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天樹
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宣言通り茉白が気絶するまで延々と前の穴と後ろの穴を犯し尽くしたバスティンはやかん
から桶に温くなったお湯を注いで濡れタオルを作り、茉白の身体を丁寧に拭き上げていく。
汗と涙と愛液と精液で汚れた身体を拭きながらバスティンは激しいセックスによって気絶
して健やかな寝息を立てている茉白の顔を満足そうに見つめていた。これできっと悪夢に
魘されることもなく朝を迎えることができるだろう。バスティンはカーテンの隙間から漏
れてくる光に明け方までセックスに浸っていたことに気づく。 今日の朝は起きられないだろ
うからブランチにするようにロノに伝えなくては。 バスティンは手早く服を着ると、 深夜に
持ち込んだ道具一式を持って部屋から出て行った。
桶を風呂場に戻し、 タオルを洗濯籠に突っ込んで、やかんだけを持ってキッチンに行くとロ
ノが朝食の支度を始めようとしているところだった。
「やかんがないと思ったらお前が持ってたのか?やかんなんて何に使うんだよ…あと、さっ
さと着替えて来いよ。 朝飯間に合わないだろ?全く、 朝まで部屋に戻らないしやかんは持っ
ていくし、何してるんだよお前」
「お湯が大量に必要だったんだ。あと部屋に戻らなかったのは主様の安眠サポートをして
いたからだ。詮索するな」
「お湯を使う安眠サポートって何だよ?最近おかしいぞ、お前…」
「うるさい。お前には関係ない」
「主様に何かしたんじゃないだろうな!?」
「安眠サポートだ。それ以上でも以下でもない。…あと主様が眠ったのが明け方だったから
今日はブランチにしてくれ」
「明け方まで寝付けなかったのか…まぁあんなことがあったら夢で見るかもしれないし、
寝たくないって気持ちもわかるけどな。でもお前の行動はおかしいぞ。 隠し事があるならさ
っさと白状しろよ?特に主様関連なら執事たち全員に共有するべきことだったりするだろ」
「…考えておく。とりあえず着替えて朝食を作ればいいだろう?」
バスティンはそう言い残して自室に戻っていく。 ロノはバスティンが茉白に安眠サポートと
称して何をしたのかともやもやと考えてしまい、 朝食はいつもより手抜きなメニューになっ
てしまった。
「昨晩の担当執事が分かる奴は居ないか?主様の部屋から明らかに変な音がしていたんだ」
「それに主様が魘されてるみたいな声とそれを慰めるような執事の声がしたんだ」
ハウレスとフェネスが朝のランニングを終えて食堂にやってきて食事をしていた執事達に
問うた。 執事達は担当執事は誰も居なかったはずだと口々に言い、 変な音と声は聞こえてい
た執事と聞こえていなかった執事に分かれた。
16「ふむ…声的にはバスティン君が怪しいかと思いますよ。主様が苦しそうにしているとき
に優しく声を掛けてあげていたようです。…ですが、変な音も聞こえていたのでバスティン
君が主様に何かをしていた可能性もありますよね。本人に確認するのが一番いいんじゃな
いでしょうか?」
ラトの言葉に食堂の視線が料理を運んできたバスティンに注がれる。
「ねぇ、主様を守れなくて酷い目に遭わせた上に何をしたのですか?内容次第では壊して
もいいんですよ?正直に白状するなら殺さない程度で留めてあげます。どうなんですか?」
バスティンは食事を皆に配りながら動じずに安眠サポートをしただけだと言い張った。
絶対にただの安眠サポートじゃなかったと声や音を聞いた執事達が問い詰めていると、ア
モンとボスキが眠たそうに眼を擦りながら魔女裁判のようになっている食堂に現れた。
「ったく、主様を朝方まで啼かせてた奴は誰だよ?お陰で寝不足だ」
「しかもなんか合意とは言い難い雰囲気だったっすよ?誰っすか主様に手を出したのは…」
その言葉にその場に居た全員がバスティンが茉白に手を出したと確信した。
「おい!何が安眠サポートだよ!あんなことがあった後に主様を襲うなんてイカれてるの
か?それで主様が思い出したらどう責任取るつもりなんだよ!?」
「…主様は夢であのことを思い出していた。だから全部書き換えてしまおうと思ったんだ」
ロノがバスティンの胸ぐらを掴んで殴りかかろうとしてもバスティンは冷静に返答する。
「だとしてもやっていいことと悪いことがあるだろうが!!!」
「じゃあお前はあの事を思い出して、自分はもう汚れているからここには居られないと泣
いている主様を…他の方法で繋ぎ止められたのか?」
そう言われてロノも勢いを失う。茉白を屋敷に繋ぎ止めておくためには元の世界に帰らな
いように縛り付けなくてはいけない。茉白がもう自分は汚いからと主様を辞めたいと言う
のに一体どんな言葉をかけるのが正解だったのだろう?汚されてしまったと泣いていたの
なら上書きしてしまえと暴走したバスティンの行動も筋は通っている。 間違いなく茉白を縛
り付けておけて、夢も見ないくらい疲れさせて寝かせられる手っ取り早い方法はそれしか
なかっただろう。しかし、だからといって執事が主に手を出していいのかという倫理的な問
題は生じてくる。それに茉白はその行為が幸せだと思っていないのならば、 バスティンのや
ったことは無理矢理犯した男達と変わらない。
「俺は責任を取りたかったんだ。あんなに痛めつけられて犯されて傷つけられた主様が、 少
しでも現実を忘れられるようにと思って…俺のやり方は間違っていたか?」
ロノはバスティンから手を放してまだ包帯の取れていない腕をだん!と壁に叩きつける。
ロノだって茉白を守れなかった張本人だ。 バスティンの気持ちは痛いほど分かる。 茉白がど
んなに傷ついて悲しそうに涙を流したか、ありありと想像できる。だからこそ、 バスティン
を責められない。 自分だって目の前で永遠に会えないと宣告されたらどんな手段だったとし
ても繋ぎ止めただろう。それが間違った方法だったとしても…
17とにかくこれは 1 人で正しかったか間違っていたかを決めるのは難しい。執事達は一度会
議室に集合して話し合うことにした。
まずバスティンが昨晩茉白の寝顔を見に行ったら魘されていたため起こして、木彫りの人
形を渡したことで茉白の涙腺を崩壊させてしまい、茉白はもう自分は汚れていて馬鹿で器
量もよくないし可愛げもないから主様には相応しくない、もうこちらには来ない、と言って
指輪を外そうとしたことを説明する。それを聞いて頬に湿布を貼っているべリアンが泣き崩
れてしまった。いつかは思い出すかもしれないと思っていた。けれど、そこまで追い込んで
しまうとは思っていなかった。まだ自分で歩けるほど回復していない状態で現実世界に戻る
という選択をさせてしまったことが悲しい。あの時、 自分が最後まで手を離さなければ、 絶
対に離れないと必死で抵抗していれば…後悔は尽きない。 全部執事達のせいにして手厚い世
話を受けることが当然だと思ってくれたらどんなに救われたことだろう。しかし、 茉白は執
事達を責めたりせず消えようとした。バスティンが無理矢理繋ぎ止めてくれたから今茉白
はベッドの中で深い眠りの中に居るのだと知った執事達はバスティンを責めることはでき
なかった。
「主様をあんな目に遭わせてしまったのは私の責任です。あのとき手を離さなければ、 暴徒
から主様を奪い返せていれば、こんなことにはなっていません…
バスティン君のしたことは正しいとは言えないかもしれません。でも主様がそこまで追い
込まれて私たちの前から消えようとしたことは事実です。 繋ぎ止めておける方法が、 主様を
この屋敷に縛り付けておく方法が、それしかなかったのも分かります。 私はバスティン君を
責められません。ですが今後どうやって主様を慰めてこの屋敷に留まっていただくように仕
向ければ良いのでしょうか?戻った記憶はもう忘れさせることはできませんよね?必要と
あらば私は強硬手段も辞さないと宣言いたします」
涙を流しながらもギラリと目を光らせたべリアンに執事達はざわめく。今は骨折の治療の
為に添え木をして固定してある指が自由になったとき、 指輪を外せなくする…確かに茉白が
元の世界に帰ろうとしないと約束してくれていたから必要なかった指輪を固定する器具は
既に手に入れている。でもこの屋敷の中だって絶対に安全だとは言い切れない。たまに侵入
してくる刺客だって後を絶たないし、連中が狙うのはいつだって一番弱くて戦力とならず、
人質として優秀な茉白だけ。ならばどうしたら茉白を確実に守れる?
「「「拘束室を使う」」」
年長組の声が揃った。
「それなら絶対に私が居る部屋を通らなくては辿り着けないので良いと思いますよ」
ラトはかなり乗り気で賛成した。
「でも主様をそんなところに閉じ込めるのは可哀想だよ!ラトっちが毎晩主様の側で寝れ
ばいいじゃん!それに地下から出さないってことはボクたち主様に会えないってことじゃ
ん!それはヤダ!!」
「それはそうですね。主様の部屋に誰か必ず監視を置くだけでも良いような気もします」
18ラムリの叫びでラトはコロッと意見を変える。
「うーん…私としては拘束室が一番安全だと思うんだが…公平を期すなら交代で監視をす
るのが現実的かな?」
ミヤジはちょっと残念そうにそう言った。
「記憶を消せなくても思い出しにくくする薬は作れるし、一旦ローテーションで見張りを
してみようか。主様にはこの屋敷だけが世界の全てだと教え込めばいいだけだし♪」
ルカスは楽しそうに手元の手帳に必要な材料を書き込んでナックに見せて薬代を出してく
れるように頼む。ナックは茉白を繋ぎ止めるためならとすぐに頷いた。
「しかし、 天使狩りや依頼はどうなるのでしょうか?主様無しでは最近苦戦しがちなのが気
になります。天使が強くなってきて被害も拡大しています。このままでは全滅も考えられま
す。 主様を必ず守るというのなら屋敷から出さないことが条件になりますよね?俺たちがど
こまで戦えるか…」
ハウレスは力の開放無しで戦って天使と渡り合えるのかと疑問を口にする。 皆もそこは気に
なっていた。 茉白が天使狩りに来られなくなると怪我をする執事も増えるし最悪死亡するこ
とも考えられる。
「それならば新しい主様を呼び出して、 茉白様は隠居していただく…ということはできない
のでしょうか?」
ユーハンの意見にそれなら良いかも、と思うが指輪は 1 つしかない。新しい主様が現れた
ら茉白が現実世界に強制送還されてしまう可能性だってある。
「…まぁ出来ないことはないよね?」
ルカスがべリアンに意味あり気に問いかける。
「えぇ…一度酷い主様を引き当ててしまって新しい主様を召喚して追い出したことがある
のです。その時は指輪は新しい主様に引き継がれて、 前の主様は帰りたいと思うまで帰れな
いという結果になりました」
「つまり、 新しい主様を迎えて、 茉白様が帰ろうと思わないように囲ってしまえばいいって
ことだな?」
ハナマルが面白そうに笑う。
「えぇその通りです」
「じゃあとりあえず主様は別邸に引き取ればいいかな?」
「まだベッドを置けるスペースはある。 本邸の執事達で新しい主を世話してやれ。 別邸で茉
白は預かる」
ベレンとシロが別邸の 2 階の部屋に茉白のスペースを作れるからと提案する。
「じゃあそのように。ルカス、記憶を混濁させる薬は即効性があるものなのか?」
「そうだね…長期使用目的だから即効性は無いかな…それなら効き始めるまで意識を混濁
させる注射をしようか」
19ルカスが研究室に戻ると皆は茉白の身の回りの物をどこまで運ぶべきか、 ベッドごと持って
いくのかベッドは新しく用意するのか、お風呂や食事はどうするか…などを話し合う。
ベッドごと持っていくのは危険だし、 新しい主様の寝床が無くなってしまうのでベッドは新
調することになった。
元々部屋に置いてあったものはそのままに、必要そうな家具は全て注文した。
茉白は薬を注射されて別邸の 2 階に運ばれ、ぼんやりとベッドに横たわっている。
注射をしようとしたルカスを怖がってべリアンに縋り付き、その間に注射されて意識を混濁
させられた茉白に若干可哀想だなと思う執事も居たが、 全ては茉白のため。 茉白がこの世界
に留まり続けるためには必要なことだと割り切った。
ここまで意識がぼんやりしているのならば見張りも楽だ。別邸の執事達で交代しつつ茉白
の様子を見た。
「そろそろ記憶が混濁してくる頃だと思うから、新しい主様を迎えようか」
ルカスの提案でべリアンとミヤジも参加して召喚の儀を始める。
新しく現れた主様に3人は微笑んで見せた。
「「「これからよろしくお願いしますね、主様」」」
新しい主には皆作り笑いで表向きは良くしてやったが、別邸に寄り付こうとすると真顔で
「どこに行かれるのでしょうか?」と止めて恐怖を植え付けた。 天使狩りや依頼以外のこと
を話すこともない、 ドライな関係が出来上がっていく。 新しい主はそれでも屋敷に必ず顔を
出して執事達と仲良くなろうと奮闘していた。けれども執事達にはもう既に一番大切な人が
いる。その隙間に割り込むことはできなかった。 新しい主は唯一事情をよく分かっていない
ムーを膝に乗せて別邸を見つめる。
「あそこにはいつも女の子が居るね。誰か知ってる?」
「え!?い、いえ、ぼ、僕は知らないです!」
「…そう。ねぇべリアンに夕飯は要らないって言っておいてくれる?私は呼ばれるまで元の
世界に居るね」
「…はい…主様、ごめんなさい…」
ムーの謝罪に二重の意味があったことなど知ることもなく、新しい主は指輪を外して元の
世界に戻った。
そんなことが本邸で起こっていることなど全く知らず、 茉白はぼやける視界と何か大切なこ
とを失ったような喪失感と何から何までお世話してくれる執事達に、これでよかったんだ
っけ、と呟くことしかできなかった。
「えぇ、これで良いのです。主様は幸せでしょう?」
ユーハンに問われて茉白は頷くことしかできない。こんなに良くしてもらって離れるだなん
て選択肢は無かった。 茉白は今幸せなのかな?と自問する。もっと幸せだった気もするし、
20もっと幸せじゃなかった気もする。でも、 窓から見える大きなお屋敷から楽しそうな執事達
の声が聞こえてきて、その中に自分が居ないのがなんだか寂しい気がする。 昔はお外にも出
られて、庭の花を愛でながらお茶をしていた気がするのだけど…そんな曖昧な記憶だけを
頼りに何の不自由もない今の生活は幸せなんじゃないかな、と思うことしかできなかった。
例え服を着替えるのも食事をするのもお風呂に入るのも全て執事達の助けを借りなくては
何もできなくても、大きなお屋敷からたまに遊びに来てくれる執事達とお喋りするのが唯
一の娯楽だとしても、 毎日寝る前に毒々しいカプセルの薬を飲まされても…茉白は幸せなの
だと自分に言い聞かせる。そうしないと執事達に見放されてしまいそうだから。
そういえば、 名前も忘れてしまったあの黒猫ちゃんは今どこにいるんだろう?おしゃべりで
ささみが大好きだったあの子の体温が側に無いことだけが茉白の中に違和感として渦巻いていた。