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「どうして……」画面越しに呆然と呟く。
「悪い、だがあのままにはしたくはなかったんだ」
拒むようなことはできずに、部屋のドアを開けると、チーフは大きな包みを抱えて立っていた。
「えっ、だって急に……。それに、その包みは……」
告白を受けた時に住所とかのやり取りはしたけれど、私の部屋にまで矢代チーフが来てくれるだなんて……。そんなにも、私のことを気にかけてくれていて? それから、さっきはそんなに大きなものだって持っていなかったはずなのに、一体どうしたんだろう? と、軽いパニック状態で頭には疑問符がいくつも浮かんだ。
「急で驚かせたよな……すまない。……それとこれは、君へのお詫びだ。いくら仕事が忙しいからと言って、連絡もなしに放っておいて、不安にさせたのには変わりないからな」
矢代チーフはそう言って、その場で包みを開くと、中からこぐまのミコの大きなぬいぐるみが現れた。
「こんな、だって……」
お詫びにって花束とかじゃなくて、こんなに大きなぬいぐるみを抱えて来るだなんて……。チーフだって、さすがに照れくさかったかんじゃないのかな……。なのに、わざわざ私のために……。
そう思ったら、それまで堪えていた涙腺が一気に崩壊した。
「これで許してもらえるだろうか? 君への気持ちに嘘はないから」
「……嬉しい。ありがとうございます……」
一度溢れ出すと止まらなくなる涙に、もらったばかりの大きなぬいぐるみに顔を押し当てた。
「ぬいぐるみを喜んでくれるのは嬉しいが、泣くなら僕の胸にしてほしいかな」
その言葉に、ぬいぐるみを置くと、迷わず彼のスーツの胸に飛び込んだ。
「ごめんなさい、私……」
「いいよ、こっちも悪かったからな……」
ぽんぽんと叩かれる背中が心地いい。
「……好きなのは、君だけだから。もう不安にさせたりはしないから」
込み上げる嬉し涙に「はい……」とだけ、抱かれた腕の中で頷いた……。