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たけみっち。そう名付けたのは俺で、
何度未来が変わろうと俺の上で輝いているヒーロー。
ヒナちゃんの横で笑う君が堪らなく好きなんだ。
俺のヒーロー。ずっと愛してる。
君と出会って何度目の春が訪れたのだろう。
季節は春。今日は君が結婚する日だ。
俺はと言うものレース序盤、たけみっちの事で頭がいっぱいになって出だしをとちってしまった。披露宴は昼過ぎから。第1レースにしか今日は出場しないので余裕で間に合う。レースが終わり用意されたスーツに袖を通して向かう支度をする。
バブで式場まで向かうとたけみっちには伝えてある。駐車場にわかりやすく目印を付けておく、と言われたがなんだろう。
それに少しワクワクしながら、エンジンを掛けた。
何回かメーターを回したが調子が悪いのかエンジンがかかりにくい。こんな時に限って厄介だ。俺はもう一度メーターを回してバイクに跨った。
すると突然当たりが真っ白になって俺は意識を飛ばした。
???「 マイキー!!!!朝だぞ!!お前今日から高校じゃねぇのか??? 」
マイキー「 ……???(何を言ってるんだ今日はたけみっちの…、)」
マイキー「 たけみっち!!!!! 」
真一郎「 はあ?たけみっち???今日は来てねぇぞ? 」
マイキー「 は?なんで真一郎がいんの? 」
真一郎「 はい???ここが家だもん。何寝ぼけてんの? 」
とりあえずムカついたから一発蹴った。
なーんか身体が軽くなった。つかこんな事をしている場合じゃない。結婚式!!!
俺は自分の髪の毛を触った。長い。俺今マッシュのはずだよな。おかしい。
…………まさか、
俺は飛び起きて洗面台へ走った。
マイキー「 は??????? 」
鏡を見れば15歳の頃の俺がそこにいた。
どうやら俺はタイムリープしてしまったらしい。
エマ「 マイキー?ケンちゃん来たよー。 」
今日は何日だ…?確か真一郎が今日から高校とかって言ってた気が…。とりあえずけんちんに言ってみるか。
俺はエマに声を掛けられれば、歯磨きを終えてもさもさの髪を自分で整えて外へ出た。
ドラケン「 おはよ。ってお前自分で髪やったのか??どうした?熱でもあんのか??? 」
マイキー「 ねぇよ。 」
そう言えば俺、こんときもずっとけんちんが髪とかやってくれてたなあ…。いつから自分で出来るようになったんだっけか…。しみじみしてる場合じゃない。相談相談。軸からすると多分みんなが生きてる軸。けんちんもタイムリープを知らないはず。
マイキー「 なーー、けんちん。もしさ、もしなんだけど過去に戻れたとしたらどうする? 」
ドラケン「 は?急にどうした。……んー、、別に俺はどうもしないけど。懐かしんだり居なくなった人とかに会って話したりはしてみたい。 」
マイキー「 なるほど…。 」
タイムリープは、何か戻らなければいけない理由がある時だ。俺自身に何か戻らなければいけない理由など、きっとないはずなのに。
ドラケン「 つか今日2時間だけだろ?帰りにたけみっち達んところへ顔出しに行こうぜ。 」
マイキー「 お〜〜良いね。終わったら教室まで迎えに来てけんちん。 」
ドラケン「 おう。分かったまた後で。 」
なんて話しているとあっという間に高校へ着く。高校はドラケン、パーペー、三ツ矢、場地、一虎。全員同じだ。俺らはめちゃくちゃ目立っていた。元東卍と言うだけで一目置かれていたし上からも目はつけられるしで。高校へ上がっても喧嘩と友達とバイクばかりであまり変わりはなかったがそれぞれ大人になっていったんだよなあ…。
教師「 佐野くん。あのぅ…。 」
マイキー「 うう”ん…。 」
後ろの扉から誰かが入ってくる。俺寝ていたのか。
ドラケン「 おいマイキー、今日たけみっちのとこいくんじゃねぇーの。 」
教師「 りゅ、龍宮寺くん。 」
ドラケン「 あーすまねぇせんせー。起こして帰っから。 」
教師「 はッ…はい…。 」
マイキー「 んぁあ、そーだった。たけみっちには今すぐ会いたい。 」
ドラケン「 んな大袈裟な。 」
けんちんにすら自分の気持ちを言っていなかった。
この当時、好きだと言う気持ちを隠すことに精一杯で少しだけたけみっちを遠ざけていた。ただ、今は違う。結婚すると聞いて正直最悪な気分だった。祝ってやらねぇといけないのに素直に祝ってやれなかった。
いつかくるはずのものだと知っていたのに、事実だけが受け止められなくて。そもそもたけみっちがタイムリープした理由はヒナちゃんだったし。ヒナちゃんの為に闘っていたのに次第に俺まで助けてしまって。
もっと俺が早く出会っていれば君を俺のものにできたかもしれない。もっと早く君を好きになっていれば。そう思った日は数えきれない。今会ってヒナちゃんとの関係を終わらせてしまえたら、
ドラケン「 マイキー、聴いてる? 」
マイキー「 あ?え? 」
ドラケン「 なんか今日お前変だな。たけみっちみてぇ。 」
マイキー「 はは、そーかな。 」
なんてしている間に中学校に到着した。
懐かしい。校舎とか風景とか全部。忙しくて5年くらい来てなかった。
武道「 マイキーくん!!ドラケンくん!!! 」
グラウンドから此方へ走ってくる可愛らしいシルエット。隣について来ているのは千冬だ。あいつらは今中学3年。放課後に何してたんだろうか。
ドラケン「 おー、お前ら元気してたかー。 」
千冬「 お陰様で、たけみっちは元気すぎるくらい元気っすよ。 」
ドラケン「 んははは、たけみっちらしいわ。 」
武道「 俺ら今特訓してたんすよ!! 」
ドラケン「 特訓? 」
千冬「 新入生に好かれる為の特訓らしいっす。 」
ドラケン「 お前らしいわ。 」
武道「 どう言う事っすか!!!!! 」
この頃のたけみっち。本当に好きだった。
いつからだろう。俺がコイツへの感情を抑えるようになったのは。いつからだろう。俺がコイツを突き離したのは。笑った顔が好きだった。怒った顔が好きだった。何より太陽みたいにみんなを照らしてくれる直向きさが好きだった。
なあたけみっち、今の俺なら素直に言えるかな。
武道「 マイキーくん? 」
マイキー「 ……。 」
俺はたけみっちに近付けば腰に手を回して、担いで走った。
ドラケン・千冬「 !?!?!? 」
驚く2人と担がれてジタバタするたけみっちを他所に俺は正門まで走った。
正門に着くと、たけみっちを降ろして俺は何十年分も積み重ねてきた気持ちをぶつけた。
武道「 え?ちょ??え???マイキーくん!?!?!? 」
マイキー「 花垣武道!!!!!!! 」
武道「 は、ハイ!!!!!!!! 」
マイキー「 お前はだせえし、女には弱えーし、アホだし、馬鹿だし、1人で突っ走っちまうし、どうでも良いやつを抱えて守るもんを増やしちまうし、俺みたいなヤツを救っちまうし、…………なあ、たけみっち。お前、俺と出会ってよかったか? 」
武道「 よかったです。俺は君と出会えて。 」
マイキー「 …、 」
武道「 マイキーくん俺に言ったっすよね。今日から俺のダチって。俺は、君と出会って仲間より深い絆を教えてもらって、本物の強さを知ったんす。マイキーくんもヒナも。2人の人生が健やかである事を願える様になったんす。もし出会ってなかったら君は、…君は、ずっとそこにいたかもしれない。ずっと業を背負って生きていたかもしれない。だから俺は、君の人生を救えて嬉しかった。君という友達を持てて幸せ者なんすよ。俺。 」
嗚呼…。こういうヤツだった。たけみっちはこういうヤツだった。とことん良いヤツ。お前は最後まで俺に気持ちを伝えさせてくれない。伝えたい事を言わせないまま、そんな風に言っては俺の気持ちに蓋をする。幸せの形を教えてくれたのは、残酷で美しく明るい太陽だった。
なあ俺が、好きだなんて言ったら困るかな。
この気持ちを伝えて、いますぐに今すぐにでも触れたいんだ。
抱き締めて、キスをして、それ以上だって。
だって俺、現代に戻ったら結婚式でスピーチだぜ。何が嬉しくて好いた男の結婚を祝うんだよ。馬鹿。頼んでくんなよ。俺に。
武道「 …マイキーくん? 」
俺はたけみっちに伸ばそうとしていた手を一度降ろせば、たけみっちの髪を両手でぐしゃぐしゃにして。
マイキー「 んなぁーに偉そうに言ってんだこのッ!! 」
武道「 わー!?!?ちょやめてー!!! 」
セットが崩れてモサモサになってしまったたけみっちを見て笑い転げて。そこに千冬とけんちんが合流すると、同じ様にモサモサのたけみっちを見て笑い出す。
武道「 え?なに???なにがそんなおもろいの??? 」
髪を手櫛してみるか戻らない髪に終始面白味を感じてゲラゲラと笑って。
ドラケン「 んや、突然来ちまってすまねぇな。 」
武道「 いえいえ!!楽しかったっす!! 」
千冬「 また来てくださいっす!!場地さんとか一虎くんも連れて! 」
マイキー「 おーまた連れてくるわ。じゃあな。 」
数時間後に中学校を離れれば、俺んちのガレージへ来てバイクをいじるけんちん。
バブ…これアイツにあげて正解だったよ、今でも乗ってくれてるし大切に扱ってくれてる。そう言うところも大好きなんだよな。
バイクを弄るけんちんをソファーに腰掛けながらぼーーっと眺めていた。
ドラケン「 なーーマイキー。 」
マイキー「 ん? 」
ドラケン「 お前、たけみっちの事す、 」
マイキー「 待った!!!!!! 」
ドラケン「 ?! 」
けんちんは頭が切れる。きっと気付いていたし相談に乗ってくれようともしてくれた。ただ、俺は相談してしまうと気持ちに拍車がかかってしまってたけみっちのことをどうにかしてしまいそうな気がするんだ。
マイキー「 けんちん、言いたい事は分かった。でも言わないで。頼む。 」
俺はけんちんを見つめた。けんちんは真剣な眼差しで察してくれたかの様に深く頷いて。少し息を吐いて考える様に口を開いた。
ドラケン「 将来さー。もしたけみっちが結婚するとすんじゃんか。そこに俺らはぜってぇー呼ばれんじゃん?知らねえけど。 」
マイキー「 ……うん。 」
ドラケン「 そん時はさ。俺らが、たけみっちを心から祝ってやりてぇよな。 」
けんちんはまるで全てを見透かす様なそんな事を言った。そうだ、原点はそこなんだ。大好きな人が、幸せで微笑んでるだけで良いじゃないか。俺は何度も救ってもらって、これまでにないくらいの幸せをもらったのに。これ以上を望むなんてバチが当たってしまう。
マイキー「 そーだな。そーだよな。 」
さよなら。俺の恋心。
たけみっちには幸せでいてほしい。例えそれが俺じゃなくても、君と君の周りが幸せなら俺はそれで良いんだ。誰も死んじゃいないこの世界で君の全てを知っているのは俺で、君が一番幸せにならなければいけない事も重々承知しているんだ。
想うのはやめにしよう。
愛してた。武道。
俺はいてもたってもいられなくなって、バイクのエンジンを掛けた。けんちんに相槌を返せばバイクに跨り、アクセルを捻った。
「 マイキー、おせぇぞ!!ギリギリじゃねぇかよぉ!!!スピーチ考えてきたんだろ〜な!?!? 」
気がつくと花びらが舞う式場へ来ていた。デカい声で叫んでいるのはけんちんだ。焦った様に走ってくるけんちん。俺はふっと笑って。
「 ごめんごめん!!ちょっと家に忘れもんしてて!!!スピーチだろ???任せろ!!! 」
fin .