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チュンチュン……と、スズメの囀りが聞こえてくる。
龍之介は布団から起き上がると、大きく伸びをした。
「みんな起きろ! 朝だぞ!」
彼は少女たちを起こすため、声を張り上げる。
だが、反応はない。
「仕方ないな……」
1人1人に声をかけていくが、なかなか起きない。
それも無理のない話だった。
昨晩、大浴場で彼女たちに弄ばれた龍之介は、布団の中でリベンジを果たしたのである。
その結果、少女たちは翌日になっても起きられないほど体力を消耗していた。
「ううーん……。龍様、そこはダメですよぉ……」
「龍之介の……エッチ……」
「い、いったいどんな夢を見ているんだ? 昨晩はさすがにやり過ぎたか……?」
龍之介が反省する。
もう少し寝かせてあげようと判断した、そのときだった。
「おやおや、龍之介くん。昨晩はお楽しみだったようだね」
「っ!? あ、あなたは……!?」
後ろから声がして、龍之介が振り返る。
そこにいたのは、桃色青春高校の女理事長だった。
「理事長!? どうしてここに……?」
「ふふ、様子を見に来ただけさ。野球部は私の肝いりの部活だし、その成長ぶりをチェックしに来たんだ」
「そう……ですか」
龍之介が納得する。
すると、女理事長はニヤリと笑った。
「チームメイトとの絆も深まったようだね? 合宿の目的は身体能力や技術の向上だが、共に寝泊まりすることでこそ深められる絆もある」
「そ、そうですね……」
龍之介が引きつった笑みを浮かべる。
おそらくだが、理事長が想像している以上に深い絆が結ばれた気がする。
「ところで、龍之介くん」
「は、はい?」
「合宿の最終日に……練習試合をしないかい?」
「練習試合……ですか?」
「うん。私の知り合いの高校なんだけど、不祥事で対外試合が禁止されていてね。ようやく謹慎処分が解けたから、ぜひうちと試合を……って言ってきているんだ。合宿で都外まで来ている今、普段できない交流をするのもいいだろう?」
「なるほど。俺はいいですけど……」
龍之介はチラリと少女たちを見る。
全員ぐっすり眠っているようだ。
「彼女たちとも相談してみます」
「それもそうだね。では、最終日までに考えておいてくれたまえ」
女理事長はそう告げると、旅館を去っていった。
残された龍之介は、少女たちの寝顔を見ながら今後のことを考え始めた。
「練習試合……ですか?」
朝の練習時間。
龍之介から話を聞いた少女たちは、揃って首を捻った。
「ああ。理事長が知り合いの高校に頼まれて、うちと試合をしたいって言ってきているみたいでな」
「ちょうどいいんじゃない? ボクたちの実力を測るのにさ」
「そうですね。まだ合宿2日目ですけど、なんだか上手くなってきている気がしますし」
アイリとノゾミが賛同する。
他の者たちも、異論はないようだ。
「寝食を共にすることで、絆が深まり連携が強化されたように思いますわね」
「某たちは、もはや魂で繋がった仲でござる。この絆があれば、どんな相手でも恐るるに足らず!」
「マキちゃんの……初めての試合ですぅ」
ユイ、セツナ、マキが盛り上がる。
合宿で伸びつつある自分たちの実力を、試してみたいようだ。
「みんなが乗り気になってくれて嬉しいよ。理事長にはその方向で話しておく。……さぁ、最終日の試合に向けて、練習を始めよう!!」
龍之介の号令に、少女たちが頷く。
最終日は練習試合。
その試合を見据えて、彼女たちはさらに練習に励んでいく。
もちろん、夜には大浴場や布団の上で絆を深めることも忘れないのだった。