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「ずっと一緒やろ?」
💜💚
⚠️過激な表現あり⚠️
(自衛お願いします)
佐野side
俺と小島くんの楽屋には、空調の音だけが響いていた。
撮影終わり。
机の上にはさっきまで使っていた小道具が散らかっている。
その中には、おもちゃの銃もあった。
俺は、息を殺していた。
目の前には、いつも通りニヤニヤしている小島くんが当たり前にいる。
今はその笑顔が、死ぬほど怖かった。
ここ数ヶ月。
小島くんはおかしかった。
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最初は些細なことだった。
俺の単独仕事が増え始めた頃からだったと思う。
小島「…晶哉最近忙しいなぁ。」
小島「もう一人でやっていけるやん。」
小島「…俺ら置いてかんといてな?」
そう言って冗談っぽく笑っていた。
でも次第に、そんな発言の回数が増えていった。
おかしい時間帯に連絡が沢山入るようになる。
俺からの返信がないと電話がかかってくる。
現場で誰かと話しているだけで妙に視線を感じる。
距離が近い。
近すぎる。
それでも俺はいつも、「寂しいんかな。」ぐらいに思っていた。
だって相手は小島くん。
気まぐれで、自由で、やっぱり何考えているか分からない人だったから。
勝手にずっとそう思っていた。
あの日、帰り道で腕を掴まれるまでは。
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小島「……なあ。」
小島くんは酔っていた。
でもいつも通り、目だけは冴えていた。
暗く、危険な道を照らす街灯の下。
掴まれた腕に爪が食い込む。
小島「どこも行かへんよな?」
佐野「…は?」
佐野「俺家帰るけど。」
小島「いなくならへんよな。」
小島「……俺の前からおらんくなったり、せえへんよな?」
俺は何故か言葉に詰まった。
“離れたい”
そう思ったからじゃない。
ただ、言葉に詰まっただけだった。
きっと。
そんな沈黙が続く中で、いつの間にか笑顔が消えていた小島くんが、口を開く。
小島「……今考えたやろ?」
佐野「…ちゃう、」
小島「考えたやろ?」
怒っても、泣いてもいない。
ただ、捨てられることだけを異常に恐れている目だった。
でも小島くんはまだ俺の腕を離さず、呟いた。
小島「俺無理やで。」
小島「晶哉いなくなったら。」
嬉しい気持ちもあったかもしれないけど、
あまりに重すぎて、俺は思わず腕を振り払った。
佐野「………っ、知らんわ!!」
130
Mari
こんな風に拒絶したのは、
正直初めてだった。
佐野「……そうやって、」
佐野「全部俺に、背負わせんなやっ…!!」
言い過ぎたと思った頃にはもう遅くて、俺が顔を上げた時さえも小島くんは笑っていた。
小島「へえ。」
小島「……じゃあ壊れてもええんや。」
その日から。
小島くんは少し変わった。
前より優しく笑うようになったが、全て諦めたような目をするようになった。
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楽屋で、急に小島くんが自ら、おもちゃの銃を自分のこめかみに当てた。
ふざけているようには思えなかった。
小島「バンッ。」
軽い声で、笑いながらそう言った。
小島「俺消えたら、晶哉困る?」
俺の中で何かが切れた。
気づいたら俺は銃を奪って、小島くんの口の中にその口を向けていた。
佐野「……そういうの、やめろや。」
怖かった。
腹が立った。
いや、違う。
“消える”という言葉を、小島くんの口から聞きたくなかった。
でも小島くんはそんなこと知らずに、嬉しそうに笑った。
小島「……あ、やっぱ撃てへんのか。」
小島「晶哉、優しいもんなぁ。」
一歩。また一歩と、こちら側へ歩いてくる。
怖さなんて、全く無い様子で。
佐野「…来んなや。」
小島「…なんで?」
佐野「………………」
小島「撃つ?」
ニヤッと笑って、小島くんはそのままその銃口を口で軽く咥えた。
佐野「…お前、」
小島「…晶哉になら撃たれてもええかなぁ。」
気持ち悪いくらい、幸せそうに笑った。
その顔を見ていると、頭がおかしくなりそうだった。
(…なんでそんな顔出来んねん。)
……なんでそんな風に、自分が壊れる未来を嬉しそうに見れんねん。
佐野「………なんでそうなんの。」
小島「ん?」
佐野「…なんでそんな、俺がおらなあかん前提なん。」
小島「……だっておるやん。」
即答された。
小島「ずっと。」
当然みたいに。
空気みたいに。
小島「…晶哉、結局俺のこと放っとかへんもん。」
図星だった。
俺の指先が無意識に震える。
否定したかったけど、出来なかった。
深夜の電話も、意味の無い連絡も。
不機嫌そうな顔も。
全部。
放っておけなかった。
離れたい。と思ったことはある。
重いと思ったことも。
怖いと思ったことも。
なのに、
もし本当に、小島くんが俺の前から消えたら。
そう考えた瞬間、
酷く喉が詰まる。
その沈黙を良く捉えた小島くんは、また笑った。
小島「ほらな。」
小島「お前もやん。」
小島「…お互い依存してるんちゃうん?」
銃を持つ手から、力が抜ける。
カタン。と床に落ちる軽い音が聞こえる。
この銃も、所詮プラスチックで出来たただのおもちゃだった。
小島「晶哉。」
俺の唇に、小島くんの指が触れる。
小島「ずっと一緒やろ?」
いつもなら「重い。」と思えたはずなのに。
今日は、喉まで出かかった否定がどうしても出てこなかった。
俺はおかしくなった。
佐野「…………小島くんがおらんくなったら、」
こんな風に言葉にしたら、
もう戻れないはずなのに。
佐野「…俺もほんま無理かも。」
唇に、柔らかいものが触れる感触だけが残った。
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是非、頭の中で純パス流しながら読んでください🥰️🥰️