「刑事さんは」
「殺人を悪い事だと思いますか?」
そう彼に聞かれた瞬間から
いや、彼に出会った瞬間から
俺の人生は全ては滅茶苦茶になった
太陽が肌を焼くように輝く、真夏
上着を脱ぎ、首元を緩めながら体を冷やそうと
手を団扇のように動かしながら歩く、刑事一人
ミンミンとまるで耳元で鳴いてるんじゃないかと思うくらい、セミ達の声が鳴り響く中
男は事件が発生した、と報告があった場所へと歩いていた
数十分後
辺りを見渡し、誰か居ないかと模索する
すると畑仕事をしている老人を見つけた
声をかけようと、老人に近付こうとした瞬間
「こんにちわ」
心臓が止まるかと思った
何の気配も感じなかった
息も足音も何もかも聞こえなかった
驚きの声を必死に押えながら刑事は
恐る恐る後ろを振り向いた
「……ぁ、どう、、も……」
顔が引き攣って、動揺を上手く隠せない
ドクドクと体の中で心臓の音が鳴り響いている
恐怖?不安?何故こんなにも自分は動揺しているのだろうか
全くもって不思議である
深呼吸をし、落ち着いてから相手の顔を見よう
そう決めた彼は、すぅ……っと息を吸おうとした
だが、深呼吸をする前に声を
かけてきた人物が再び声をかけてきた
「……刑事、さんですか…?」
刑事ですか、その質問に恐怖を覚えた
男の服装は警察官と比べ、刑事だと直ぐに分かるような服では無い
それなのに、何故、彼は_____
「ぁ、……はぃ、そうです、ね…」
「……へぇ、今回はどうして此方に?」
「し、仕事の、一環と、して……」
「仕事、……なるほど…」
ジトリと、光の無い目で見つめられる
何を考えているのか、何を思っているのか分からない目で、此方を観察してくる
怖い、怖い、その顔が目が
それに何なんだ、こんな暑い中
長袖長ズボンで、しかもコートも来て
ニットで、黒色……で…
なんで、そんな、厚着なんか……
いや、そんな事を考える場合じゃない
そう自身に言い聞かせながら、男は意識を取り戻した
「……ぁ、貴方はどうして此処に…?」
「ぇと、住民の方…とかでは無いですよね?」
震えた声で、不気味な男に質問をする
すると彼は不敵な笑みを浮かべながら、こう言った
「……そうですね」
「ふふ…、住民…ではないですね」
ただ質問を返してくれただけなのに
何故こうも不気味なのだろうか
「 あ、僕も少し質問してもよろしいですか?」
「ぇ゛、し、質問、、ですか……?」
考えなくてもわかる
この男の質問は異質なもので間違いないと
そう脳が本能が叫んでいる
ギュッ、と服を掴みながら男からの質問を待つ
そしてゆっくりと男が口を開く
「刑事さんは」
「殺人を悪い事だと思いますか?」
コメント
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きゃ〜〜〜〜〜!!!! ノベルだわ〜〜〜!!!!臨場感パネェーーー!!! 表現力もパネェーーーーー!!!