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「こんなことになるなら出会わなかった方が幸せだったかもね」《転勤してからそっちはどう?》
タイプ音が灰色の霞んだ街に解けてゆく
少し待っても返事が来ないことを確認し歩みを進める。
雪の跫音は他からも聞こえ賑やかな声が聞こえる。東京の電子掲示板は日付と気温が映されており眩しい光が街灯りの1つとして働いている
「…で?この前のクソ男はどうなったの」
そう言って目の前の金髪ロングの女性が苦虫を噛んだ顔をして語りかけてくる
がやがやと賑わっている店内を見渡せばスーツを着たサラリーマンたちが多い居酒屋だ。東京にしては珍しく安くて美味しいと評判の居酒屋でありお酒の種類も多ければ店主も気さくなところである
「…どうって、、まぁ転勤したよ神奈川の方にもう会うことないと思う。」
「うわーざまぁって感じ!!ほんっとりんも男運悪いよね〜」
鈴音捺芽(すずねなつめ)21歳独身女
つい最近まで肉体関係を持つ人がいた。歴代彼氏は1年も持たずに別れる羽目になり男運がとても悪い。
「凛さー本当彼氏作らないほうがいいよねーwなんで本当こうなるのさ」
りん。鈴=風鈴=ふうりん=りん
安直のような少し拘ったあだ名で彼女からは呼ばれる。
彼女は赤井雫(あかいしずく)
小学生の頃からの親友で成人してからもお酒を飲んだり遊びに行ったり泊まったりと様々なことをする仲だ
「本当にそう。なんでこうなるのかな〜、、」
「だってあのクソ野郎彼女いるのにりんとヤってなんなら別れもしない付き合いもしないで浮気関係のままりんが辛いだけな環境にするんでしょ!!しかも転勤してりんを捨てたじゃん!!本当くそ!!」
「雫、声が大きいしそんな怒らないで、もう私気にしてないからさ」
そう言って捺芽はレモンサワーを口に含み自分の言葉に対してもう一度考え直す
思い返せばお互いは男女という壁があまりない関係だった。
ネットで知り合い同じ界隈で仲良くなり お互いの好きな人のタイプ、性癖、過去話、親との関係性。なんでも話してお互いを慰め合い楽しく笑い合う関係で肉体関係を持ったのなんてお互いの興味、いや捺芽の好奇心とそして相手に抱いてた好意が招いた結果だったのだろう
だが約束の1週間前だった。相手が彼女を作った。その子は捺芽が彼女が大変という相談を乗って彼女さんと別れさせた子だった
捺芽は非常に悩んだ断ることさえドタキャンすればできたはずなのに待ち合わせ場所に行ってしまった
相手に彼女がいるなんて知っているけれど好きだった。好きと言われたかった愛されたかったそんな理由で会ってしまった
それからだった彼女がいるのにそれもそれが知り合いで身体を重ねてしまったことに自責の念を強く感じ心を病んでしまい入院をした事もあったが
「人生何事も経験だよ。痛い目にあった事も全部経験でこれから先同じことをしなければいいだけじゃない?」
「りん、、馬鹿じゃないの?あいつの家どこ?殴りに行くわ」
「雫、そうやっていうと思うの?」
「言えーー!!!」
その時チクリと捺芽の心に何かが刺さる音がそんな気がした。
雫と駅で別れてから電車を乗り家に帰ろうとする空からふつふつと落ちてくるそれは冷たく身体の熱を剥がそうとしていく。
恋人達は同じ傘に入り2人だけの世界に入っているが捺芽は自分には関係ないと再認識した上で両手をポケットに入れて下を向きながら帰り道を歩いていく。
玄関の重い扉を開き適当に靴を放り投げベットに横になる。
自宅は東京の中心地から離れる場所にあり東京だとは思えない田舎の方に住んでいる。
ふと携帯を見るがやはり返事はない。転勤してから忙しいのだろう
返事が来てないことを確認し携帯をベットに置こうとした時携帯が震える
《風鈴さーん今空いてます?》
《シラスさんこんばんは空いてますけどどうしました?》
シラスさん。最近ゲームで知り合った人で声が優しくゲームが上手い人だ
私が捨てられた時にめちゃくちゃになってゲームをやっていてその時機会があって色々と話を聞いてくれてそこから仲良くなった人だ
《風鈴さん今度何人かで飲み会やるんすけど来ます?》
《あーいいですね仕事その日休みます》
そう送ると了解を表すスタンプが送られベットに携帯を置き明日の支度をする