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#ロゼ
りずむ
1,102
「しおん」
「……何」
「痛いね」
「……ん、」
「でもなんか止まらなそう。段々目の前暗くなってきて怖い。しおんは?」
「いや、明るくね?怖くないよ、俺は。」
「……貧血かな。」
「血、垂れてるね。俺のせい、」
「なんか不穏だね」
「でもしおんがいるから」
「俺もらぴがいるから」
「怖くないよね」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「………っ」
息を飲む。
目を開けられない。
視界が赤と黒に染まっていく。
「しおん、?」
彼が目の前にいるのに、
顔が見えない。
「ねえ、しおん…っ」
視界がハッキリした。
色は相変わらず赤と黒2色。
だけどその真ん中。
はっきりとしおんの顔がある。
「ねえ、ねえ…っ」
同じ言葉しか言えない。
「……え…」
だって、彼の顔が血だらけだったから。
ボトッ……
視界が揺れる。
現実を処理できない。
目の前で、愛する人の。
首が落ちた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「はぁ…っ、はーっ……」
咳が止まらない。
視界がぼやけている。
俺は今……
「………げほっ…」
…え、血……?
目の前に、窓にもたれかかる君がいる。
もう、息をしていない。
そうだ、俺は…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「……嬉しいけど、…は……」
止まらない彼の持論。
堪えきれなくて。
ゴンッ
「ぃ゛…っ、」
ボタッ…
彼の頭を、窓に叩きつけてしまったんだ。
「らぴ…」
小さくなってく彼の声。
止まらない出血。
見ていられなくて。
「…しおん、っ」
「これで俺の事、殺して…?」
「……は」
許すわけがなかった。
さっきまで『俺といない方がいい』
と話していた彼が、俺を自らの手で殺めることを。
でも俺はもう決めてしまった。
彼のいない世界に、俺はいらない。
彼の意思で動かせなくなった指。
神経が麻痺し始めている。
だから俺が握らせた。
グシュッ…
動かない彼が握る刃物を、
俺が自ら迎えに行った。
狙い通り切れた腹部大動脈。
これで俺は数分後に、失血で死ぬ。
「…っ、ぁ…ぅ、ぁああぁあッ」
もう呂律の回らなくなっている彼。
最後に罪を擦り付けてごめんな、
痛みで俺も上半身を起こすのがきつくなる。
床に倒れ込んだ。
彼とだけは離れたくなくて、
冷たくなりつつある彼の足にしがみつく。
「しおん、すきだよ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「なんで、俺は…」
身体は動かない。
当たり前だ。
間違いなく大動脈を切ったのだから。
じゃあ、なんで俺は生きてるの?
心中なんて、思うようにいかない。
奇跡は、欲しくないカタチで生まれるらしい。
俺にこれ以上の不幸があるとか、
思ってもなかった。
運命は残酷な程に、
俺に味方してくれないらしい。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ガラッ…
4Bの教室の扉を開ける。
身体が覚えていた。
彼がそこに腰掛けているのを
当たり前だと思っていた。
彼はいない。
窓枠にいくら目を凝らしても、
彼の姿はない。
始業式から数日が経った。
俺はまだ4Bに通うことを辞められない。
朝も移動教室の時も昼休みも放課後も。
ずっと彼の姿を探し続けている。
蝉の鳴く声がする。
カラン、とどこかでガラス質の接触音。
……夏は嫌いだ。
だって、君に会えなくなったから。
コメント
2件
すごく好きです😭🫶🏻 特に最後の台詞ほんと切なくて儚すぎて🤦🏻♀️ 倒置法使うのも「会えなくなった」と過去形を使ってるのも切なくて🥹✨ 最高でした😭🙌🏻
うわ…これ、読んでて胸がぎゅーってなったよ。らぴとしおん、お互いがお互いを想いすぎて、結果的にどっちも救われない形になっちゃったのが辛すぎる。「俺のせい」「俺がいるから」って言い合ってたシーンが切なくて、最後の「夏は嫌いだ。だって君に会えなくなったから」で完全にやられた。生き残った方の地獄、ひしひし伝わってきた。続きが気になるけど、この余韻も大事にしたい…