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ライラ からぴち・シクフォニ♡
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「で、やっぱ言葉だけじゃわかんなくて。こう、仕草だったり……いつき君に、図解してもらったりして」「は!? 絵に描いてもらったのかよ!?」
「真面目すぎだろ、お前ら……」
「だって、下手だと思われたくなかったんだよ。しゅうとに対しては、もう失敗したくなかったから」
その言葉に、いつきくんが「……ゆうたは、ずっとしゅうとの事大好きだったからね」と静かに添える。
俺の知らないところで育まれていた、彼ら三人の奇妙で、けれど切実な信頼関係。正直、その密度の濃さに少しだけ嫉妬してしまう。
「あ! いつき君、バイト!」
「あ……ごめん、いっちゃん! 先行くね!」
時計を見て慌てて駆け出す恋人の背中を見送る。さて、残された俺はどう振る舞うべきか。
「ゆうた。いっちゃんに謝り? あの件で一番しんどかったんはいっちゃんなんやから」
……え、待って。何このチワワ。健気すぎて反則だろ。
「……色々心配させてごめんなさい。これからは、いつき君に頼りすぎないようにします」
「……まぁ、俺はいいよ。いつき君の性格はなんとなくわかってるし、お前らにとって簡単に口に出せない大事なことだったんだろ。それより……お前ら、可愛くて本当にお似合いだな」
二人の頭をポンポンと無造作に撫でて、「じゃあな」と手を振って歩き出す。
背後から「……いっちゃん、めっちゃかっこいい」と、小さな呟きが聞こえた気がしたが、それはきっと俺の都合のいい幻聴だろう。
♢♢♢
翌朝。
「いっちゃん! おはようございます! 良かったら今度、たこ焼き食べに行きませんか? 僕、美味しい店知ってるんですぅ!」
登校早々、教室に響き渡ったしゅうとの声。
は? たこ焼き? しかも「僕」って……キャラ変の癖が強すぎだろ。
戸惑ってゆうたの方を見ると、案の定、般若のような顔でこっちを睨みつけている。一体、一晩でどんな天変地異が起きたんだ。
「いつき君の次は、いっちゃん? しゅうちゃん、ほんと男の趣味いいよね」
横からりゅうせいが楽しげに茶化してくる。笑い事じゃねーからな、これ。
「いいね、みんなで行こうよ。絶対楽しいよね?」
俺としゅうとの間に、いつき君がするりと割り込んできた。
一瞬見えたその横顔。微笑んではいるが、口元が微かに引き攣っているのを俺は見逃さなかった。
「あ! やっぱり、僕の家でどうですかぁ?たこ焼き器もあるし、僕、くるってひっくり返すのめっちゃ上手いんですぅ」
いつきくんを押し除けて、上目遣いで俺の袖を引いてくるしゅうと。……これは、可愛いな。男も女も全員もってかれるわ。
「……いいよ、今度遊びに行くわ」
「いっちゃん!? 二人きり!? 二人きりなの!? ねえっ!」
いつき君が半狂乱で詰め寄ってくる横で、ゆうたがドスの利いた声で毒を吐いた。
「……最悪だ。本当に、『いつき』って名前の奴、全員滅びろ」
「……出た、ブラックゆうた。俺っち、薄々勘付いてたけどねー」
りゅうせいの言葉に首を傾げると、彼は「なんでもなーい」と意味深に笑った。