テラーノベル
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芙蓉との戦いが終わって、でもまだ別荘でゆっくりしたいということで、今日の夕方に出発することになった。
朝食を食べ終えてから、みんなでリビングルームのソファでテーブルを囲む。
💜「先ず、みんな、改めてお疲れ様!」
テーブルに置かれたグラスを手に持って、乾杯をする。
いつでも楽しい雰囲気なのが、SnowManのいいところ。
一口、それぞれが選んだ飲み物を飲んでから、本題に入る事にする。
💜「で、結局どうなったのか俺も照もわかってないんだけど、最後ってどうして芙蓉がいなくなったのか説明できる?」
🤍「僕らもよくわかってないよ?」
🖤「えっと、急に阿部ちゃんの胸の花が光ったら、阿部ちゃんの体が浮いてって」
💚「えっ?」
🖤「阿部ちゃんの願いを芙蓉が叶えようとしてたんだけど、なんかできないって言ってた。全部が囮とかなんとか」
💜「全部が囮?」
💚「……」
❤️「あと、もうおまじないが使えないからって、阿部の胸の花を消して、芙蓉も消えたって感じ」
🧡「そのすぐ後にふっかさんと照兄が来たんよ」
💛「なるほどね」
💙「ってか、佐久間のあれなに? いや、そもそも阿部ちゃんと佐久間、ふーちゃんから落ちんのとかマジで心臓に悪いからやめてくんない?」
💜「落ちた?! ふーちゃんから? どの高さで?!」
💙「めっちゃ上空。死ぬレベル」
💛「……何してんの」
🩷「いやまあ、これは、ね。みんなから阿部ちゃんに追及してくださいっ」
💚「佐久間ぁ」
🩷「状況的に受け入れたけど、俺だって納得はしきってないから」
💚「ええー。いやまあ、説明はちゃんとするよ? えっと……最初に謝っとくね。ごめんなさい」
💙「うわっ、謝ることしたんだ」
💚「どっから説明したらいい?」
🤍「全部。阿部ちゃんが考えてたぜーんぶ。多分、僕らは言ってもらった事しか理解できてないよ?」
🧡「ラウがそんなんやったら、俺らもっと理解できてへんよ?」
💚「えっと、そうだな……佐久間にしたのは、俺の精神を佐久間の中に移動させて、佐久間の能力を最大限に引き出すことと、俺の能力の一部を佐久間に貸与したって感じ」
💙「ん? ごめん、どういうこと?」
💚「芙蓉と戦うってわかってから、俺なりにできることを模索してて。俺の電気の異能で、佐久間の体の電気信号を向上させて伝達率を上げた感じ。あと、電子の異能が持つ情報収集能力も使えるようにしたから、佐久間にはいろんな情報が視えてたと思うよ」
🩷「うん、凄かった。見ただけで木の種類とか特徴とかが出てくんの。SF映画みたいな。でも多分、俺が普通に見てたら何の役にも立たないんだけど、阿部ちゃんがそん中から必要なものだけを教えてくれる感じがしてて使えたんだけどね」
💚「で、ふーちゃんから落ちたのは、その力、俺はBOOSTって名付けたんだけど、それを使ってるのを芙蓉に悟られたくなかったから。あと、俺の精神が佐久間に移動したのも気付かれたくなくて」
🤍「気絶して落ちたように見せたかったってこと?」
💚「そ。肉体と精神が離れた状態だと、願いを叶えられないんじゃないかって思ったの。中身が空っぽなら意味ないでしょ?」
💜「確かに」
💛「つまり、阿部の願いが叶えられないって芙蓉に思わせる為に全部やってたってことか」
💚「そういうこと」
🖤「だから、全部が囮……阿部ちゃんは凄いなぁ」
💚「たまたま上手くいってくれたっていうだけだから。俺が落ちてもケガしなかったのはめめのおかげだし、俺でも予測できない事はいっぱいあったよ? 芙蓉のもう一つの異能とか、洞窟の蕾とか、ね」
🤍「今回は、とか、また会おう、とかも言ってたから、芙蓉は全然、諦めてなさそうだったね」
💜「ま、でもずっと気を張っててもしょうがない。一先ず、脅威は去ったと思っていいんじゃない?」
💛「阿部の痣もなくなったし、あの蕾もなくなったしな。すぐに何かしてくるって事もないだろ」
話が一段落して、あまり話についていけていなかった目黒、渡辺、向井、佐久間の四人が疲れたように息をついた。
考察などが得意ではないメンバーたちは、少々息苦しかったようだ。
🩷「じゃあ、もう大丈夫ってこと?」
💜「一応、そうなるね」
🩷「っしゃー!! 別荘、満喫するぞー!」
🤍「おー!」
🧡「どこ行くん?」
🩷「やっぱ、お屋敷内の探検だろ!」
🧡「ええね!」
💛「お前ら、舘さんの許可はちゃんと取れよ!」
❤️「大丈夫だよ。大したものは置いてないし。何か壊したら、ちゃんと払ってもらうから」
ふふっと笑う宮舘に、佐久間も向井も、絶対に不用意に触るのはやめようと心に誓うのだった。
結局、向井と佐久間は屋敷内の探検に行き、岩本は山でトレーニング、渡辺と宮舘は中庭の日陰でのんびりと過ごしていて、深澤とラウールは中庭のプールにボート型の浮き輪で浮いており、阿部と目黒は森の中をどこへともなくゆっくりと歩いている。
💚「んー。気持ちいいね」
🖤「だねー。木の緑がキレイ」
💚「わかる。昨日はさ、ちゃんと見れなかったから、なんか嬉しい」
ニコニコとしながら辺りを見回している阿部に、目黒は阿部を見つめる。
🖤「……阿部ちゃん……」
💚「ん?」
🖤「……」
呼んだはいいけれど話し始めないからか、阿部が立ち止まって振り返り、目黒をじっと見上げてくる。
💚「めめ?」
🖤「……あー……」
キュルキュルした目で見上げる阿部を見ると言葉が詰まり、目黒は阿部の頭に手を置くと、優しく撫でる。
💚「ええー、なにー?」
🖤「んー」
そのまま、ぐわんぐわんと回すように撫でる。
💚「もー、めめぇ?」
どうして撫でられているのか分かっていない阿部は目黒を見つめてくるけれど、斜め上を見ながら考え込んでいる表情をし、何も喋らない。阿部も嫌ではないからか、抗議はしてもされるがまま。
💚「ねーえー。めめ、どうしたの?」
🖤「……なんか、撫でたくなった」
💚「そんなことある?」
🖤「あるある。阿部ちゃん見てたらそうなった」
💚「えぇー?」
散々撫でまわして、そろそろいいかなと思って目黒は手を離す。
未だ不思議そうな表情の阿部を見て、もう一回、頭を撫でたくなるのを我慢して、阿部の肩にもたれかかるように頭を乗せる。
💚「めめぇ?」
🖤「……阿部ちゃん……なんか、いい匂いする」
💚「え、そう?」
🖤「うん。アイスっぽいっていうか、バニラっぽいっていうか」
💚「あー……月下美人の香り、残ってるかも」
🖤「えっ?」
慌てて阿部から離れる。
💚「あ、大丈夫、香りだけ残ってるっていうこと。痣も傷も綺麗に消えてたよ」
🖤「ホントに?」
💚「もー。みんな俺の事、なんだと思ってるわけ?」
🖤「隠し事するからですぅ」
💚「いやでも、それは……」
🖤「今回の事じゃなくて、体調不良とか、疲れてるとかも隠すでしょ? そういうのは、言ってくれないと分からないんだよ。無理もしてほしくないし」
💚「うっ……ごめん。気を付けます……」
🖤「ほら。動物たちも阿部ちゃんが心配で寄ってきてるよ?」
周りを見てみると、ノウサギやリス、テンなどが集まって来ている。
💚「あれ? いつの間に……」
🖤「昨日は怖かったけど、こうして見るとやっぱり可愛いね」
💚「ああ、動物たちに追いかけ回されたんだっけ?」
🖤「めっちゃ突進して来られてビックリしたよ。クマとかもいたし」
💚「うわ、それ怖いね。でも今は、みんな大人しそう」
威圧しないようにする為か、その場にしゃがみ込む阿部。
木々の間からちょうど木漏れ日が差し込む場所で、後ろの木に寄り掛かって座る阿部に、目黒も片膝を立てて隣に座る。
💚「なんか、歌いたくなってきた」
🖤「え、ここで?」
💚「ここで。めめも歌おうよ」
🖤「……なに歌う?」
💚「やっぱさ、あれじゃない? 360m」
🖤「いいね。しょっぴーのパートどうする?」
💚「めめいける? 俺、下ハモするよ」
🖤「おっけ。じゃあ、歌い出しは阿部ちゃんからか」
💚「じゃあ、いきまーす」
もちろん曲は流れないけれど、二人の頭の中ではイントロが思い浮かべられるので、阿部が横に揺れてリズムを取りながら、ハミングでイントロを紡ぎ出す。
そして、阿部の低音ながらも優しい歌声が風と共に流れる。
続くように目黒の、優しくも芯のある歌声が響き渡っていく。
サビに入り、二人のハーモニーが森に木霊するように広がっていく。
その歌声は静かな森の中ではよく通り、風に運ばれていく。木々がその歌を森中に届けるかのように葉がざわめき、それは他のメンバーに届けられる。
崖の中腹で足を止め、振り返る岩本。
💛「この歌……阿部とめめ?」
バルコニーの手すりに腕を置いて、体を左右に揺らしている向井と佐久間。
🧡「キレーにハモってんなぁ」
🩷「気持ちよさそー」
ボートからひょこっと顔を出して森の方を見ている深澤とラウール。
💜「めっちゃいい感じで歌ってんじゃん」
🤍「あの二人の声って、心地いいよねー」
背もたれの倒れるベンチに座っている宮舘と渡辺も森の方を見つめている。
💙「うわ、一緒に歌いてー!」
❤️「行ってみる?」
あんまり離れてはいなさそうだから、と宮舘が提案すると、同じ中庭にいたラウールと深澤も「行く!」と手を挙げていて、二本足に戻ったふーちゃんに近くまで送ってもらう事になった。
気持ちよく歌う阿部と目黒。
時間がゆったりと流れていく。
不意に、もう一つの声が混ざる。歌いながらゆっくりと歩いて近づいてくる渡辺の姿に、阿部も目黒も微笑を浮かべる。
その奥に、宮舘、深澤、ラウールの姿があることで更に嬉しくなる。
💙🖤💚―――永遠の誓いを語らおう……―――
声が風に消えていき、皆が目を開ける。歌っていた三人も、聞き惚れていた他の者達も。いつの間にか、周囲の動物たちはもっと増えていて、気持ちよさそうに眠っている。
なんとなく起こすのが可哀想で、そーっとその場から離れて口を開く。
🤍「阿部ちゃん達、歌ってるなんて思わなかったから、ビックリしたよー」
💜「何で歌?」
💚「なんとなく、かな。急に歌いたくなったんだよ。ね?」
🖤「阿部ちゃんが歌おうって言うから、いいよって」
💙「マジで最初から歌いたかったわー」
💚「でも途中から入ってきてくれて嬉しかったよ。近くにいたの?」
💙「いや、別荘の中庭にいたんだよ。そしたら、阿部ちゃん達の歌が聞こえてきたから」
💚「えっ? だってそんな距離、届くわけなくない?」
そんなに離れてはいなかったけれど、それでも数百メートルはあったと思う。
マイクをつけているわけでも、スピーカーがあるわけでもない。それなのに、そんな遠くまで聞こえるものだろうか。
すると、木々の葉っぱがざわめいた。
🖤「んー……なんか、いい歌だったから森中に木がみんな届けてくれた、っぽい?」
🤍「えっ、そんなことできるの? 凄いね」
💚「確かに、葉っぱがちょっとざわざわしてたけど……」
🤍「にしてもさ、さっきの光景も凄かったねー。あの動物たち、どうしたの?」
💚「わかんない、けど。多分、俺の匂いにつられて来たんじゃないかな」
❤️「匂い?」
💚「そ。月下美人の残り香があって、それでかなって」
💜「ええっ!? 阿部ちゃん、まだあいつの!」
💚「違う違う。香りだけ。昨日、感じなかった? 俺めっちゃバニラの香りしてたよ」
🤍「え、気付かなかったー」
そう言いながら、ラウールが阿部に近づいて肩辺りの匂いを嗅いでいる。
🤍「あ、ホントだ。甘い匂い」
💜「舘さんのお菓子食べたくなるね」
🤍「わかる!」
💙「……なんかやだな、あの女と同じ匂いとか」
💚「いや、バニラの香りだからね? 本物とは違うけど、似た匂いなら舘様のお菓子の時にもしてるよ?」
💙「そういうんじゃねえんだよ。わっかんねーかなー」
💚「それに。芙蓉さん、悪い人じゃないと思うよ?」
何気なく呟いた言葉に、全員が一斉に阿部を見る。
その目は、お前何言ってんのという言葉が聞こえてきそうなもので、阿部はまあまあ落ち着いてと手で制する。
💙「おま、あんなことされてよく言えるな」
💚「でも結局、誰もケガしてなくない?」
🖤「……言われてみれば、確かに」
💚「拘束はされたけど、攻撃らしい攻撃ってなかったよね。誰か、俺の知らないところで攻撃された?」
🤍「ううん。動物に追いかけられたり、枝に追いかけられたりっていうのはあったけど、攻撃らしい攻撃は、確かになかったかも」
❤️「佐久間が芙蓉を蹴ったくらいか」
💜「うわ、そうやって聞くとなんか佐久間ひどいな」
💚「攻撃手段がないのかとも思ったけど、枝が使えるんなら刺す事もぶつける事もできたよね。でも、そうはしてない。それに、さっきの動物たちの反応。多分、俺のバニラの香りに寄って来たと思うんだ。あの中に昨日、芙蓉さんに味方した子もいただろうし。無理やり従わされてたなら、あんな友好的に近づいて来ないよ」
最初に阿部と目黒のところにやって来た動物たちは、威嚇など何もしておらず、まるで飼っている犬か猫のように近づいて来ていた。それは、心を許しているのと同じこと。操られた動物の反応ではない。
🤍「じゃあ、あの動物たちは自分から手伝ってたってこと?」
💚「……芙蓉の異能について考えてたんだ。めめの蔓が芙蓉さんじゃなくてめめを攻撃したのとか、浮いたこととか、いろんなものが芙蓉さんに味方してるよね。だから思ったんだ。芙蓉さんの異能は、魅了に近いものなんじゃないかって」
🤍「自分の虜にして、従わせた?」
💚「魅了って言っちゃうと多分違うから、それ系ってことになるんだけど。訴求力とか、情愛の方が近いかな」
🤍「訴求力って、訴えかける力ってことだよね。共感してもらったり、応援したくなったり、その人たちの気持ちを動かすみたいな」
💚「そう。風も木も動物も味方したっていう感じ、かな」
そこまで話して、渡辺と目黒がとても複雑な顔をしていることに気が付いた。
💚「翔太もめめもどうしたの?」
💙「いや……わかるよな、めめは」
🖤「わかるよ、しょっぴー」
肩を組んでバンバンと叩き合っている渡辺と目黒。
深澤、ラウール、宮舘も頷いているところを見ると、わかっていないのは阿部だけのようだ。
💜「まあでも、阿部ちゃんの言ってる事もわかる感じはするよ? ただ、俺らは阿部ちゃんにした事が許せてないから、阿部ちゃんと同じ気持ちにはならないってだけ」
🖤「そういうことです」
💚「んー、そういうもんかぁ」
首を傾げている阿部。
この話も、絶対に理解してくれないんだろうなと思うとなんとも言えない気持ちになったみんなだった。
こうして、芙蓉との決戦は一先ず幕を下ろした。
芙蓉編 終
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#ご本人様とは一切関係ありません
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