷う事なく小桃の刀を掴む。
「お嬢、俺の命をお使い下さい」
「そんな簡単に言わないでよ、白虎っ。二回も白虎が死ぬ所なんて、小桃は見たくないよっ」
「俺の命はお嬢の為にある、お嬢に拾われた時から俺の命はお嬢の物だ。良いんです、この世界での俺の役目はお嬢の役に立つ事。お嬢の武器になれるなんて、こんな光栄な事はありません」
「白虎、小桃は白虎の命を使う事は…」
言葉を続けようとする小桃の白虎は手で塞ぎ、これ以上は何も言えないようにする。
「アイツが作る世界になっても、俺の事を拾ってくれますか?お嬢」
「白虎…、そんなの当たり前だよっ。白虎が人の姿でも動物の姿でも、小桃達は家族だよっ」
「その言葉が聞けて、すごく安心しました。お嬢、アイツの世界で一緒に幸せになろう」
白虎の言葉を聞き、日幸せそうな表情を見た小桃は、彼の意志を覆せない事を知り、自分の武器である刀に視線を落とす。
この世界では白虎と平和に暮らせない事、大切な人が目の前で死ぬのを止められない事、小桃は再びこの世界の事を恨んだ。
この世界で作られた残酷な選択をしなければいけない現実、ただ幸せに生きる事が許されない世界を、これ以上に憎んだ事はなかった。
「…、ごめんね白虎」
恨みの言葉を飲み込み、小桃は白虎に謝る事しか出来ない。
自分自身の唇を血が滲む程噛み、泣きそうになるのを必死で堪える。
「先に逝って待ってて、白虎の事を迎えに逝くからっ」
「何年、何百年でも待つよ。お嬢は俺がどこに居ても、いつも必ず見つけだしてくれたから」
そう言って白虎が刀に触れると、刀と白虎の体が眩い光を放ち、反射的に閉じた瞼を開けた。
目の前には白虎が着ていた服だけがに残され、姿形は無くなり代わりに残されていたのは、雪のように白い刀だけ。
刃に細かく雪の結晶が彫られ、雪で作られたような刀に生まれ変わっている。
声が聞こえなくても、視線を交わせれなくても、白虎が側に居てくれているような感覚がした。
「小桃さん、大丈夫ですか?」
黒風が恐る恐る声をかけると、小桃は立ち上がりながら黒風の問い掛けに答える。
「大丈夫だよ、白虎と約束したから。小桃はもう、大丈夫」
さっきまでの小桃と様子が少し変わったように思えた黒風が尋ねるが、白沢が話の尾を折った。
「申し訳ないのですが、この生物達の相手を私としてくれますか」
「うん、分かった」
「来ます」
白沢がそう言うと謎の生物達が一斉に走り出し、白沢は閉じている扇子を持っている手を上げ「爆」と唱え爆破を起こす。
ボンボンッ!!!
「「ギエエエエエ!!!?」」
爆破を受けた謎の生物達は次々と落下して行くが、灰色の煙の中から爆破に逃れた生物達が強行突破してくる者達もいた。
「「オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ」」
小桃は呼吸を整え、刀を構えると小桃の周りから冷たい空気が流れ、白い小さな塊達も小桃の周りに浮き上がる。
パキパキパキッ。
「「オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ」」
先頭にいた謎の生物の一人が小桃に触れようと手を伸ばした時、謎の生物の手が一瞬で凍った。
パキパキパキッ。
小桃の周りに浮いていた白い小さな塊達が氷柱の形に形成され、謎の生物達に向かって氷柱が放たれて行く。
シュシュシュッ!!!
グサッ!!!
放たれた氷柱は謎の生物達の体に刺さり、後ろにのけぞった謎の生物達に向かって小桃は走り出す。
「「オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァヤ、オン・ナマハ・シヴァ…、ギエエエエエ!!!?」」
ズシャッ!!!
小桃が振り上げた刀が謎の生物の体に届く刃となり、小桃は次々と謎の生物達を斬り倒していった。
阿弥陀如来に首を掴まれたまま落下していた悟空は、思いっきり阿弥陀如来の腹に蹴りを入れる。
ドカッ!!!
「ゔっ!」
腹を蹴られた衝撃で阿弥陀如来は悟空の首からて放してしまい、悟空に視線を向けると彼の周りに雷が集まってきていた。
バチバチバチッ!!!
「いきなり何すんだ、糞神」
「生きるか死ぬか、この世界では当たり前の事でしょ?あ、そうだ。これ、君に渡そうと思ってたの」
そう言って阿弥陀如来が見せたのは丁達が着けていたバンダナ、そのバンダナを見た瞬間、集まっていた雷が一気に阿弥陀如来に向かって放出される。
バチバチバチッ!!!
阿弥陀如来は指で箱を描き、「壁」と唱えると放出された雷が現れた透明の箱の中に納まってしまう。
「アイツ等、すぐに死んだよ?だから、早く追い掛けてこれたの」
「…」
「これからも君が天竺に向かう度に、君の周りに居る奴等は死んでくよ。先に行かせる為に残った四人が良い例だよ」
「何とも思ってねーように見えてんだろうが、そんな事はありえねぇ。お前等よりもな、身近な人間が死んで逝く重さは知ってんだ。お前等を殺さしてでも、俺は三蔵達と天竺に行くんだよ」
バチバチバチッ!!!
悟空の言葉に反応するように、箱の中に閉じ込められていた雷が暴れ出す。
ピキピキッ!!!
膨張した雷を抑え込んでいる箱に大きな亀裂が入り、抑えきれなくなった箱が砕けてしまった。
パリーンッ!!!
「チッ、うあああああっ!!!」
バチバチバチッ!!!
箱の中で大きくなった雷が阿弥陀如来を襲い、悟空は力強く如意棒を阿弥陀如来の体に叩き付ける。
ブンッ、ドカッ!!!
ドゴォォーンッ!!!
如意棒を叩きつけられた阿弥陀如来は地面に思いっきり落下し、落下した衝撃で大きな砂埃が立ち込めた。
悟空はそのままの勢いで、阿弥陀如来の体に如意棒を突き刺したまま地面に到着する。
砂埃の中、悟空は殺気を感じて背後に視線を向けると、夜叉が悟空に向かって刀を振り翳していた。
ブンッ!!!
「チッ!!!」
阿弥陀如来の体から如意棒を外し、夜叉からの攻撃を防ぐが、左側からが現れ斬り掛かろうと刀を振り翳す。
ブンッ!!!
「壁」
キィィンッ!!!
白沢が悟空の周りに結界を作り、縊鬼の刃が届かないよう攻撃を妨害し、鳴神達も地面に着地した。
「おうおう、鬼共が勢ぞろいしてんな」
「チッ、お前等が来た所為で首を跳ね損ねた」
「そんな簡単に息子の首を跳ねさせるとおもってんのか?させる訳ねーだろ!?」
バチバチバチッ!!!
鳴神がそう言うと、鳴神の体に大量の雷が纏われ、夜叉と縊鬼に向かって一気に神が放出される。
夜叉はすぐに縊鬼の手を引き、後方に下がると縊鬼が従えている巨大な骸骨が前に出て雷の攻撃を代わりに食らう。
「ゴゴゴゴゴッ!!!?」
大量の雷を受けた巨大な骸骨の体は丸焦げになり、鳴神は自身の武器である槍を構え、夜叉と縊鬼に向かって走り出す。
ビュンッ!!!
キィィンッ!!!
鳴神は槍を夜叉の腹目掛けて突き刺すが、夜叉はすぐに刀を左手に持ち替えて攻撃を止める。
ドンドンドンッ!!!
空から降りて来ていた謎の生物達も次々と地面に着地し、悟空達と鬼達に向かって走り出す。
ドォォンッ!!!
「「「っ!!?」」」
悟空達と鬼達、謎の生物達の体に重圧が襲い、重圧に耐えきれなくなった体は地面に倒れてしまう。
「なっ、んだよっ、これっ」
「重圧が体に掛かってるようですがっ、鬼達の仕業ではありませ、んねっ」
悟空の問い掛けに白沢が答えていると、悟空達の頭上から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「阿弥陀如来、何をしているんだ?」
「テメェの仕業かっ、釈迦如来っ!」
阿弥陀如来と同じように空間に開いた黒い穴から出て来た釈迦如来は、自身の力で作った兵隊達を引き連れ現れた。
今まで表に出して来なかった自身の神力を出しただけで、悟空達の体が耐えきれない程の重圧に変わる程の神力の多さを実感する。
化け物化した毘沙門天と吉祥天が釈迦如来の左右に並び、雷を受けた阿弥陀如来は血反吐を吐きながら立ち上がり、現れた釈迦如来に視線を向ける。
「お前はこの程度の神ではないだろう?私が育てたんだ、ここにい居る連中よりも強いだろ?」
「釈迦如来…、へへ、そんな風に思ってたんだっ。へへへ、そんな事言われたら、頑張るしかないよね?」
「それで良い、お前と私で世界を変えるんだ。こんな所で立ち止まってる暇はないぞ」
阿弥陀如来はふらつきながら悟空に近付き、持っていた刀をゆっくり持ち上げた。
「チッ、釈迦如来の野郎…」
「手こずらせやがって…、あー、体が痛い。痛い事されるの好きじゃないのに」
悟空はどうにかして反撃しようと体を動かそうとするが、体が鉛のように重く指一本ですら動かせない。
体内にいる雷龍の力を発揮しようとしても、強大な神力の前では手も足も出ないようだ。
「ご、くうさんっ!!!」
黒風は重圧に耐えながら、何とかして悟空に近付こうともがく中、黒風の脳内に誰かが語り掛けてくる。
『よぉ、苦しそうだな?黒風』
「この声…、どこかで聞いた覚えが…」
『おいおい、修羅の国で何回も聞いた事があんだろ』
「まさか、阿修羅王?な、何で、僕の頭のに阿修羅王の声が…?」
『何、神通力の一つである天耳通を使って、お前達の声を聞いただけだ』
阿修羅が言った天耳通とは、世界の全ての声や音を聞き分ける事が出来る技の事。
悟空の前に突然、阿弥陀如来が現る事が出来たのも神通力の一つ神足通と呼ばれるもので、自由自在に自分の思う場所に行き来できる技だ。
「声を聞いただけ…」
『このままだと、本気を出した釈迦如来には勝てないぞ。お前等が奴の神力に押さえつけられている限り、刃を向ける事が出来ない』
「悟空さんが阿弥陀如来に殺されちゃいますっ、どうしたら良いんですか?」
『神獣白沢と言ったか?奴が言った方法で、お前が私の武器になれ』
阿修羅の言葉を聞き、白虎が小桃の武器化した光景を思い出す。
さっきまで謎の化け物の体に通らなかった刃が、白虎が神力を小桃の武器に注いだ事で刀は生まれ変わり、謎の生物にも対抗できる武器となった。
『白沢が白虎に提案した技は神力身代わり代行だ。文字通り、神力を武器に注ぐ事を身代わりに代行する技。ただ注ぐだけでは効果は無い、命も注がなければならない』
「でも、僕には神力は…」
『お前は私の世界の住人だったのだぞ、私の加護下
に居たのだ。多少なりとも、お前の体にも神力が流れている。まぁ、するもしないもお前次第。自分の命だからな、自分が納得する使い方をするべきだな』
「こんなにも早く生まれ変わる事が出来たのには、何か意味があるんじゃないかって思ったんです。悟空さんへの思いが強かったから、また会う事が出来たのかなって。悟空さんは僕の事を自由にしてくれたんです」
黒風は悟空に視線を向けたまま、心の声を口に出す。
「僕の命を使って下さい、阿修羅王」
『お前の命、無駄にはしない』
ドンッ!!
阿修羅が言葉を放った瞬間、黒風の心臓が高鳴り、彼の体から眩い光が放たれる。
「「っ!!?」」
放たれた光は悟空達が目を開けられない程の眩しさで、光の周りに梵字らしき文字達が浮き上がり、どこからとのなく強風が噴き出す。
眩い光は西洋風の剣に形成され、誰かに呼ばれたように空に向かって飛んで行く。
パシッ!!!
武器化した黒風を掴んだ人物を見て、釈迦如来と阿弥陀如来は顔を歪ませた。
コメント
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最新話読んだよ!今回もすごかった…。白虎が小桃の刀になって本当に消えちゃったのが辛すぎる。でも「アイツの世界で一緒に幸せになろう」って言葉が泣ける。黒風も阿修羅王の力で武器になる覚悟を決めたし、もう犠牲が尊すぎて心臓ギュッてなる。釈迦如来が本気出してきて絶望感やばいけど、悟空たちの「誰も失わない世界」への執念が熱い。続きが気になりすぎる!