TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

手を繋いだまま、スクリーンを見つめる。映像の中で、三島先輩が音楽室の前で立ち止まっている。

「白鳥さんの演奏、また聴きに来たんですね」

後ろから声をかけたのは生徒会の書記、佐々木さん。

「違う。これは生徒会の…」

その時だった。俺たちが送った赤い光が三島先輩を包み込む。

「…いや、その通りです」

三島先輩の表情が柔らかくなる。

「白鳥さんの演奏には、心を奪われてしまうんです。フルートの音色が、まるで天使の声のように…」

普段は絶対に口にしないような素直な言葉。赤い糸の力で、本心が零れ出ている。

「効いてる…!」

沙耶が小さく声を上げた。その時、映像が音楽室の中に切り替わる。

白鳥先輩は演奏の手を止め、独り言を呟いていた。

「もう、あの堅物。どうして素直じゃないのよ」

そこに俺たちの赤い光が届く。

「…ああ、でも、それも三島くんらしいのよね。真面目で、優しくて、ちょっとドジで」

照れたような笑みを浮かべる白鳥先輩。

「私、こんなに三島くんのこと考えてたのね」

「おー、これは効果てきめん」

俺が呟くと、映像はまた切り替わった。今度は翌日の様子。

昼休み、三島先輩が音楽室の前で深いため息をついている。と、

「あら、珍しいわね。昼休みに生徒会長が音楽室に?」

後ろから声をかけてきたのは白鳥先輩だった。

「白鳥さん…あの、実は」

「ん?」

「僕の気持ちを、話してもいいですか?」

白鳥先輩は目を丸くした。いつもの三島先輩なら、絶対に言い出せない言葉のはず。

「白鳥さんの演奏には、いつも心を奪われています。フルートの音が、まるで天使の…いや、白鳥さんご本人が、僕にとっては天使のような…」

「ちょ、ちょっと、三島くん?」

白鳥先輩の頬が赤くなっていく。

「好きです。白鳥さんのことが」

「…!」

廊下に静寂が流れる。

「もう…どうしてそんな、急に」

白鳥先輩が俯く。

「だって、私のことを天使なんて…その、嬉しいじゃない」

「え?」

「私も、三島くんのこと…好き、よ」

照れくさそうに告白する白鳥先輩。その瞬間、二人の間に赤い光が満ちる。

『カップル成立です。おめでとうございます』

「やったー!」

思わず沙耶が飛び上がって喜ぶ。その勢いで、また手を強く握られた。今度は、俺も自然と握り返していた。

「二組目、成功だね」

「うん!予想以上にトントン拍子かも」

沙耶の笑顔を見ていると、なんだか胸が温かくなる。

「あのさ」

「うん?」

「手、まだ繋いでるよ?」

「あ…」

慌てて手を離す。けど、なんだか名残惜しい感じがした。

「ごめん。癖になりそう」

「え?」

「あ、いや、その…なんでもない」

慌てて誤魔化す。沙耶の方も、何か言いかけて止めたような表情。

そんな気まずい空気の中、スクリーンが再び光を放つ。

『残り時間は40時間です。最後のカップルをお見せしましょう』

映し出された映像に、俺たちは息を呑んだ。

「これは…」

映っていたのは、見覚えのある学校の屋上。そこには一人の男子生徒がいた。

「この後ろ姿…」

沙耶の声が震える。そりゃそうだ。だって、映っているのは―

「俺だ」

俺と彼女の一泊二日の異世界転移

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

20

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚