「ねぇ、ぺいんと。俺って日常組の一員としての意味ってあるの?」
俺が日常組として活動した数週間後のことだった。
正直、俺はいてもいなくても変わらない存在だと思う。
そう思い、思い切って一緒に編集をしているぺいんとに聞いてみた
すると、間を開けずに
「そんなことないよ!なんでそんなこと言うの?」
と言い、続けて
「だって、トラゾーがいなかったら、俺等は日常組じゃないから」
……、何を言っているんだ?こいつは
俺がいなかったら、日常組じゃない??
そんなことない。俺がいなかったら、もっとより良い日常組になる筈だ。
「そんなことない……」
「あるよ」
否定するように、俺の言葉に被せた
「、そっか」
この瞬間、理解した。
やっぱ、表舞台に立って、天才で、才能がある人は俺のこと、理解してもらえないんだ、って………
「あとさ、ぺいんと。」
最後に気になったことがある。
「別に、深い意味はないんだけど、さ。
生まれ変わったら、何になりたい?」
暫くの沈黙。
意外と真剣に考えてくれているようだ
「そーだね………、生まれ変わったら、か……」
一体、ぺいんとという人間は、どう答えるのだろうか
「んー、金持ち!って言いたいところだけど、本当は、また、自分になって、日常組をもう一回したいな」
と、太陽のように明るい声で言った。
眩しい、思わず目を細めた。
俺には眩しすぎる……、
「そっか。」
ポツンと言い残し、気持ちを悟られないように、編集に没頭した
「やっぱ、ぺいんとは、俺の気持ち、分かんないよね」
編集が終わり、誰に言うでもなく、自室でポツンと呟いた
とある、コメント欄を見ながら。
そこには
『何?このトラゾーって奴』
『なんでこんな奴入ってきたの?』
『キモすぎ』
『前の日常組の方が良かった』
『3人の日常組の方が絶対良い』
『なんかさ、トラゾーが喋ると空気悪くなるよね?もしかして、仲悪い?』
『前の日常組に戻ってきてよ』
『トラゾーってマジで人間地雷w』
「……、分かるわけない。ぺいんとには」
沢山のアンチコメント……、全ては俺に向けてだ
日常組のコメント欄は比較的落ち着いていた……俺が入るまでは
最近はアンチコメントが多くなってきている
アンチコメントを消すのは冠さんや、……ぺいんとの仕事だ
だから、俺が入ったことによって、仕事が増えたんだ
「ッ……、ごめん、なさい」
謝罪と共に少し怒りが混じってきた
なんで、ぺいんとは俺を入れようとしたんだよ、
もしかして、ぺいんとはこうなる事が分かってて、俺に嫌がらせをしたかったんじゃないか………、
「そんな、こと、あるわけ、ないじゃん…」
ぺいんとに限ってそんなこと、するワケ……
「ッ、やだなぁ、もう、誰も信じられないじゃん……」
誰も信じない、自分が嫌い
圧倒的に自分が決めた道なのに、ぺいんとのせいにした、自分が嫌い
キャラを付けれない、自分が嫌い
何もできない、自分が嫌い
「こんなことなら……ッ」
ブルルルッ
という振動と共に電話のコール音が流れた
まるで、タイミングを見たかのように
「誰……?」
ピッ と応答ボタンを押す
『もしもし〜?トラゾー?』
「ッぁ、クロノアさん!こんにちは」
イケメンな声と少しボケたような声が混じった優しい声。クロノアさんだ
新・可愛い担当。そして、日常組の中のリーダーである、彼……、クロノアさん。本名
黒井 乃蒼 さんは、日常組の中でも絶大な人気を取っている
「どうしたんですか?」
『ん〜?ねね、トラゾー、』
一呼吸間を置き、次に発せられた彼の言葉は思いもよらないコトだった
『俺とデートしない?』
「……、は、?」
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