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橙桃のノベル

38 - 恋の味  橙桃

♥

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2022年07月17日

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橙桃です。本人様とは関係ありません。

地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。

また、今回から登場人物たちの名前の表記を変えます。

前→桃くん 今回から→さとみくん

この表記の仕方が不快に思われる方がいらしたら前の表記に戻そうと思うので、その場合はコメントでお伝え下さい。

尚、会話文の前は以前と同じ表記です。



『さとみくん!』

『?どうしたのじぇるくん』

『これあげる!』

『…?あめ?』

『うん!たべてみて!』

『、!あまい!』


『さとちゃん、はい!今日はちょっと酸っぱいで〜w』

『おー…ッほんとだ…ちょっと酸っぱい』

『でも甘さもあるやろ?』

『うん、ありがとジェルくん』


『はい、今日の飴。…どう?』

『…ッ?!すっっぱ!!お前!許さねぇからなジェル!』

『いった…叩かんといてさっちゃんw』



桃side


「さとみ、はい」


昼休み。教室。

夏が本番化し、飴なんてすぐに溶けてしまいそうな暑さだが、目の前にいるコイツは相変わらず飴を持ってきているみたいだ。

エアコンの冷房により溶けることはないけれど。


桃「ん、さんきゅ」


俺の幼馴染であるジェルは幼稚園の頃から毎日1個俺に飴をくれる。


……酸っぱい…


そして何故かここ最近は酸っぱい飴を渡してくる。

幼稚園の頃は滅茶苦茶甘かったのにな……。


女1「ジェルくん今日もかっこいい〜」

女2「ほんと!!マジイケメン!」


それなー…

教室の端で恋バナをしている女子たちの言葉に心の中で首を思いっきり縦に降る。

ジェルは本当にイケメンだ。頭も俺より良いし、スポーツも得意。

昔はよく笑って可愛げがあったが、今は冷静っていうかクールっていうか塩っぽい?…まぁ兎に角モテる。

俺もジェルに想いを寄せる1人だ。


いつか…ジェルにも彼女が出来るのかな。


そう考えては溜息が出てしまう。

当の本人はスマホを弄っていた。


俺は甘いのが好き。

苦いのなんてもってのほか。

しょっぱいのは苦手。

酸っぱいのも嫌だ。

だからといって


甘酸っぱいのも嫌なんだよな_______。





橙「何しとんの」

桃「見れば分かんだろ…体育祭の用意。てゆーか、お前も体育委員だろ手伝え」

橙「えー…めんど」


この学校は真夏の時期に体育祭を行う。

ガチで熱中症なるっての……。

体育祭に向けて体育委員である俺らは急に活動が忙しくなる。

なのにコイツはのこのことサボりやがって…。


桃「体育委員になるって言ったのジェルじゃん」

橙「他の委員会より楽そうかなーって」

桃「はぁ…お前ってやつは」


そんなところも好き

その感情を抑えるように山積みになっているダンボールを担ぐ。


桃「よいしょっと………」


あ、やばい。前見えない。

手震えてる。プルプルしてる。

倒れる?どうしよ…下ろす?

俺がどうすることも出来ずにいると急に視界が明るくなった。


桃「……ぁ、、」

橙「俺が持つ。さとみが持つと危なっかしい」

桃「……、ありがと…」


口の中が甘酸っぱい…


小さい頃は同じぐらいだったのに、今は俺より背が高くなったジェル。俺は嬉しさを噛み締めて後を追いかけた。





体育祭本番。


俺とジェルは同じ白組。この学校はクラスの中で赤と白に分かれる。

良かったぁ…これで敵だったら休むところだった。

よーし!今日はジェルにかっこいいところ見せてやる!


___次は、徒競走です


桃「あ、俺徒競走だ」

橙「ふぁいとー」

桃「軽いな」


でも、応援してくれた事には変わりない。

頑張ろう…!!!


「Lady……Go!!」


パンッとピストルの音と同時に足を踏み出す。

俺はジェル程では無いが一応スポーツは得意な方。

後ろとも差をつけて1位になれる


筈だった


ドンッ


桃「ッッ、!いった…」


隣のレーンを走っていた奴とぶつかってしまい、体勢を崩してしまった。


男1「おい…今の足捻ったんじゃないか?」

男2「大丈夫かさとみ…」

橙「………」




先生「はぁ………やる気があるのは良いんだけどね……捻ったまま走っちゃ駄目でしょ?!」

桃「あはは…すみません…」

先生「全くもう…悪化しちゃうでしょ〜…」


フレンドリーな養護の先生に怒られる。

結局足を捻ったまま走った俺は4位。最下位は免れたが、とても悔しい。


あぁ…ジェルに格好悪いところ見せちゃったな


男1「先生!!!」

先生「もう〜今度は何〜?」

男2「いいから急いで来て下さい!!」


「「ジェルが男子生徒のこと殴ったって!!」」




桃「……………………ぇ?」




ジェルが人を殴った?なんで?





保健室に近づく足音。

入ってきたのは


橙「……………」

桃「……ジェル…」


ジェルは何も言わずに俺の寝ているベッドに近づいてきた。


桃「………ねぇ、なんで殴ったの」

橙「…別に」

桃「理由無しで殴るなんて、馬鹿じゃないの?」

橙「さとみよりは頭良いと思うけど」

桃「ッ!!!」


なんだよ…それ…


桃「………」

橙「………足は?」

桃「……関係ないだろ」

橙「は…?」

桃「関係ないだろって!!悪かったな馬鹿で!!悪かったな転んで!おかげで赤組と差ついちゃったし……。もう、出てけよ…」


怒鳴って顔を伏せる。

ジェルは踵を返して校庭へ戻って行った。


心配してくれたのに…酷いこと言っちゃった

でもあっちだって俺のこと馬鹿にしてきたし…。

なんで…なんで……俺はジェルを好きになってしまったのだろうか。あんな奴に恋なんてしなければよかった。

涙が頬を伝って口に入る。

しょっぱい…………あ、


桃「今日…飴貰ってない……」





先生「ジェルくん!!」

橙「…なんですか」

先生「男の子たちから聞いたわ…気持ちは分かるけど殴っちゃ駄目だからね」

橙「はい、…すみませんでした」

先生「分かったならよろしい!行って良いぞ!」

橙「はい、それでは」

「どういうことですか?」

先生「うわぁっ!びっくりした…脅かさないで下さいよ校長先生…」

校長「いやぁすまなかったね。で、ジェルくん…だったよね。何故殴ってしまったんだい?」

先生「あぁ…男子生徒たちが、足の速いさとみくんにぶつかってわざと転ばせたらしくて…それを見ていたジェルくんが怒ってしまったという感じです」

校長「なるほど…」

先生「やった事は物騒ですけど、心は王子様なんですよねぇ…不器用なんだろうなぁ」



___最後の競技は借り物競争です。


借り物競争か……確かジェルが出るんだったな…。

どうしよう…お題が【好きな人】で可愛い女の子の所に行ったら。

あーあ……俺、ジェルのことが大好きなんだな。


窓越しに校庭を見る。

第2レーンにジェルの姿が見えた。


桃「…頑張れ」


こんな所で呟いたって聞こえるわけないのに、。


桃「何やってんだろ…俺ッ」


いつの間にかスタートしていたらしく、慌ててジェルの姿を探す。

あれ……、いない?どこ行ったんだろ…。


すると突然大きな音がした。

ドアが開いた音だ。

養護の先生か?それとも…


桃「…ジェル?!」

橙「ハァハァッ…さとみっ…行くで」

桃「え、でも俺足が…」

橙「気にせんでええよ、掴まってくれればいいだけやから」

桃「へ?」



校庭中に歓声が響く。

吃驚するよな。俺も吃驚してるもん。

だって……


『おお〜っと!白組のジェルくん!同じクラスのさとみくんを横抱きして走ってます〜!!』


ジェルにお姫様抱っこされるなんて思わないじゃん!!

なにこれ!超恥ずかしい!!


ジェルは俺を抱きながら加速する。

なぁ…お題は何なんだよ。

友達?親友?幼馴染?

それとも嫌いな人?


まただ…口の中が酸っぱい。


ねぇ…ジェル。ジェルは俺のことどう思っているの?分からないよ。

ジェルは高校生になって急に大人びた。

小さい頃は転んで大泣きしてたくせに。

おやつのケーキを美味しいって満面の笑みで食べてたくせに。

でも…昔のかわいいジェルも、今の素っ気ないジェルも


俺は…大好きだよ


パンッ


『ジェルくんが次々と抜かして1位でゴール!これで白組が逆転勝利です!!』


わぁぁぁっとはたまた歓声が上がる。

ジェルはフッと笑った。

本当にかっこいいよ。


桃「………ジェル?」

橙「なに」

桃「下ろさないの?」

橙「このまま保健室まで運ぶ」

桃「…重くないの?」

橙「ばーか。逆に軽いわ」


また馬鹿って言われた、。でもなんか嬉しいな。


『ジェルくーん!お題は何ですかー?』


あ、そうだ。お題!!!


橙「ん、」


ジェルが放送委員にお題の紙を見せる。


『な、なんと!!!お題は



【好きな人】!!!』





桃「えぇぇ?!?!/////」


会場中が一斉に騒がしくなる。

今日1番の盛り上がりだった。


『ジェルくん!さとみくんはもしかして…』

橙「え、そのままの意味やけど」


そしてまた騒がしくなる会場。


嬉し涙が込み上げてくる。

うわぁ…しょっぱい。

でもどこか……、甘いなぁ。


橙「ていうことで、俺めっちゃさとみのこと好きなんやけど。答えは決まった?……まぁその顔見れば分かるけどw」

桃「…………、俺も好きだよ…ばーか」







先生「歩けるようになって良かったね〜だいぶ治り早いわw」

桃「良かったです…」

先生「しかし…、怪我人抱いて走るなんて無茶な事するねジェルくん。君のことただのイケメンだと思ってたけど危ないイケメンに認識変わったわ」

橙「それでもイケメン抜けないだけマシですね」

桃「ジェルはマジでイケメンだよ〜」

橙「ほんまに?ありがとな」

先生「うっわ、リア充滅びろ」

橙「残念ながら俺らにその未来は来ないっすね」

先生「くっそ!先生も早く彼氏欲しい!!」

桃「頑張ってくださーい」

先生「棒読み半端ないねさとみ青年。てか早く帰ってくれ。戸締まりするから」

「「へーい」」



桃「そういえば…なんでジェルは俺に飴をくれるの?」

橙「んー幼稚園の頃のアピールが飴やったからなぁ…さとみが飴好きって聞いてからずっとあげてたから習慣になってしもうた」

桃「でも最近酸っぱいのしかくれないじゃん」

橙「……これは俺らの恋の味って思っててな。最初は幼稚園の頃だったから純粋に甘いやつにしてたけど…。小学生の頃から意識しちゃって…高校生なんて恥ずかしくて目も合わせられなくなってもうたし…みたいな。ほら、俺らの恋って甘酸っぱくなかった?w」

桃「甘酸っぱいどころか酸っぱかったけどなwてか、そんなに思ってくれてたんだ。嬉しい!」

橙「俺、さとみが思ってるよりもさとみのこと愛してるからな?マジで一生離さへん」

桃「////あっそ…、……あ!!」

橙「?どしたん?」

桃「飴!!今日まだ貰ってない!!」

橙「あー…今日は頑張ったから特別に好きな味選んでええよ」

桃「ほんとに?!じゃあ……」


苦いのは嫌いだ。

しょっぱいのは苦手。

酸っぱいのも、もう懲り懲り。

甘酸っぱいのは……あとちょっとぐらいあってもいいけれど。

でも、俺はやっぱり好きな味がある。


それはもう、とびっきりに


桃「甘いやつ!」

この作品はいかがでしたか?

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コメント

22

ユーザー

てんさんの短編集を小説にして売り出しませんか( ˙-˙ )? もう、にやにやしたり、ハラハラしたり、キュンキュンしたり、情緒が不安定でした…飴のくだりから始まるのも最高すぎます… 不器用な王子様と、素直で可愛い王子様の恋愛が初々しくて少女マンガよりもドキドキしました…朝から癒しを見れて学校頑張れます(*´﹃`*)💕

ユーザー

にやにやが耐えません

ユーザー

:(;゙゚'ω゚'):… はっ、…凄すぎて軽く放心状態でした…(( いやッ、もう…ほんと、 大好きです❀(*´▽`*)♡❀

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